取材日:2025.09.24

牛の安全を録画機能付きカメラで365日24時間見守る!
診療回数が3ヶ月間で24回から5回に。治療額も約10万円減!

豊かな自然に囲まれた北海道の北東に位置する枝幸町を拠点に、約200頭の乳牛を飼育・管理する酪農経営を行う株式会社J・C様。牛たちの安全を365日24時間見守るための設備導入という課題に対し、「ギガらくカメラ」を活用した遠隔監視環境の構築と安心して利用できるネットワーク環境の整備を支援しました。導入にいたるまでの経緯や導入後の成果についてお話を伺いました。
牛の安全を録画機能付きカメラで365日24時間見守る!診療回数が3ヶ月間で24回から5回に。治療額も約10万円減!

株式会社J・C

課題解決策
課題

牛たちの安全を見守るための
カメラの導入が進まない

解決策
  • 牛舎に録画機能付きカメラを導入し、365日24時間しっかり見守り。離れた場所からでもスマートフォンなどで牛たちの映像を閲覧可能に

課題

広い牛舎でも安定して使える
ネットワーク環境が必要

解決策
  • Wi-FiアクセスポイントをLANケーブル経由で電源を供給。電源との距離や配線を気にすることなく広い牛舎でも快適にWi-Fiを使用可能に。複数端末からの同時接続にも対応し、快適なご利用環境を構築

課題

牛たちの治療期間を短縮し
負担を減らしたい

解決策
  • 過去7日間分の録画データを参照し体調不良の原因などがわかるようになり、治療期間や診療回数が3ヶ月間で24回から5回に。治療額も約10万円減

命ある牛を相手にする仕事だからこそ、24時間体制で見守る。酪農業の抱える課題

命ある牛を相手にする仕事だからこそ、24時間体制で見守る。酪農業の抱える課題

牛舎へのカメラ導入を検討するも踏み切れず……

200頭規模の酪農経営では、さまざまなご苦労があるかと思いますが、どのような点に課題を感じておられますか?

澤田社長:酪農業は命ある牛を相手にする仕事ですので、24時間体制での見守りが欠かせません。とくに出産を控えた牛がいる場合には、管理の負担が一層大きくなります。いつ子牛が生まれるか分からないため、30分おきに様子を見に行くこともあり、昼夜を問わず自宅と牛舎を往復する日々が当たり前のように続いていました。

「牛たちの安全をしっかり見守りたい」という思いは常にあるものの、限られた人数で運営している現場にとっては、その思いを行動に移すには大きな負担が伴います。牛の安全を守る環境を整えながら、従業員への負担も減らしていきたい。この2つの課題をどう両立するかが、私たちにとって大きなテーマでした。

牛や牛舎を安全に管理するために、これまでどのような対策や検討をされていたのでしょうか?

澤田社長:私たちは少人数で運営していますので、誰かひとりでも抜けてしまうと人手が足りず、業務に影響が出てしまいます。そうした背景もあり、牛舎の清掃はロボットを導入して自動化し、業務の負担を軽減できるところは積極的に対策を進めています。また、すべての牛にセンサーを装着していて、心拍数や活動量などのデータをリアルタイムで収集し、パソコンやスマートフォンから確認できるようになっています。この専用システムのおかげで、約200頭の牛の健康状態を管理するためにかかっていた手間や時間は減りました。

それでも、実際に牛が体調を崩したり、けがをしたりした場合にその原因までを突き止めるのは難しく、もう一歩踏み込んだセキュリティ強化や予防的な対策を講じたいと考えていました。しかし、牛舎へのカメラ導入については、なかなか希望にあうサービスがなく費用も高いので先延ばしになっていました。

信頼関係から生まれたNTT東日本グループとの出会い

課題に対して、NTT東日本グループに相談することになったきっかけを教えていただけますか?

澤田社長:ネットワーク環境の構築の際にお世話になっていたのですが、そのネットワーク環境のセキュリティに関するご案内ということで、担当の駒井さんから電話で連絡をいただきました。春先だったので、この時期は営業の電話が多いものですから「またそういう類いの話かな」なんて思っていたんですよ(笑)。実際話をしてみると、親身になってこちらの話を聞いてくださって、それがきっかけで前々から検討していた牛舎へのカメラの導入について相談してみることにしました。

信頼関係から生まれたNTT東日本グループとの出会い

NTT東日本グループの対応で印象的だった点はありますか?

