公開日:2024.10.16
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超高齢化社会となって久しい日本。介護業界は2025年に大きな分岐点になると予想されています。その理由は「団塊の世代」が後期高齢者になり、社会保障費の増加や働き手不足などの社会問題が懸念されているからです。2025年を境に深刻化する社会問題の総称を、「2025年問題」といいます。
介護業界はすでに人材不足が指摘されており、実際に、多くの介護事業者が人材不足を感じています。公共財団法人介護労働安定センターの「令和5年度介護労働実態調査結果の概要について」によると、従業員の過不足感について、約7割近い介護施設が不足感を抱えていると回答しました。
戦後のベビーブームに生まれた「団塊の世代」が75歳になる2025年以降は、よりいっそう人材不足が深刻化すると見込まれています。このような事態に対処するために、介護事業者はどのようなことに取り組めばよいのでしょうか。
この記事では、2025年問題の概要や、介護業界に対する影響、介護業界が取り組むべき課題について解説します。記事の後半では、人材不足の解消に向けた5つの対策をご紹介します。
人材不足にお悩みの介護事業者の方は、ぜひ本記事をご一読いただき、人材不足解消のヒントにしていただければ幸いです。
出典:「公益財団法人介護労働安定センター|令和5年度介護労働実態調査結果の概要について」(https://www.kaigo-center.or.jp/content/files/report/2023_jittai_chousagaiyou.pdf)
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資料をダウンロードする(無料)「2025年問題」は最初にお伝えしたように、1947年から1949年の戦後第1次ベビーブーム期に生まれた「団塊の世代」が、75歳以上になることで発生する問題の総称です。
2024年2月時点で日本の後期高齢者の人口は約2,032万人※1ですが、2025年以降には約2,150万人を超える見込み※2となっています。今後、日本の人口における高齢者の割合がますます高まることが予想されているのです。
また、2040年には「団塊の世代」の子どもたちである「団塊ジュニア世代」が65歳を迎え、65歳以上の高齢者人口がピークに達し、「2040年問題」が生じるともいわれています。今後、数十年間、介護の需要は増加し続ける一方で、介護を担う人材が不足することは容易に想像できるでしょう。
このような背景から、介護業界では人材の育成・確保や生産性向上が喫緊の課題となっています。
※1 出典:「統計局|人口推計 2024年(令和6年)7月報」
(https://www.stat.go.jp/data/jinsui/pdf/202407.pdf)
※2 出典:「内閣府|令和6年版高齢社会白書」
(https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2024/zenbun/pdf/1s1s_01.pdf)
2025年問題が介護業界に及ぼす大きな影響は、人材不足の深刻化です。前述の通り、2025年以降に介護需要は増大すると見られている一方で、その需要をカバーするために必要となる人材の数は不足すると予想されています。
2024年7月に厚生労働省が公表した「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」によると、2026年度には約240万人の介護職員が必要と推計されました。また、2022年度の職員数と比較すると約25万人が不足すると予測されています。
出典:「厚生労働省|第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」
(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_02977.html)
不足を補うには、2026年度までに毎年6.3万人の増加が必要になる計算となります。しかし、令和以降の介護職員の増員ペースは、年間1万人前後にとどまっており、目標ペースには達していません。
介護人材が不足した状態で高齢化が進むと、介護サービスの供給が滞るおそれがあります。介護が必要な人に十分なサービスが行き渡らずに介護難民が生まれるなど、社会保障の質が低下する可能性があるのです。
より深刻な介護人材不足が懸念される中、2025年以降を見据えて、介護業界ではどのようなことに取り組む必要があるのでしょうか。この章では、介護業界に共通する課題である「人材の育成・確保」と「生産性の向上」について解説します。
