DX戦略とは?定義や策定する4つの手順、導入成功のポイントを解説

公開日:2024.05.23

DX戦略とは?定義や策定する4つの手順、導入成功のポイントを解説

この記事で
わかること

  • DX戦略の定義
  • DX戦略導入のメリットと課題
  • DX戦略の策定ステップとポイント

目次

近年、DXを推進する企業が増えています。しかし「DX戦略の必要性や進め方が分からない」とお悩みの方は多いのではないでしょうか。企業でDX推進を成功させるためには、戦略策定が重要です。

戦略がないまま取り組んでしまうとDX推進の方向性が定まらず、失敗するリスクが高まります。今回の記事では、DX戦略の策定手順や成功させるポイントについて詳しく解説します。導入のメリットも紹介しますので、DX戦略でお悩みの方はぜひ参考にしてください。

1.DX戦略の定義を解説

DX戦略の定義を解説

DX戦略とは、デジタル技術を活用してビジネスモデルを変革するための計画・方法です。新たな価値を生み出し、自社の競争力を高めることを目的としています。ただし、単にデジタル技術を導入するだけでは、ビジネスモデルや企業風土は変革されません。

企業がDXを推進するためには、全社一丸となって同じ方向に向かって取り組むことが重要です。その指標となるのがDX戦略であり、経営者と従業員で意識共有ができるようになります。目的を達成する手段も明確になるため、戦略を立てることでDX推進の成功率が高まるでしょう。

2.DX戦略を導入する4つのメリット

DX戦略を導入する4つのメリット

ここでは、DX戦略を導入する以下4つのメリットを解説します。

  • 業務効率性・生産性向上につながる
  • 新しいビジネスモデルを創出できる
  • 顧客ニーズの変化に対応できる
  • 事業継続性を高められる

DX戦略の導入は作業時間の短縮だけでなく、ヒューマンエラーの防止にも効果的です。戦略を立てることで仕事の質が高まり、顧客からの信頼を得られるようになります。

業務効率性・生産性向上につながる

DX戦略では、これまで人の手で対応していた業務をデジタル化します。ITシステムやツールを導入することで、業務時間・工数の削減が可能です。従業員は空いた時間でコア業務に専念できるため、企業全体の生産性が高まります。また、限られた人員で利益を上げる仕組みを整えるのにも有効です。

近年、日本では少子高齢化による労働人口の減少で、人手不足に陥っている企業が多くあります。DX戦略で業務をデジタル化できれば、テレワークの推進や残業時間の削減にもつながるでしょう。働きやすい職場は従業員の定着率が向上し、人材確保においても有利に働きます。

新しいビジネスモデルを創出できる

ビジネス環境は日々変化しており、企業が生き残るためには顧客ニーズにあった商品・サービスを提供する必要があります。DX戦略を導入することで、企業の規模に関わらず新しいビジネスモデルの創出につながるでしょう。

最近の例として、サブスクリプションやパーソナライゼーションなどが挙げられます。これまでにないビジネスモデルを創出することで、顧客に新たな価値を提供できるようになります。競争優位性も確保されるため、企業の存続・成長にもつなげることが可能です。

顧客ニーズの変化に対応できる

近年、消費者のニーズや行動が多様化しています。それに伴い、従来のマーケティング手法やユーザー分析が通用しなくなるケースも増えました。DX戦略を導入することで、顧客ニーズの変化に素早く対応できるようになります。

デジタル技術によってデータ収集を行い、AIで解析することで人間では気づけなかった顧客ニーズを発見できる可能性があります。そこで顧客ニーズに合った商品・サービスを提供できれば、変化の激しい市場でも生き残れるでしょう。

事業継続性を高められる

事業継続性とは、災害や感染症の流行など不測の事態でもコア業務を継続できる能力です。日本は自然災害が多く発生するため、事業継続性の確保が課題となっています。不測の事態が起こるたびに事業が停止すると、企業に多くの損失が生じるでしょう。

そこでDX戦略を導入し、事業継続性を高める必要があります。デジタル技術を活用すれば、遠隔での業務遂行やコミュニケーションが可能です。テレワークの推進にもつながり、災害などでオフィスに出社できないケースでも対応できるようになります。