澤田社長:駒井さんの対応の早さと正直な姿勢ですね。相談から2週間後には、カメラのサンプルを持ってきてくれました。まずはレンタル形式で試用することにして、効果を実感できたので本格導入を決めました。

特に印象的だったのは、カメラ導入の検討を進めるなかで駒井さんが「畜舎へのカメラ導入は初めてで、知見がないためうまくいくかわからない」と正直に伝えてくださったことです。逆にその誠実さが信頼につながりました。

録画機能付きカメラの導入で離れた場所からでも見守りが可能に。情報セキュリティ対策強化、労働環境の改善を支援!

録画機能付きカメラの導入で離れた場所からでも見守りが可能に。情報セキュリティ対策強化、労働環境の改善を支援!

「ギガらくカメラ」の導入で、体調不良やケガの理由が明確になり、治療期間の短縮や費用軽減に!さらに従業員の働き方にも変化が

「ギガらくカメラ」の導入によって得られた効果について教えてください

澤田社長:牛の分娩監視が大きく変わりました。これまでは昼夜問わず牛舎に何度も足を運ぶことが当たり前でしたが「ギガらくカメラ」の導入後は、牛舎から離れたところにいてもスマートフォンやパソコンから牛の状態が確認できるようになりました。これにより、常に牛舎の近くにいなければならなかった従業員も、遠隔で見守ることができるようになり、負担軽減と共に生活も変化しつつあります。

牛の体調不良についても変化が現れています。牛たちには健康状態を管理する専用システムを装着しており、異常などが検知されると専用システムから管理者へ通知される仕組みになっています。

しかし「なぜ調子が悪いのか」という詳細情報まではわかりません。そうなると獣医師への説明も「昨日から調子が悪い」といった曖昧な内容からスタートし、何度も診察に足を運んでいただいたりと治療方針の検討に時間がかかっていました。「ギガらくカメラ」の導入によって、過去の映像を振り返って確認できるようになり「夜中に滑って転んだ」など、分かりにくかった体調不良やけがの理由がはっきりとわかるようになったんです。

「ギガらくカメラ」で撮れた録画データを元に獣医師に具体的な状況を伝えられるようになり、獣医師の側でも事情を把握したうえで治療の準備ができます。結果的に、病気が重くなる前に処置ができ、体調不良やけがの理由を探るために何回も診断しなくても済むようになりました。より早い段階で適切な処置ができるようになり、治療にかかる期間も短縮、費用の軽減にもつながっています。治療にかかる回数が3ヶ月間で24回から5回になり、治療額も約10万円減りました。

また、カメラ導入にあたりネットワーク環境も見直しました。「ギガらくWi-Fi ハイエンド6プラン」にLAN給電オプションを組み合わせて、広い牛舎でも快適にWi-Fiを使用できるようになりました。複数端末からの同時接続も可能ということで安心です。

印象的だった活用例があれば教えてください。

澤田社長:実は、先日膝の手術で10日ほど入院しまして。入院生活の中でカメラの効果を実感しました。従業員から「牛の調子が悪いようです」と連絡がきたので、スマートフォンから映像を確認しました。7日分の録画データが残っているので、遡って見てみると「ああ、この時間にこんなことがあったから調子が悪くなったんだな」と体調不良の原因を発見することができました。入院先の病院から従業員とのやり取りをし、「この時間にこういう問題が起きたから、こう対応してください」とか「獣医さんを呼んでこういう処置をお願いします」と、具体的な指示を出すことができました。おかげで何の問題もなく10日間の入院を終えることができ、カメラを導入して本当に良かったと思いましたね。

地域を守る「次世代型酪農経営」の実現へ

地域を守る「次世代型酪農経営」の実現へ

過疎化する農地を救う新しい経営スタイル

今後の展望について教えていただけますか?

