公開日:2025.02.19
目次
個人事業主として開業する際、各種届出の提出や事業を開始するための手続きなど、準備は多岐にわたります。そのため、何から始めるべきかがわからず、悩む方は多いのではないでしょうか。
今回の記事では、開業する際に必要な届出やカフェ・飲食店開業までの手順を解説します。開業までにやっておくと良いことがわかる内容となっているため、独立を考えている方はぜひ参考にしてください。
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個人事業主として開業するために必要となる届け出と、出すことでさまざまなメリットを享受できるようになる届け出の2つの届出について紹介します。
事業を開始する際は、税務署へ開業届を提出します。提出する書類は「個人事業の開業・廃業等届出書」で、提出期限は開業後1ヶ月以内と定められています。
開業届は提出しなくても罰則はありませんが、提出をしない方がデメリットは多いと考えられるため、事業を行う予定の方は忘れずに提出しておきましょう。開業届を出さないデメリットの一例は、以下のとおりです。
開業届を提出すると青色申告時に帳簿付けの義務が発生するなど手間もありますが、事業運営においてメリットが大きいといえます。
青色申告承認申請書とは、確定申告の際に青色申告を行うための届出です。青色申告の控除額は、10万円と55万円、65万円の3種類があります。最大限に控除を受けて支払う税金を抑えるためにも、青色申告承認申請書を提出しておくとよいでしょう。青色申告を行うメリットは、以下のとおりです。
青色申告は税務上のメリットが大きいため、事業を開始する際は開業届と一緒に提出するのがおすすめです。提出先は管轄の税務署で、原則として開業後2ヶ月以内とされています。
この章では、事業成功に向けた準備を10ステップで紹介します。
それぞれの詳細を見ていきましょう。
まずはカフェ・飲食店を開業する目的を明確にし、ビジネスの軸を定めることが大切です。「なぜ開業したいのか」「事業を通して達成したいことは何か」など、開業する目的を明確にしましょう。同時に、事業の成長性を見極めることも重要です。
単に「流行っているから」「儲かりそう」という理由だけでは、開業する理由としては弱いでしょう。10年後に同じ状況があるとは限らないからです。しっかり目的を定めないと、事業頓挫、廃業などのリスクが高まる可能性があるため慎重に検討しましょう。
事業のニーズが市場にあるかを基準にして考えたうえで、開業する目的を明確にすることが大切です。
次に、事業計画書を作成します。
事業計画書は、銀行からの融資や国・地方自治体などからの補助金を受ける際に、第三者へ自社の将来性を説明するために使われます。事業計画書では、収益見込みやコストを具体的な数値で示します。そのため、ビジネスの成功度合いを客観的に記載することが必要です。
事業計画書を作成する際は、ビジネスモデルキャンバスと呼ばれる9つの視点を押さえながら考えていくとよいでしょう。
そのほか、従業員を雇う場合にも事業計画書は有効です。事業計画書を使って目的を共有することで、ビジネスの成功に向けて方向性を共有しやすくなります。
また、事業運営は計画通りに進むとは限りません。そのため事業計画書を作成する際は、収益が得られず資金繰りが難しくなる場合など、さまざまなリスクを想定して作ることが大切です。
次に、お店のコンセプトや対象顧客にふさわしい立地・物件探しを始めましょう。飲食店やカフェなど顧客に来てもらわなければならない業種では、店舗探しはビジネスの成功を左右する重要なポイントです。
店舗探しをする際は条件を具体的に洗い出し、コンセプトに合った物件を見つけましょう。注意するべきポイントとしては以下が挙げられます。
特に、ライバル店や人通りはチェックしておくべき重要なポイントです。ライバルの既存店があると客足が遠のいたり、人通りが少なすぎる場所では新規顧客が入りにくかったりする可能性があるためです。
開業したい方にとって高い障壁の1つとなるのが資金の調達でしょう。カフェ・飲食店を経営する場合にはテナント料だけではなく、人件費や材料費、また各種備品などに対して出費が求められます。そのため、以下のような方法で資金を調達することが望ましいでしょう。
しかし、いずれの方法も、必ずしも資金提供を受けられるわけではありません。それぞれ受給要件や金額の制限があります。また資金提供を受けるためには、現実的なビジネスであることに加えて、事業の将来性や魅力を相手へ充分に伝えることが大切です。
※補助金・助成金は開業時に申請できるものもありますが、採択を受けたとしても資金調達ができるのは相当先になるので、開業時の資金調達手段としては優先度が下がります。
飲食業の平均的な開業資金は、約600万円です。内訳は「自己資金200万円+創業融資400万円」ですが、従業員規模や家賃に応じて必要となる開業資金は変動します。
以下の表に、目安となる開業資金をまとめているため、参考にしてみてください。
