公開日:2022.02.21
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昨今、時間や場所に縛られない新しい働き方として、個人事業主やフリーランスで活躍する方が増えています。また、会社員の在宅勤務推進も進み、「毎日会社に出社して働く」という従来の働き方が見直されつつあります。このように働き方が多様化する中で、注目を浴びているのが「コワーキングスペース」です。
今回の記事では、コワーキングスペースの概要やメリット・デメリット、利用できる機能や料金、利用時に押さえておきたいポイントについて解説します。ぜひ参考にしてください。
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コワーキングスペース(Coworking Space)とは、年齢・職種・所属を問わず、さまざまな人々が同じ空間を共有しながら仕事を行うスペースです。「Co(共同の・共通の)」「working(働く・仕事をする)」「Space(場所)」を組み合わせた造語で、「共同で働く場所」という意味があります。
施設ごとに特色は異なりますが、カフェのような開放的な空間で、フリーアドレス形式の作業スペースを共有することが一般的です。また、インターネット接続環境やコピー機など、オフィスに近い設備が整っているため、スムーズに業務を開始できます。
主に、リモートワークで在宅勤務を行うフリーランスや起業家、特定のオフィスを持たずに、自宅やカフェなどのさまざまな場所で仕事をするノマドワーカーを中心に利用されていますが、オフィス以外での勤務が認められている会社員が活用するケースもあります。
働き方が多様化している現代において、自分のオフィスとして自由に使える点が、コワーキングスペースの大きな魅力です。
コワーキングスペースと似たサービスとして、シェアオフィスがあります。厳密な定義はありませんが、どちらも個人や企業が共有して利用するオフィススペースであり、「フレキシブルオフィス」の一種です。
主な違いは、契約形態や利用期間にあります。コワーキングスペースは日単位・月単位での利用が主流です。一方、シェアオフィスは1ヶ月から1年程度の中長期契約が多い傾向にあります。また、コワーキングスペースはフリーアドレス形式を中心に、利用者同士の交流やコミュニティ形成を重視しています。それに対し、シェアオフィスでは個室も用意されており、各自が集中しやすい環境が整えられている点が特徴です。
施設ごとに特徴や契約内容が異なるため、どちらを選ぶにしても事前に詳細を確認することが重要です。
レンタルオフィスも、必要に応じて利用できるワーキングスペースの一つであり、コワーキングスペースやシェアオフィスと多くの共通点があります。
レンタルオフィスの主な特徴は、利用者が半個室や個室の専用スペースを持てることです。個室で集中して作業を行いたい場合に適しています。また、運営会社によっては、受付や会議室が備えられている他、来客対応・電話受付代行・秘書サービスなどが提供される場合もあります。
ただし、コワーキングスペースでも個人ブースや会議室が設置されている施設や、郵便物の受け取り・電話転送・秘書代行サービスを提供している施設も存在します。
自分の利用目的に合った機能やサービスが受けられる施設を選びましょう。
コワーキングスペースを、開業時の最初のオフィスとして検討される方もいるかと思います。また、新たに事業を始める際には、デジタルツールを活用し、ICTを効果的に導入することが重要です。NTT東日本グループでは、開業に向けたデジタルツールの活用を支援し、業種や職種に応じたICTサービスを紹介するとともに、開業のポイントについて情報を提供しています。
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詳しくはこちらコワーキングスペースでは、利用者のニーズに応じて多様な機能が用意されています。その具体的な内容は施設ごとに異なるため、利用を検討する際は複数のコワーキングスペースを比較し、自分に適切な場所を選ぶことが大切です。
ここでは、コワーキングスペースの主な機能や使い方について紹介します。
多くのコワーキングスペースでは、個人向けの専用ブースが設置されている場合があります。これらのブースには、デスク・チェア・電源・USBポート・Wi-Fiなど、パソコン作業に必要な設備が整っており、快適な作業環境を提供してくれます。周囲を気にせず集中したいときや、静かな環境で電話やWeb会議を行いたい場合、さらには機密情報を取り扱う際などに非常に便利です。
