取材日:2024.02.26
飲食コーナーの人手不足、労働環境の改善
実証実験から、配膳ロボットの導入
平日ランチ帯の人員が2名体制からほぼ1名体制へ削減
配膳作業削減による労働環境の改善
人時生産性が約500円向上
人時売上高が約1,000円向上
株式会社健康ランド南大門(ザ・グランドスパ南大門)様とNにおまかせ!の最初のつながりは「2本ある外線を1本に絞りたい」という代表番号の設定のご相談から始まりました。Nにおまかせ!は会社の「ちいさな困った」や「見落としていた課題」を丹念に拾い上げ、「なんでも、なるほど、なっとく行くまで」伴走しながら、ひとつずつ解決していくサポートが強みです。担当者は電話のご相談だけでなく、これをきっかけにぜひザ・グランドスパ南大門様の課題解決のお手伝いをしたいと足繁く通いました。
まず担当者が行ったのは、館内をくまなく見て回ることでした。温泉だけでなく、おいしいと評判の食事処や宿泊キャビン、アミューズメントエリアも併設している「みんなに愛される人気の大型温泉施設」であるがゆえに、従業員にかかる負担、人手不足、館内施設の整備・充実など懸案事項が浮かび上がりました。
とはいえ、これまでに大きな接点や取引実績がない状況下では、最初はザ・グランドスパ南大門様も、「NTT東日本は電話や通信の会社でしょう?課題を解決しますと言われても……」と少々戸惑っていたようです。
とにかく顔を覚えてもらい、コミュニケーションを深めることが大切と考えた担当者は、毎週木曜日になると、ザ・グランドスパ南大門様へ。
大型娯楽施設なので、現場には大勢の従業員さんがいます。「すべての人と顔見知りになろうとがんばりました」と胸を張る担当者は、「館内が広いから掃除が大変」「食事処は大人気で千客万来だけど、なにしろフロアスタッフが足りない」といった声を聞いて歩き、現場で働く方々からのニーズを集めました。
そしてNTT東日本グループ全体を巻き込み、複数のパートナー企業とも連携し、具体的な改善策を提案。取材に応じてくださったザ・グランドスパ南大門 料飲課 富田さんも「NTT東日本ってこんなこともやってくれるの?」と最初は驚いたそう。富田さんが戸惑ったのも無理はありません。Nにおまかせ!が料飲課に提案したのは「ロボットの導入」だったからです。
では、ここから配膳ロボット導入にひとかたならぬご助力をいただいた、富田さんのインタビューをご覧ください。
富田さんは飲食コーナー全般に関して、さまざまな課題を感じていたと伺っています。どのようなきっかけでNにおまかせ!に課題解決を頼む流れになったのでしょうか。
富田さん:原材料の高騰と人件費の問題、加えてそもそも飲食コーナーは常に人手不足で困っていました。担当者がよく顔を出してくれていたので、どうしたものかとお話したのがきっかけです。
ただ、正直なところNTT東日本は電話や通信の会社というイメージしかなかったので、ご相談というより単純に「困っているんですけどね」と話をしたような感じですね。そうしたら、配膳ロボットを紹介されたのでびっくりしました。
富田さん:実は配膳ロボットと聞いても、あまり期待していませんでした。スタート時点では、麺類が運べないなど、いくつか難点があったからです。また高齢者も多くいらっしゃいますから、ロボットが食事を運ぶことに抵抗感を覚えるのではないかという危惧もありました。
それでも、深刻な人手不足に陥っていましたし、コスト削減は喫緊の課題で、担当者の熱意に押される形でとにかくテストだけでも行うことになりました。何もやらないよりはやったほうがいいよね、くらいのスタンスでしたね。
半信半疑で実証実験を行ったのですが、思ったよりも使い勝手が良いと印象が変わりました。
「もし麺類の汁をこぼさずに運べるようになれば、使えるかも」とフロア担当者やNにおまかせ!の担当者と話をしました。段差が多少あるので、そこでロボットが揺れて麺類の汁がこぼれてしまうため、スロープを作りました。すると配膳ロボットがスムーズに動き、麺類や汁物もこぼれずにうまく運べるようになりました。
現場にいる方だからこそ、ここにスロープを作ろう!とすぐに解決案が浮かんだのですね。配膳ロボット導入の結果、効果についても教えてください。
富田さん:導入効果については、大きく3点あります。1つは人手不足の解消、2つめは労働環境の改善、3つめはコスト削減ですね。