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開業資金 | 300万円 | 750万円 | 900万円 |
---|---|---|---|
自己資金+ 創業融資 |
100万円+200万円 | 250万円+500万円 | 300万円+600万円 |
店舗の広さ・家賃 | 5〜10坪・10万〜15万円 | 10〜20坪・15万〜30万円 | 20〜30坪・30万〜50万円 |
従業員数 | 1〜2名 | 2〜4名 | 4〜6名 |
客数 | 客席5~20席程度のバル・カフェなど | 客席20~40席程度の居酒屋・カフェなど | 客席30~60席程度の居酒屋・洋食屋など |
物件が決まったら、設備や備品の準備に取りかかります。業者により実績や強み、金額が異なるため、自身に合った業者を選びましょう。複数社から見積もりを受けることで、比較検討できます。
最近のカフェ・飲食店では、外国人観光客が利用したり、パソコンで作業をしながら長く滞在したりする顧客も少なくありません。そこで必須となるインターネット接続環境をなるべく早く構築してから、お店の準備に注力しましょう。場合によってはインターネットの開通に2ヶ月かかり、インターネット接続環境がないままお店をオープンするケースも見られるため、インターネットの開通準備は早めに行ってください。
しかし、開業までの期間が限られる中、環境を整備するのは時間も労力もかかるでしょう。「Nにおまかせ!」では、電話や光回線などの通信環境をトータルで依頼できます。通信設備周りの準備に少しでも不安のある方は、ぜひ下記をクリックしてみてください。
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詳しくはこちら続いて、保健所への届出・申請などの手続きが必要です。ここで重要となるのが、保健所へ連絡するタイミングです。店舗の図面が完成次第、保健所に確認してもらいましょう。
保健所の確認を通さずに内装・設備工事を行うと、現地確認で指摘を受け、手直し工事が必要になり、オープンが延期になる可能性があります。
オープン日が延期になったことを知らずにカフェを訪れた人は、工事で閉まっているお店を見てがっかりしてしまうかもしれません。このような事態を招かないためにも、保健所への事前確認は必須です。
カフェ・飲食店を開業する方にとって、メニュー開発のアイデア探しは重要なステップです。ただし、斬新なメニューがひらめいたとしても、自分が知らないだけですでに誰かがチャレンジしているかもしれません。
そのため、誰もが考え付かないようなことを1つ探し出すよりも、すでに存在するメニューも含めて、数多くアイデアを出すのがおすすめです。いくつものアイデアを書き出して整理し、客観的に見てみることで、新しいメニューの発見につながると期待できます。
また、最近では宅配サービスでの需要も増えています。宅配サービスはお店の集客にもつながりやすいため、店内メニューとあわせて宅配メニューの導入も検討すると良いでしょう。
次に、店内オペレーションのマニュアル化やスタッフ採用・教育を行います。
店内オペレーションについては、ホールとキッチンに分けて整備する必要があります。実際の接客をシミュレーションしてみながら考えていくと良いでしょう。また、調理や接客・雑務のほかに、トラブル対応へのマニュアルも作成することが必要です。
スタッフの採用は求人サイトに出稿して、採用活動を行うのが一般的です。しかし、人手不足により、求人媒体を使っても自店舗に合ったスタッフが見つからないケースもあるかもしれません。そのような場合には、外部サポートに依頼するのも一つの方法です。
「さまざまな業務で人手やスキルが不足している」「派遣社員を雇う程の予算はない」など、スタッフの採用や教育にお悩みを抱えている方もいるでしょう。「Nにおまかせ!」ではオンライン型の人材アシスタントサービスを提供しています。詳しくは下記をご覧ください。
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詳しくはこちらカフェ・飲食店の集客には、広告宣伝やプロモーションが必要です。開業前からWebサイトや広告媒体を活用して、認知度向上を図ることが大切です。
しかし、店舗の準備に忙しく、広告宣伝やプロモーションまで手が回らない場合には、専門家へ相談してみるのもおすすめです。「Nにおまかせ!」では、WebサイトやSNSなどを活用したお店のWeb集客をサポートしています。
「お店をオープンする準備で忙しく、プロモーションに取り組めない」「SNSを使ってお店を宣伝したいけれど、人材がいない」などのお悩みがある方は、ぜひ「Nにおまかせ!」にご相談ください。
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詳しくはこちら最後のステップとして、開業直前にプレオープンイベントを開催し、オペレーションや接客、設備などの改善点を洗い出すことが挙げられます。可能な限り課題点に対する改善活動に取り組んだうえで、オープン初日を迎えることが重要です。