ただし、個人ブースの設置有無は運営会社や施設によって異なり、利用方法も日単位・時間単位で利用できる場合と、月額契約が必要な場合があります。事前に個人ブースの有無や契約条件を確認しましょう。
一部のコワーキングスペースでは、その住所を利用して法人登記が可能です。法的にも問題はありません。
フリーランスの方やスタートアップ企業は、自宅住所を法人登記に使用することも可能ですが、プライバシー保護の観点から避けたいと考える場合もあるでしょう。コワーキングスペースで法人登記を行えば、自宅情報が漏れる心配がありません。また、コワーキングスペースは駅近やビジネス街などの好立地にあることが多く、法人の信用力向上にもつながります。
ただし、全てのコワーキングスペースが法人登記に対応しているわけではありません。法人登記を検討している場合は、事前に対応可能かどうかを必ず確認しましょう。
多様な働き方に対応するため、コワーキングスペース内に会議室やセミナールームを併設している施設も増えています。
会議室は、取引先との打ち合わせや商談などに活用できます。セミナールームはセミナーやイベント、交流会の開催におすすめです。これらのスペースには、テーブル・チェア・ホワイトボードなど必要な備品があらかじめ備え付けられていることが多く、準備や移動の手間が省けるのも魅力です。
ただし、会議室やセミナールームの有無や利用料金は、施設によって異なります。利用を予定している場合は、詳細や追加費用について事前に確認しておきましょう。
法人登記などで住所利用が許可されている場合、郵便物や宅配便の配送先としてコワーキングスペースの住所を指定することが可能です。多くのコワーキングスペースでは、常駐スタッフが荷物の受け取りを代行し、受け取った荷物を指定先へ転送してくれるサービスを提供しています。
コワーキングスペースをオフィス代わりとして活用している方や、外出が多くオフィスを不在にしがちな方にとって、非常に便利なサービスです。
新たに法人を設立した方や個人事業主の方の中には、事業専用の電話番号を取得したいと考えている方も多いかと思います。コワーキングスペースによっては、電話やFAXの転送サービスを提供しているところがあります。
このサービスでは、コワーキングスペースが提供する番号に着信やFAXが届くと、それを希望する番号へ即座に転送することが可能です。固定電話やFAXの番号を持つことで、名刺やWebサイトに記載することで、取引先からの信頼度向上が期待できます。
また、「電話番号を自分で用意したいけれど、どう選べば良いかわからない」という方もいるかもしれません。NTT東日本グループでは、法人向け電話番号取得のサポートを行っています。
コワーキングスペースの中には、利用者同士のつながりを促進するために、交流会を開催しているところもあります。さまざまな業種・職種の方が利用しているため、情報収集の場としてだけでなく、新たなビジネスチャンスやコラボレーションのきっかけにもなるかもしれません。
また、業界の最新動向やトレンドを知るヒントになったり、自分では出会えなかった人脈が広がったりする可能性もあります。なお、交流会の有無や開催頻度は施設によって異なるため、事前に確認しておくことをおすすめします。
多くのコワーキングスペースでは、基本的に飲食物の持ち込みが可能です。また、施設によっては電子レンジ・水道・冷蔵庫・コンロ・ケトルなどの設備を自由に利用できる場合もあります。カフェスペースや飲食物の販売があるところでは、手軽に購入することも可能です。
さらに、近年ではシェア型のキッチンスペースを併設しているコワーキングスペースも増えています。飲食の試作品開発や、曜日・時間限定の飲食店の運営、キッチンカーやケータリングの仕込み場としての利用など、多様な働き方を支える場として注目されています。
キッチンスペースの有無や利用料金は施設ごとに異なるため、具体的な利用を検討している方は、事前に詳細を確認しておきましょう。
コワーキングスペースの利用には料金がかかり、料金形態や利用方法は「月額制」と「ドロップイン(日・時間単位)」の2種類が一般的です。ここでは、それぞれの特徴について解説します。
月額制は、毎月定められた料金を支払い、コワーキングスペースを利用する方法です。ドロップインで毎日利用するよりも割安な料金設定になっていることが多く、利用頻度が高い方やコストを抑えたい方に向いています。
なお、月額制のプランには「1日数時間のみ利用可能」なものから「契約期間中はいつでも利用可能」なものまで、さまざまな種類があります。また、法人登記サービスや電話転送サービスなどのオプションが別料金になっているケースもあるため、利用目的に合わせて適切なプランとオプションを選びましょう。
