DX推進における情報セキュリティ対策の3つの課題

公開日:2024.05.23

DX推進における情報セキュリティ対策の3つの課題

この記事で
わかること

  • DX化に伴う新たな情報セキュリティリスク
  • 情報セキュリティ対策における課題
  • 安全なDX推進を行うためのセキュリティ強化ポイント

目次

社会全体でDX化が進められ、多くの企業がデジタル技術やデータを活用した取り組みを行っています。一方で対応範囲の拡大や人材不足など、情報セキュリティ対策の課題を抱える企業は多いのではないでしょうか。

そこで今回の記事では、DX推進における情報セキュリティ対策の課題と解決策を解説します。情報セキュリティ対策の必要性が分かる内容となっているので、ぜひ最後までお読みください。

1.DX推進において情報セキュリティ対策が必要とされる3つのリスク

DX推進において情報セキュリティ対策が必要とされる3つのリスク

DXを進めるにあたり、クラウドサービスの利用や外部システムとの連携を行う企業は多いでしょう。生産性の向上や業務効率化などさまざまな効果を得られる一方で、情報セキュリティに関するリスクが高まります。ここでは、DX推進における情報セキュリティ上のリスクについて理解します。

機密情報の漏えい

DXとはデジタルトランスフォーメーションの略称で、企業や組織がデジタル技術を取り入れることによるビジネスモデルや業務プロセスの変革です。DXではネットワーク技術を利用し、機密情報や個人情報などをデジタルデータで管理します。またDX化の推進においては、インターネットを利用してビジネス環境を構築できるクラウドサービスの利用が有効です。

DXに有効なサービスである一方で、不正アクセスやサイバー攻撃により外部に預けたデータの情報漏えいを招く可能性が高まります。理由は社内データにアクセスする場所や端末が増えることにより、情報セキュリティリスクが増大するからです。また情報漏えいの原因は、ランサムウェアや標的型攻撃などの外部要因だけではありません。社員やパートナー企業によって、意図的に情報漏えいが行われる内部要因にも注意が必要です。

データの改ざんや破壊

DXを推進するにあたり、データ活用は欠かせません。蓄積したデータをもとにビジネスの意思決定を行うため、正確かつ信頼性の高い情報を管理し続けることが重要です。そのため不正アクセスやサイバー攻撃などにより改ざんされたことに気付かずデータを利用してしまうと、正しい判断が行えずにビジネスを危機的状況に招く原因になります。

また、第三者がWebサイトの情報を操作して情報を書き換える「Web改ざん」にも注意が必要です。意図しない情報の掲載や偽サイトへの誘導など、さまざまなトラブルを発生させるリスクがあります。データの改ざんや破壊が行われると、経営の混乱や企業の信用失墜を招く可能性が高まります。

サービスの停止

DX化により一般的になったサービスには、以下のようなものがあります。

  • キャッシュレス決済
  • オンラインスクール
  • フードデリバリー
  • スマート家電
  • モバイルオーダー

インターネットを介することで、利便性を向上させたサービスが多いです。一方でサイバー攻撃を受けるポイントが増加するため、アカウント情報の窃取やなりすましによる不正利用などのリスクがあります。

このようなトラブルが発生すれば、原因究明や被害の拡大防止のためサービスの停止を余儀なくされます。またシステムダウンを目的としたサイバー攻撃にも注意が必要です。サービスを利用できない状況は企業経営に重大な影響を及ぼすため、十分な情報セキュリティ対策を行う必要があります。

2.DX推進を取り巻く情報セキュリティ対策の課題3選

DX推進を取り巻く情報セキュリティ対策の課題3選

DXを推進すると同時に、情報セキュリティ対策を考えなければなりません。しかし対応範囲の拡大やサイバー攻撃の高度化など、情報セキュリティ対策を行う際の課題を抱える企業は多いのではないでしょうか。この章では、DX推進を取り巻く情報セキュリティ対策の課題を詳しく解説します。