3.DX戦略を導入する際の3つの課題

DX戦略を導入する際の3つの課題

DX戦略の導入には多くのメリットがある一方で、課題も存在します。ここでは、DX戦略を導入する際の以下3つの課題を解説します。

  • 初期費用・ランニングコストがかかる
  • 新しいシステムへの移行に時間がかかる
  • 長期的に取り組む必要がある

リスクを考慮したうえで、戦略を策定することが大切です。

初期費用・ランニングコストがかかる

DX戦略において、既存システムの再構築や新システムの導入を行う場合があります。エンジニアの人件費がかかるうえ、システムを運用するためにはランニングコストも見込んでおくことが必要です。

DX戦略が利益を生み出すまでには、数年かかるとされています。企業によっては予算の確保が課題となるでしょう。ただし、長期的に見ると人件費や備品費などのコスト削減につながるケースが多いです。

新しいシステムへの移行に時間がかかる

DX戦略によっては、新しいシステムへの移行が必要になるケースもあります。ただし、既存システムの利用期間が長いと、データの変換や出力に手間がかかります。また、従業員が新しいシステムに慣れるまでの期間を設けなければなりません。

特にアナログ方式で業務を行っている企業は、従業員がシステムを使いこなせない可能性も考えられます。中にはDX戦略に対して、抵抗感を持っている従業員もいるかもしれません。このような従業員には、新しいシステムの使い方をレクチャーする時間を設ける必要があります。各自使いこなせるようになれば、DX戦略に対する抵抗も少なくなるでしょう。移行期間は業務が停滞するリスクがあるため、円滑に対応できるフローを整えておくことが大切です。

長期的に取り組む必要がある

DX戦略を導入して、すぐに効果を得られるのはごく稀です。ビジネスモデルや企業風土を変革するため、効果が出るまでに時間がかかります。さまざまな企業がDX戦略を導入していますが、確実な成功方法はありません。

そのため自社の目的や課題などを考慮してDX戦略を策定し、試行錯誤することが重要です。短期的な結果に囚われすぎず、長期的なビジョンを持って取り組みましょう。

4.DX戦略を策定する4つの手順

DX戦略を策定する4つの手順

DX戦略は企業での取り組みを成功させるために不可欠です。ここでは、DX戦略を策定する以下4つの手順を解説します。

  • 達成したいビジョンを明確にする
  • 自社の強み・弱みを明確にする
  • 自社の理想像と現状のギャップを埋める戦略を立てる
  • 導入するテクノロジーを選定する

ITシステムを導入したり、専門知識のある人材を増やしたりするだけでは効果は得られません。手順に沿って進めることで、質の高いDX戦略を策定できます。

達成したいビジョンを明確にする

DX戦略を策定する前に、まずは達成したいビジョンを明確にする必要があります。ビジョンが曖昧だとDX戦略の目的が見えず、効果的な施策を考えられません。ビジョンを設定する際は、自社の基本理念や未来のビジネス環境などを考慮しましょう。DXによる企業の理想像を具体的に描くことで、質の高い戦略を立てられるようになります。

自社の強み・弱みを明確にする

達成したいビジョンが決まったら、自社の強み・弱みも明確にしましょう。両者を把握することで、効果の高いDX戦略を策定できるようになります。ITシステムを導入するのはあくまで手段なので、自社のビジネスをより良くすることに焦点を当てましょう。なお、自社の強み・弱みを把握する際は、SWOT分析が役立ちます。

SWOT分析とは、内部環境(強み・弱み)と外部環境(機会・脅威)の4つに分けて、企業や事業の分析を行うフレームワークです。SWOT分析を活用することで、客観的に自社の強み・弱みを把握できます。

自社の理想像と現状のギャップを埋める戦略を立てる

ビジョンを実現する際に、課題となる部分を洗い出しましょう。自社の理想像と現状のギャップが分かれば、それを埋めるために必要な施策も見えてきます。現状を把握する際は、「Nにおまかせ!」の「デジタル化スタート診断」がおすすめです。10項目の質問で、自社の現状や次のアクションが明確になります。DX戦略の策定に役立てられるので、以下のリンク先からお試しください。