人手不足はここ最近ずっと頭を悩ませていたことでした。場所柄、食事に加えて飲み物やアルコールの追加率も激しいのですが、配膳ロボットが料理を提供してくれれば、スタッフは飲み物だけに集中できます。人員配置の面では、平日のランチはフロアは2人体制でしたが、配膳ロボット導入でほぼ1人で行えるようになりました。
フロアは常に目配りが大切です。でも配膳に追われると、お客さまの様子を見る余裕がなくなりサービスの低下につながります。配膳ロボット導入で、わたしも目配り・気配りがより丁寧にできるようになったのも良かった点です。
配膳は見た目以上に力仕事です。結構足腰に負担がくるのですが、その負担が減るだけでも従業員にとってかなり労働環境が良くなったと思います。働く環境が良くなれば、新たな雇い入れもしやすくなりますし、入った人が長く働いてくれるようになりますからね。
今は2台の配膳ロボットがフル回転しています。当初の懸念点であったお客さまの反応ですが、これが意外と良くて、エンターテインメント性もあってお子さまは喜んでくれますし、ご高齢の方も今は慣れたご様子です。
配膳ロボット導入によるコスト的な効果を具体的に教えていただけますか?
富田さん:配膳ロボット導入で宴会やシーズンなどでばらつきはありますが、平均すると人時生産性では約500円アップ、人時売上高は昨年比で1,000円ほどアップしています。これは大きいですね。
ロボット会社さんによると配膳ロボット1台で0.8人分くらいの人件費が浮くそうですが、それ以上の効果を感じています。
*人時生産性(従業員1人あたり1時間労働における粗利高)
*人時売上高(従業員1人あたり1時間における売上数値)
飲食コーナーに配膳ロボット導入をした全体的な感想もお聞かせください。
富田さん:年末年始が繁忙期なのですが、配膳ロボットなしだったら乗り切れなかったかもしれません。それだけ、スタッフを集めるのが大変なんですよ。
管理する側の業務としては、配膳ロボットは常に稼働するので、スタッフのシフト調整もだいぶラクになりました。
ただ配膳ロボットを入れたことで、新しく入った人が配膳の仕事を覚えるタイミングがないというのは、導入して初めて気づきました。配膳ロボットがスイスイ運んでしまうから、従業員が馴れる機会自体がない。そこで採用時のトレーニングを見直しました。
配膳ロボットを導入することで派生してくる変化に柔軟に対応していくことが、うまくいく秘訣ではないでしょうか。
いずれにしても、人手不足の解消、労働環境の改善、そしてコスト削減とすべて良い方向に動き出してホッとしています。担当者は、頻繁に顔を出してくれて、気軽にお話できる関係になりました。引き続き、より良い環境づくりをめざして一緒に動いています。まさに伴走者ですね。
飲食コーナーの配膳ロボット導入は課題解決につながりましたが、実はそれまでも、担当者からお掃除ロボットや食材の長期保存のため氷感庫等のご提案や、実証実験などを行っていました。設備投資は会社にとっても大きな決断です。試行錯誤を繰り返し、もちろんうまくいかなかった案もありますし、結果に対してザ・グランドスパ南大門様から厳しいご意見をいただいたこともありました。
しかし、訪問を繰り返し、現場の「困ったな、なんとかならないかな」を少しでも解決しようと奮闘する担当者に、従業員の皆様がさまざまなヒントを示してくださり、たくさんお話を聞かせてくださいました。また運営・経営に携わる方々との信頼関係を構築することができました。担当者は、今後も顧客満足度の向上と集客に向けたご提案や滞在時間をアップし売上拡大につながるプランで、ザ・グランドスパ南大門様と伴走しつづけたいと語っています。
さらに、温浴施設を中心とした地方創生へのチャレンジの第一歩として、休憩室の魅力向上、飲食スペースの作業効率化(配膳ロボット導入)、満空検知(浴室やサウナの混雑状況の可視化)、SNSマーケティングによる集客など、さまざまな「解決・提案」をマップ化。ザ・グランドスパ南大門様と共に取り組んだ実績を、東日本全域の温浴施設へ拡大していこうと推進している最中です。
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