ドロップインは、日単位または時間単位で料金が発生する従量課金型の利用方法です。利用した時間ごとに精算を行うため、さまざまな場所のコワーキングスペースを利用したい方、利用頻度が少ない方、不定期に利用する方に適しています。
ただし、月額制に比べて1回当たりの利用料金は高めに設定されていることが多く、また利用する曜日や時間帯によって料金が異なる場合がある点に注意が必要です。中には「6時間利用プラン」や「1日使い放題プラン」など長時間利用に適したプランを用意している施設もあるため、利用スタイルに応じて選びましょう。
コワーキングスペースは、フリーランスや在宅勤務の会社員に向けて、快適に仕事ができるよう工夫されています。うまく活用することで業務効率を向上させることも可能です。以下では、コワーキングスペースを利用するメリットについて紹介します。
また、コワーキングスペースの利用を検討している方の中には、新規に事業を開業しようと考えている方もいるかもしれません。「開業したいが、何から始めれば良いのかわからない」と悩んでいる方に向けて、NTT東日本グループでは開業トータルサポートを提供しています。
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詳しくはこちらコワーキングスペースは、月額料金またはドロップイン料金を支払うだけで利用できる手軽さが魅力です。
例えば、賃貸オフィスを借りる場合は毎月の賃料に加えて、初期費用や内装工事費として数十万円以上かかることもあります。また、自宅をオフィス代わりにする場合でも、業務に伴う光熱費の使用分やプライベートとの区切りが難しいといった問題が出てきます。
一方、コワーキングスペースであれば、初期費用は1万円前後、月額料金も5,000円〜3万円程度が相場です。光熱費や清掃の手間もかかりません。リーズナブルに快適な仕事環境を確保したい方には、コワーキングスペースの利用がおすすめです。
カフェやレストランで長時間仕事をすると、店舗スタッフに迷惑がかかるだけでなく、他のお客さまの目も気になります。また、不特定多数の人が出入りするため、会社情報の漏えいリスクが高まることも懸念すべき点です。
その点、コワーキングスペースは「働く場所」として提供されているため、周囲の目を気にせず、安心して仕事に打ち込むことが可能です。個人ブースをレンタルすることで、さらに集中しやすい環境が整います。
また、日常的な利用に限らず、出張や営業先への外出時などに周辺のコワーキングスペースのドロップインを活用する使い方もおすすめです。
コワーキングスペースは、利用者が快適に仕事を進められるよう、必要なインフラが整ったワークスペースです。作業用のデスクやチェアはもちろん、パソコン作業に欠かせない電源やWi-Fiも完備されています。また、施設によっては液晶モニターや接続ケーブル、プリンター、プロジェクターなど、ビジネスシーンで役立つ設備が揃っている場合もあります。
また、カフェスペースやフリードリンクサービスが提供されている場合もあり、リフレッシュしながら作業に取り組むことが可能です。さらに、会議室やセミナールームが併設されている施設も多く、オンライン会議やセミナーをスムーズに開催できます。リモートワークの普及によりオンライン会議の機会が増えた今、落ち着いた環境で会議や商談に集中できるのは大きな魅力です。
コワーキングスペースは、さまざまな業種や業界の人々が作業をする場でもあります。そのため、普段出会うことのない業界の方とつながりができたり、コミュニティを広げたりと、新たな人脈を築くチャンスが生まれるかもしれません。
交流スペースがある施設であれば、自然と多くの人とコミュニケーションを取る機会が増え、施設が主催する交流会やイベントが開催されることもあります。特に、1人で仕事をすることが多いフリーランスや、起業したばかりの個人事業主など、情報交換の機会が少ない方にとっては大きなチャンスです。他業種から刺激を受けたり、新しいアイデアやコラボレーションのきっかけを得たりするなど、ビジネスチャンスが広がる可能性があります。
コワーキングスペースは魅力的なサービスが多く、上手に活用することで仕事の効率を大きく高められます。しかし、利用するうえで注意すべきデメリットも存在します。以下では、利用前に知っておきたいポイントを紹介します。デメリットもしっかり理解したうえで、利用を検討しましょう。
コワーキングスペースは基本的にフリーアドレス制のため、利用者が多い場合は座席を確保できないことがあります。また、フリーデスクでは複数人が同じ空間を共有するため、席に座れたとしても十分な作業スペースが取れない場合もあります。