澤田社長:日本の第一次産業は後継者不足と過疎化が本当に深刻な問題になっています。私がここに戻ってきた25年前と比べて、この地域だけでも農家の数が半分に減ってしまったんです。そうすると農地がどんどん余ってくるのですが、農地も生き物です。1年草を取らないでいると、もう次の年には使えなくなってしまう。だから今残っている人間としては、できる限り守っていきたいという思いがあります。

牛舎の清掃ロボットや搾乳の自動化、牛たちの見守りにカメラを導入したように、農業として進化させていかなければならないと思っています。今回の経験で手応えを感じているので、もし将来この地域や他の地域で農地が余ってしまう状況になった時には「第二牧場」という形で同じようなシステムを導入したいと考えています。

遠隔で私がカメラやデータを見ながら現場にいる従業員へと指示を出し、新しい経営スタイルとして規模拡大ができるかもしれません。遠隔監視技術のおかげで、離れた場所からでも情報がリアルタイムで共有できる時代になりましたからね。

こうした技術は私たちの専門分野ではありませんが、NTT東日本グループのような最新技術と知識を持ったところにサポートしていただければ、酪農や農業ももっと効率的に運営できるし、働く人の負担も大幅に減らしていくことができると思っています。

今後の働き方についてはいかがでしょうか?

澤田社長:従来の「365日休みなし」という酪農業のイメージを変えたいと思っています。今は酪農ヘルパーなどもあり作業を任せやすい部分もあるので、以前に比べ仕事と休みのメリハリをもたせることができる環境が整ってきています。

それから、時給制の仕組みも作りました。短時間でも働けるように労働条件を整えることで、酪農に携わるというハードルも下がると思いますし、そうすることでもっと多くの人に関心を持ってもらえるのではと考えています。

実際に4月から酪農未経験の方を雇いましたが、すぐに馴染んでくれました。昔はメモを取りながらの作業が中心でしたが、今はスマートフォンやタブレットを使い情報共有をしています。すこし離れている場所にいる場合は、テレビ電話で映像を共有しながらやり取りすることもできます。この新しい作業スタイルは、若い世代には受け入れやすいようです。

Wi-Fiトラブル発生時も年中無休のサポートで即解決。NTT東日本グループの企業力を実感

Wi-Fiトラブル発生時も年中無休のサポートで即解決。NTT東日本グループの企業力を実感

第一次産業こそ必要なデジタル化と伴走支援

NTT東日本グループに対する印象で変わった点はありますか?

澤田社長:1番大きく感じたのは、サポート体制の充実ですね。牛舎のWi-Fiが使えなくなってしまった際に訪問修理オプションに加入していたので遅い時間だったにも関わらず、その日のうちに2名の技術者の方が駆けつけて復旧してくださったんです。この時の対応で、NTTという企業の母体の大きさやサポート体制の強固さを改めて実感しました。この安心感は本当に大きいです。

今後も酪農や農業の分野で、新しい技術の提案やアイデアをいただきながら、一緒に取り組んでいければと思っています。私たちだけでは思いつかないような発想が、意外とヒットすることもありますから。そういう形で継続的にお付き合いいただけると、とても心強いですね。

「Webプロモーション」の導入を予定されていると伺いました。どのような活用をお考えですか?

澤田社長:実は子どもたちのための野球クラブチームを立ち上げたんです。今、学校の部活動を地域に移行しようという流れがあって、枝幸町でも話に出てきました。

この街の子どもたちが、やりたいと思ったスポーツに挑戦できる環境にしてあげたい。そんな思いもあり、野球については、ちょうど私のような経験者が周りに揃っていたので、みんなで力を合わせてクラブチームを作ることにしました。

他のクラブチームを調べてみると、SNSやホームページを使ってメンバー募集をしたり、協賛を募って企業から支援を受けたりしているチームが多いんですね。立ち上げた野球クラブチームも、SNSやホームページを使ってメンバー募集をしたいと考えており、その際に「Webプロモーション」を導入したいとおもいます。その時はまた、NTT東日本グループさんにお手伝いいただければと考えています。

最後に、同じような課題をお持ちの方に向けて、アドバイスをお願いします。

澤田社長:デジタル化推進は第一次産業にこそ必要だと思います。国もスマート農業を推進している中、私たちのような酪農分野でも、まだまだ活用できる技術がたくさんあると感じています。

特に畜舎や屋外の暑さや寒さに耐えることができるカメラやネットワーク機器の開発など、技術的な進化にも期待していますし、そのためのデータ提供や実証実験には積極的に協力したいと考えています。私たちが実際に使ってみて、改善点や要望を伝えることで、より良い製品ができあがっていくと思っています。このような産業連携が、業界全体の発展につながると信じています。

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