対応範囲の拡大

従来はオフィスに出社する働き方が一般的でしたが、DX推進により自宅やコワーキングスペースを利用して業務を行うテレワークの導入が進んでいます。多様な働き方に対応できる反面、ウイルス感染や不正アクセスだけでなく端末の紛失など、さまざまな情報セキュリティリスクが高まります。

従来は、社内のパソコンやネットワークへの情報セキュリティ対策が中心でした。しかし、DX推進により外部から社内ネットワークに接続できる環境になったため、すべてのアクセスに対して認証を行うなどの情報セキュリティ対策が必要です。

また現在はデジタル技術の活用により、工場やグループ会社などと連動している企業も多いでしょう。アクセスする場所や使用する端末が増えるため、今まで以上に広範囲で情報セキュリティ対策を考える必要があります。

脅威の高度化と多様化

近年、サイバー攻撃はますます巧妙化しており多種多様な手法が見られます。特に注意すべきサイバー攻撃には、以下のようなものがあります。

  • ランサムウェア攻撃:データを暗号化し利用不可能な状態にし、元の状態に戻すことと引き換えに金銭を要求する
  • 標的型攻撃:特定の企業や組織に対して手段・手法を問わず継続して攻撃を行い、機密情報の入手・破壊を行う
  • ソーシャルエンジニアリング:取引先や上司など関係者になりすまし、情報を搾取する攻撃方法
  • ゼロデイ攻撃:発見された脆弱性への対策や修正プログラムが提供される前に行われる攻撃
  • サービス妨害攻撃:複数のパソコンからWebサイトまたはサーバーに過剰なアクセスやデータ送付を行い負荷をかける攻撃方法

新たなデジタル技術の開発や浸透に伴い、サイバー攻撃の手口も変化しています。そのため、あらゆる手口を想定して、適切な情報セキュリティ対策を実施する必要があります。外部からの攻撃のほかにも、従業員の操作ミスや退職者の情報持ち出しなど、内部不正による脅威にも注意が必要です。

情報セキュリティ人材の不足

デジタル技術の普及に伴い、情報セキュリティ人材に求められるスキルや知識が変化しています。これまでのデジタル技術活用は社内に限定されていましたが、DX推進では社外とのつながりが増えるため情報セキュリティ対策の対象は大幅に拡大しています。

さらに攻撃の手法が多様化・高度化しており、情報セキュリティリスクに対応できる知識・技術を持った人材を確保しなければなりません。しかし現在は社会全体で情報セキュリティ人材が不足しており、企業側が求める人材を確保するのは難しいです。

社内で情報セキュリティ人材を育成する場合は、経験や知識を積むための時間とスキルを身に付けるための教育コストがかかります。常に進化する脅威に対応するには最新のスキルを身に付け続ける必要があるため、十分な経験と知識を持った情報セキュリティ人材の確保は企業にとって重要な課題です。

3.DX推進における情報セキュリティを強化する7つのポイント

DX推進における情報セキュリティを強化する7つのポイント

DXを推進する際は情報漏えいやデータの改ざんなど、さまざまな情報セキュリティリスクに備える必要があります。自社で情報セキュリティ対策を行う際は、以下のポイントを押さえておくと良いでしょう。

  • アクセス管理の徹底
  • 情報セキュリティ対策の体制構築
  • OSやソフトウェアは常に最新の状態を保つ
  • 情報セキュリティソフトの導入
  • 組織の情報セキュリティ意識向上
  • 最新の脅威の把握と共有
  • データ管理のルール策定と徹底

情報セキュリティ対策を怠ると、事業継続の危機に晒されるリスクが高まります。自社のネットワークやデータを脅威から守り、安心してDXを推進するためにも情報セキュリティ対策を強化するポイントを参考にしてください。

アクセス管理の徹底

アクセス管理とは、特定のサービスに対してユーザーのアクセス権を管理することです。DXを推進することで、あらゆる場所からコンピューターやデータにアクセスできるようになります。アクセス管理を徹底して許可したユーザーのみが利用できるように制限することで、情報セキュリティ対策の強化につながります。