最近では、ホームページで混雑状況を確認できる施設や、座席予約が可能な施設、月額制で個人ブースを利用できる施設も増えているので、事前に確認しておくと安心です。
コワーキングスペースは、複数の利用者とオープンスペースを共有しているため、周囲の話し声や電話の音が気になり、集中できないこともあります。カフェやレストランでの作業が苦にならない方であれば問題ありません。しかし、周囲の雑音が気になって集中できないという方には向かない可能性があります。
周囲の音が気になる場合は、個人ブースをレンタルできる施設を検討しましょう。個人ブースには完全個室タイプや、パーテーションで区切られた半個室タイプなどがあるため、自分に合ったスタイルを選びましょう。
コワーキングスペースでは、不特定多数の人とスペースを共有するため、情報の取り扱いには十分な注意が必要です。特に机の上に置く資料や、電話・ミーティング中の会話内容に気を配ることが求められます。また、盗難や情報漏えいのリスクにも注意が必要です。席を離れる際には資料やパソコンを持ち歩く、パソコンにロックをかける、社外秘情報に関する会話を控えるなど、細心の注意を払いましょう。
さらに、利用前には施設のご利用環境が適切な情報セキュリティ対策を講じているか確認しましょう。Wi-Fiの高速性や安全性、不正アクセスを防ぐ暗号化処理の有無も重要なチェックポイントです。
コワーキングスペースは、運営する企業や施設ごとに特徴や料金体系が異なります。コワーキングスペースの利用を検討している方は、以下のポイントを参考に、自分に合った施設を探してみましょう。
コワーキングスペースを選ぶ際は、自分の働き方に合った環境かどうか、実際に確認することが大切です。主なチェックポイントは以下のとおりです。
実際に利用してみないと、自分に合うコワーキングスペースかどうかを判断しにくいかもしれません。多くのコワーキングスペースでは、トライアルやドロップインを提供しています。ホームページで気になる施設を見つけたら、実際に試してみることをおすすめします。
仕事内容や利用目的に応じて、必要な機能やサービスが揃っているかどうかも重要なポイントです。必要な機能・サービスの一例は以下のとおりです。
利用者によって必要な設備は異なります。事前に自分の利用目的を明確にし、それに合ったサービスが整っているか確認しましょう。
クライアントや取引先との信頼関係を築くためにも、コワーキングスペースの設備やサービスが、取引先の求める基準を満たしているか確認しましょう。主なチェックポイントは以下のとおりです。
取引先からの要望がある場合は、事前にヒアリングを行い、それに合ったコワーキングスペースを選びましょう。
近年、個人事業主やフリーランスとして活動する方の増加や、会社員の在宅勤務の普及により、注目を集めているのがコワーキングスペースです。コワーキングスペースは、利用者のニーズに応じた多様な機能やサービスが整っており、上手に活用することで快適で効率的な作業環境を整えられます。シェアオフィスやレンタルオフィスと明確な差があるわけではありません。
ただし、施設によって特徴や料金体系はさまざまです。主な機能には個人ブース、会議室、法人登記、郵便物転送などが挙げられます。自分の利用目的や働き方に合ったコワーキングスペースを見つけることが大切です。
気になる施設が見つかった場合は、トライアルやドロップイン利用を活用し、実際の環境を確認してみましょう。ただし、情報セキュリティ対策には十分注意しましょう。
また、コワーキングスペースを拠点として新たに事業を始めたいと考えている方もいるかもしれません。事業を新規開業する際は、さまざまな準備や情報収集が必要不可欠です。NTT東日本グループでは、開業に役立つ情報提供からデジタルツールの活用支援まで、ICT分野を中心としたトータルサポートを行っています。開業を検討している方は、ぜひ以下のページも参考にしてください。
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監修
税理士法人V-Spiritsグループ代表 税理士・社労士・行政書士・FP
中野 裕哲
起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社労士、行政書士、CFP(R)。 税理士法人V-Spiritsグループ代表。年間約1000件の起業相談を無料で受託し、起業家や経営者をまるごと支援。経済産業省後援 起業経営支援サイト「DREAM GATE」で12年連続相談数日本一。 著書・監修書に『一日も早く起業したい人がやっておくべきこと・知っておくべきこと』(明日香出版社)など20冊、累計25万部超
V-Spiritsグループ Webサイト