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導入するテクノロジーを選定する

自社のビジョンを実現できるテクノロジーを選定しましょう。ビジネスに活用できるテクノロジーの例は、以下のとおりです。

  • クラウドサービス
  • IoT※1
  • AI
  • ビッグデータ
  • ロボット
  • メタバース※2

※1 loTは「Internet of Things」の略でカーナビやスマートホームなど、モノがインターネットを通してつながる仕組みや技術を指す

※2 メタバースはユーザーが自由に動けるインターネット上の仮想空間を指す

DX戦略によって、最適なテクノロジーは異なります。導入するテクノロジーを選ぶときは、難易度や費用対効果を考慮することが大切です。自社に開発できる人材がいない場合やリソースが足りない場合は、外部のベンダーに依頼しなければなりません。自社で対応する場合も、事前にコストやスケジュールを把握しておくことでスムーズに進むでしょう。

5.DX戦略の導入を成功させる3つのポイント

DX戦略の導入を成功させる3つのポイント

ここでは、DX戦略の導入を成功させる以下3つのポイントを解説します。

  • リスクの小さい業務から実現する
  • DX人材を確保する
  • PDCAサイクルを回す

DX戦略はポイントを押さえて導入することで、失敗するリスクを低減できます。また、効果を出すためには、継続的な改善が不可欠です。

リスクの小さい業務から実現する

DX戦略の導入後、すぐに効果が出るケースはほとんどありません。短期間で社内の全システムを見直したり、全業務にテクノロジーを導入したりすると、現場の負担が大きくなります。また、従来の対応と大きく変わるため、ミスやトラブルが起こる可能性が高まります。

失敗したときの損失が大きくなるので、一気にDXを推進するのは避けた方が無難です。まずは、リスクの小さい業務からITシステムで対応しましょう。段階的に取り組んでいくことで、DX戦略の導入が成功しやすくなります。

DX人材を確保する

DX戦略を導入するためには、IT技術に精通した人材が必須です。DX人材がいないまま取り組むと、途中で止まったり失敗したりする可能性が高まります。また、予期せぬトラブルが起きても迅速に対処できず、損失が大きくなりやすいです。

しかし、DX人材が不足している企業は多く、新たに採用するのが難しいケースもあります。その場合は既存の従業員を育成したり、外部リソースを活用したりする方法を検討しましょう。

PDCAサイクルを回す

DX戦略を導入したら、PDCAサイクルを回す必要があります。目標の達成状況を定期的に検証しましょう。目標と効果に乖離が生じている場合は、DX戦略の改善が必要です。課題をそのまま放置してしまえば、社内で一向にDXが推進されず失敗に終わってしまいます。1つずつ解消していく必要があるため、現場の意見も取り入れながら改善を繰り返しましょう。

6.自社の現状を把握したうえでDX戦略を策定しよう

6.自社の現状を把握したうえでDX戦略を策定しよう

DX戦略はビジネスモデルの変革によって、新たな価値を創造するための計画・方法です。DX戦略を導入することで、業務効率性・生産性の向上につながります。ただし、既存システムの再構築や新システムの導入が必要になるケースが多く、時間やコストがかかります。社内のリソースを無駄にしないためには、手順に沿ってDX戦略を策定することが大切です。

まずは、達成したいビジョンを明確にするところから始めましょう。自社の現状を把握するときは、「Nにおまかせ!」の「デジタル化スタート診断」がおすすめです。次のアクションも分かるため、DX戦略の策定に役立てられます。

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監修

税理士法人V-Spiritsグループ代表 税理士・社労士・行政書士・FP

中野 裕哲

起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社労士、行政書士、CFP(R)。 税理士法人V-Spiritsグループ代表。年間約1000件の起業相談を無料で受託し、起業家や経営者をまるごと支援。経済産業省後援 起業経営支援サイト「DREAM GATE」で12年連続相談数日本一。 著書・監修書に『一日も早く起業したい人がやっておくべきこと・知っておくべきこと』(明日香出版社)など20冊、累計25万部超

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