介護人材の不足が予想される中で、「人材の確保・育成」は、介護業界全体に共通する喫緊の課題です。
認知症患者が増加傾向にあることや、高齢者の単身世帯が増えていることなどから、今後、介護ニーズは高度化・多様化していくと考えられます。
具体的には、2025年の認知症高齢者数は675万人になり、65歳以上の5.4人に1人が認知症患者になると予想されています。また、高齢単身者(65歳以上の単独世帯)は751万人に増加する見通しです。高度化・多様化するニーズに応えるためには、人材の量を確保することに加えて、同時に人材の質も高めていかなければなりません。
人材の量と質を同時に確保するためには、既存人材の離職防止や、新規人材の流入促進、人材育成などに、総合的に取り組んでいく必要があります。
介護事業者が取れる対策としては、労働条件や職場環境の改善、人材育成の体制強化などが挙げられるでしょう。ほかにも、アウトソーシングや人材派遣など、外部リソースの専門人材を活用する方法もあります。詳しくは、後述の「人手不足解消に向けた5つの対策」で解説しますので、ぜひ参考にしてください。
限られた人材で多くの高齢者を支えるためには、生産性向上に向けた取り組みが欠かせません。
具体的には、最新のテクノロジー活用(介護ICT※3)やロボット導入、業務の効率化などが挙げられます。詳しくは次章「⑤ICT・ロボット導入」でご紹介します。
※3 介護ICT:介護業界で情報通信技術を活用することを指す。主に請求業務や介護サービス施設・事業所で行われる業務を支援するソフトウェアのこと。
介護人材の不足が深刻化する中、介護事業者は具体的にどのようなことに取り組むべきなのでしょうか。ここでは人材不足解消の対策について、5つの方法を取り上げて解説します。
それぞれの施策は相互に影響を及ぼすため、十分な効果を期待するには、どれか一つだけではなく複数の施策に取り組む必要があるでしょう。
以下の表は、前述した課題「人材の確保・育成」と「生産性の向上」に対して、それぞれどの対策が有効かを示しています。自社の課題に合った対策を検討する際にお役立てください。
横にスクロールします
対策/課題 | 人材の確保・育成 | 生産性の向上 |
---|---|---|
①労働条件の改善 | ◯ | - |
②外部リソースの活用(人材派遣・事務代行など) | ◯ | ◯ |
③育成体制の整備 | ◯ | ◯ |
④業務改善・職場環境の見直し | - | ◯ |
⑤ICT・ロボットの導入 | - | ◯ |
「人材の確保・育成」という課題に対しては、労働条件や処遇を改善することが大切です。働きやすい労働環境を整えることで、既存人材の離職防止や新規人材の流入促進につながります。
以下の表で、介護業界において労働条件に改善の余地があるケースと、それぞれに対する改善施策の例を挙げました。自社に当てはまる項目があれば、労働条件の改善に取り組む必要があるでしょう。
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労働条件に改善の余地があるケース(例) | 労働条件の改善施策(例) | |
---|---|---|
賃金 |
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雇用形態 |
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労働時間 |
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休憩時間 |
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育児休業 |
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介護サービスの中には、夜間対応型の訪問介護や24時間体制の施設サービスなどがあり、介護職に対しては「長時間労働」「体力的にきびしい」というイメージがつきものです。労働条件の改善に取り組み働く魅力を高めることで、そのようなイメージが払拭され、新規人材の参入にもつながるでしょう。
不足している人材を、人材派遣や代行サービスなどの外部リソースで補う方法も有効です。
介護の現場では、介護事務を職員が兼任しているケースも少なくありません。しかし、その場合、事務作業が本来の業務を圧迫し、介護サービスの質に影響するリスクがあります。
サービスの質を高めるために、介護事務などの定型業務を外部へアウトソースするのも一つの手段です。
事務代行などのアウトソーシングサービスの中には、時間単位で事務作業を委託できるサービスもあります。このようなサービスを利用することで、職員の負荷軽減や、サービスの品質担保が可能になるでしょう。