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詳しくはこちら続いて、開業する前にやっておくと良いこと5選を紹介します。
開業する際は、現在の職場を辞めることになります。辞める際は現在の職場に迷惑がかからないよう、前もって相談しておくなど円満に退職できるよう準備しておく必要があります。自分の抱えている案件や取引先の引き継ぎなど、やるべきことは責任を持って行いましょう。
また、現職のスキルを活かして開業したい方は、勤めている企業や取引先と良好な関係を保つことも大切です。同じ業種で成功している方とつながりを持つことで、事業運営における困りごとを相談できます。
開業を決めたら、家族や周囲の人の理解を得るようにしましょう。
会社勤めとは違い、開業直後は思うように利益を得られない可能性もあります。生活が立ち行かなくなるリスクもあるため、開業する際にはあらかじめ家族の理解を得てサポートをしてもらえる体制を作ってことが大切です。
開業は自分だけのことと考えず、事業を立ち上げたい理由や成し遂げたい目標などを丁寧に伝えておきましょう。
開業時に会社を辞める場合は、クレジットカード作成やローンの申し込みを、会社勤めの間に済ませておくとよいでしょう。
クレジットカードの作成やローンの申込時には、収入の安定性や金融事故を起こしていないかなどの審査が行われます。個人事業主は収入が安定しないという点から、審査に通りにくい場合があります。家や車など生活に必要なものを購入予定の方は、会社を辞める前に申し込みを済ませておくのがおすすめです。
開業前に、困ったときに頼れる相手を見つけておきましょう。
開業が初めての場合、思いがけないトラブルが発生することもあるかもしれません。たとえば、「Web集客がうまくいかない」「ネットワーク機器に不具合が生じたけれど、対処法がわからない」などが挙げられます。
事業に関するトラブルは、事業内容をよく理解していて、類似した業種の事例をよく把握しているような相談相手をあらかじめ見つけておくと安心です。場合によっては、法律の専門家なども知っていると心強いでしょう。
開業時のネットワーク環境の構築やWeb集客などのお困りごとは「Nにおまかせ!」
詳しくはこちら開業資金を集めるのに苦労する方も多いでしょう。そこで、利用できる補助金・助成金がないかを調べてみることをおすすめします。
補助金は、主に経済産業省や地方自治体などが管轄し、事業拡大や技術開発などを支援します。一方、助成金は主に厚生労働省が主体となって、雇用増加や能力開発などを支援するものです。支援分野や実施元などに違いはありますが、どちらも基本的には返済義務はない点が共通しています。
カフェ・飲食店を開業する際に利用できる可能性のある補助金として、「小規模事業者持続化補助金」があります。概要は、次のとおりです。
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名称 | 概要 |
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小規模事業者持続化補助金 | ■申請条件 小規模事業者であること ※業種ごとに従業員数で小規模事業者であるか否かを判断 ■補助額・補助率 通常枠の補助上限金額は50万円、補助率は補助対象経費の3分の2 |
※2024年9月時点の直近公募の情報です。
※最新の情報は公式サイトをご確認ください。
開業前後で忙しく、補助金の申請まで対応できない場合には、補助金申請サポートを専門家へ依頼することも検討してみましょう。
開業後の補助金活用をサポート!「Nにおまかせ」
詳しくはこちらカフェ・飲食店を開業したいと考えている方は、本記事で紹介した10のステップをもとに開業の準備を進めていきましょう。自店舗のメニュー開発だけでなく、物件探しやWeb集客などにも注目して、一つひとつのステップに取り組むことが大切です。
「開業準備に追われて細かい作業ができない…」などの悩みを抱えている方は、外部サービスのサポートを受けることもおすすめです。「Nにおまかせ!」では、ネットワーク環境の構築や、WebサイトやSNSなどを活用した集客活動をサポートしています。「カフェ・飲食店を開業したい」とお考えの方は、ぜひお気軽にご相談ください。
開業をご検討されている方必見!
監修
税理士法人V-Spiritsグループ代表 税理士・社労士・行政書士・FP
中野 裕哲
起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社労士、行政書士、CFP(R)。 税理士法人V-Spiritsグループ代表。年間約1000件の起業相談を無料で受託し、起業家や経営者をまるごと支援。経済産業省後援 起業経営支援サイト「DREAM GATE」で12年連続相談数日本一。 著書・監修書に『一日も早く起業したい人がやっておくべきこと・知っておくべきこと』(明日香出版社)など20冊、累計25万部超
V-Spiritsグループ Webサイト