情報セキュリティ対策の体制構築

情報セキュリティリスクは経営リスクの1つであると認識し、知的財産の窃盗や損害賠償請求など企業にとって重大な事故を引き起こす可能性があることを理解しておかなければなりません。そのため情報システム部門やリスク管理を行う部署だけでなく、支店やグループ会社など関係各所を巻き込んだ情報セキュリティ対策を講じる必要があります。

またITや情報システム部門との兼任で対応するのではなく、専門部署の設置により情報セキュリティ対策を強化することが望ましいでしょう。新しく情報セキュリティ人材を確保するのが難しい場合は、社内での育成を検討しましょう。

OSやソフトウェアは常に最新の状態を保つ

OSやソフトウェアの更新には、新たに発見された脆弱性への対策が含まれています。完璧なソフトウェアの開発は難しいため、不具合や情報セキュリティリスクを見つけたら随時更新を行いリスク軽減に努めましょう。OSやソフトウェアが古いままではサイバー攻撃の被害を受ける可能性が高いので、常に最新の状態に保つことが大切です。

情報セキュリティソフトの導入

ウイルスの種類は日々多様化しているため、危険とみなされる定義ファイルを最新の状態に保つことで情報セキュリティ対策を強化できます。そのため情報セキュリティソフトを導入し、ウイルス感染や不正アクセスによる被害拡大を防止しましょう。

情報セキュリティソフトを選ぶ際は、自社の弱みや課題に合っているかをチェックします。またパソコンだけでなく、タブレットやスマートフォンなどモバイル端末へのセキュリティソフト導入が必要です。セキュリティソフトの種類によってはモバイル端末に対応していない場合があるため、契約前にチェックしておきましょう。

組織の情報セキュリティ意識向上

全社員が情報セキュリティに関する知識やスキルを持つことで、日々の業務遂行におけるリスク管理を強化できます。不審なメールの開封やパスワードの不適切な管理など、情報セキュリティリスクは身近にあると全社員が認識しておく必要があります。不審なメールへの対応やパスワードの作成・管理方法などの指導を行い、社員の情報セキュリティに対する意識向上を図ることが大切です。

最新の脅威の把握と共有

情報セキュリティの脅威は日々進化しているため、外部からの攻撃に備えて常に最新の対策を行うことが重要です。頻発しているサイバー攻撃の手法や手口に関する動向の把握と、自社のOSや機器の脆弱性に関する情報収集を行いましょう。情報セキュリティの脅威に関する情報は社内全体で共有し、あらゆる攻撃に備えて対策を講じる必要があります。

データ管理のルール策定と徹底

DX推進ではデータの活用が欠かせません。社内には顧客情報をはじめとした、営業や売上などあらゆるデータが蓄積されます。蓄積されたデータを収集・分析することで、商品開発やサービス改善に活用できます。経営に関わる重要な判断の材料となるため、正確かつ信頼性の高いデータが必要です。

そのため、社内でデータを適切に管理できる体制を整える必要があります。また機密情報の取り扱いや外部への持ち出し制限など、データ管理に関するルールを作成して情報セキュリティ対策を徹底することが大切です。

4.まとめ

まとめ

DXとはデジタル技術やデータを活用して、業務の効率化や新規ビジネスの創出などを実現する取り組みです。DXの推進ではクラウドサービスを利用する機会が増え、システムやデータへのアクセスが複雑かつ多様化しています。そのため、サイバー攻撃や不正アクセスのリスクが高まっています。

DXを推進する際はさまざまな脅威から自社のネットワークやデータを守るために、十分な情報セキュリティ対策が必要です。DX推進における情報セキュリティ対策でお困りの企業担当者さまは、こちらからお気軽にご相談ください。

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監修

税理士法人V-Spiritsグループ代表 税理士・社労士・行政書士・FP

中野 裕哲

起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社労士、行政書士、CFP(R)。 税理士法人V-Spiritsグループ代表。年間約1000件の起業相談を無料で受託し、起業家や経営者をまるごと支援。経済産業省後援 起業経営支援サイト「DREAM GATE」で12年連続相談数日本一。 著書・監修書に『一日も早く起業したい人がやっておくべきこと・知っておくべきこと』(明日香出版社)など20冊、累計25万部超

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