「Nにおまかせ!」では、必要な分だけ専門人材に業務を依頼できる人材アシスタントサービス「カチアルサポート」を提供しています。「業務過多による職員の負担を軽減したい」という事業者の方は、ぜひ以下のページから詳しい情報を確認してみてください。
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詳しくはこちら今後、さらに高度化・多様化する介護サービスのニーズに応え、介護サービスの質を高めていくためには、介護人材の育成を強化することが重要です。ニーズに合わせて介護人材がスキルアップできるよう、育成体制を整えましょう。
育成体制を整備する取り組みとして、具体的には以下のような例が挙げられます。
育成体制の整備(例)
育成体制の整備によって、若手人材や新規人材に将来的なキャリアパスを提示できれば、将来の見通しを立てやすい職種であることをアピールしやすくなります。介護職で働く魅力を伝えやすくなるため、新規人材の流入促進にも寄与するでしょう。
また、取得資格に応じた手当てを用意するなど、労働条件の改善と連動して育成施策を拡充すれば、スキル向上に対する職員のモチベーションアップが期待できます。
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詳しくはこちら介護業務に対する生産性向上をめざすなら、まずは業務や職場環境を見直し、ムリ・ムダ・ムラの低減に取り組むことが必要不可欠です。
業務改善・職場環境の見直しについて、以下のような具体例が挙げられます。
業務改善・職場環境の見直し(例)
介護業界では、ICTやロボットの活用による生産性向上も進んでいます。
具体的な活用事例は、以下のようなものが挙げられます。
横にスクロールします
ICT活用 |
|
---|---|
ロボットなどの テクノロジー活用 |
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介護の現場では介護職員に大きな身体的負荷がかかるため、腰痛などの健康被害につながることもあります。ロボットを活用することで身体的負荷が軽減され、事故やけが・慢性疾患(腰痛など介護職に多い疾患)などのリスクを低減できるでしょう。
ICT機器やロボットの導入については、各都道府県で介護事業者に対する支援制度が用意されています。そのため、要件を満たせば補助金による導入支援を受けることが可能です。国や地方自治体による支援も活用しながら、職員の負担を軽減し、生産性向上に努めましょう。
しかし、補助金の申請や手続きが煩雑で、活用が進んでいないという事業者の方も少なくないでしょう。「Nにおまかせ!」では、補助金の活用をサポートしています。補助金活用についてお悩みの方はぜひ一度ご検討ください。
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詳しくはこちら前章でご紹介した対策の効果を引き出すには、同時に複数の対策を取り入れ、課題解決に向けて総合的に取り組むことが大切です。
そして、並行して複数の対策を実行する際には、優先順位をつけることが重要となります。課題に対する効果が大きく、取り組みやすい施策から順番に着手していく必要があるでしょう。
前章の②でご紹介したように、「外部人材の活用」は、人材の育成・確保と生産性向上、両方の課題解決につながります。
「人手が足りておらず改善施策に取り組む余裕がない」といった場合には、最初に外部人材の活用を検討し、まずは現場の業務負荷を軽減するのが有効な進め方です。外部から専門人材を確保したり、定型業務を外部に委託したりすることで、業務改善やICT・ロボット導入などに取り組む時間を捻出しましょう。
2025年以降、介護業界の人材不足はいっそう深刻化すると予想され、それは介護業界の「2025年問題」と呼ばれています。介護業界では、人材の育成・確保や生産性向上が喫緊の課題となっています。
介護業界の人材不足を解消するには、「労働条件の改善」「外部リソースの活用」「育成体制の整備」「業務改善」「ICT・ロボットの導入」といった対策が有効です。効果を高めるには、どれか一つだけではなく、並行しながら複数の対策に取り組む必要があります。
対策に取り組む人的リソースが不足している場合には、「外部人材の活用」から検討するのがおすすめです。外部人材の活用は、「人材の育成・確保」と「生産性向上」の両方の課題解決が期待できるため、その他の施策を進めやすくなります。
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