雇用保険の加入条件とは?手続きや申請期日、最新の法改正のポイント

公開日:2025.08.13

雇用保険の加入条件とは?手続きや申請期日、最新の法改正のポイント

この記事で
わかること

  • 雇用保険の加入条件と手続きについて
  • 雇用保険の被保険者の種類と注意点
  • 2028年10月からの雇用保険法改正について
雇用保険は、従業員が失業した際や育児休業を取得する場合などに給付を受けられる制度です。事業主は、加入条件に適う従業員を雇用する際に、加入手続きを行う義務があります。本記事では、雇用保険の加入条件や手続き方法に加え、最新の法改正についても詳しく解説します。雇用保険の制度を正しく理解し、適切に対応するための参考にしてください。

※本記事の情報は2025年2月時点のものです。

目次

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1.雇用保険の加入条件

雇用保険とは、従業員が失業した際などに給付を受けられる公的保険制度であり、労働者の生活や雇用の安定を図りながら、再就職の支援を目的としています。雇用保険に加入するためには、以下のすべての条件を満たす必要があります。

  • 1週間の所定労働時間が20時間以上であること
  • 雇用期間が31日以上見込まれること
  • 学生ではないこと

以下で、各条件について見ていきましょう。

1週間の所定労働時間が20時間以上

1週間の所定労働時間が20時間以上であることが、雇用保険の加入条件の一つとされています。

ここでいう「1週間の所定労働時間」とは、就業規則や雇用契約に基づき、その従業員が通常の週(祝祭日や夏季休暇、年末年始などの特別休暇を含まない週)に勤務することになっている時間を指します。

たとえば、パート従業員が1日4時間、週3日勤務する場合、1週間の所定労働時間は12時間となるため、雇用保険の加入条件を満たしません。

雇用期間が31日以上

「雇用期間が31日以上」とは、雇用期間の定めがない場合や、31日以上の期間を定めて雇用する場合に該当します。

また、契約期間が1ヶ月であっても、更新する予定が明確にあるケースでは、加入条件を満たします。ただし、契約更新の予定がなく、雇用期間が31日未満にとどまる場合には、雇用保険に加入することはできません。

学生ではない

学生ではないことも雇用保険の加入条件の一つです。ここでいう学生とは、昼間学生のことです。ただし、昼間学生でも休学中や卒業見込証明書があり、卒業後も同じ職場で勤務する場合には例外として加入対象になります。また、夜間部や定時制、通信制の学生で、週20時間以上の雇用契約を結ぶ場合においても、雇用保険の加入対象です。

学生のアルバイト従業員を雇う場合には、加入条件を事前に確認しておきましょう。

※昼間学生(ちゅうかんがくせい):主に昼間に学業を行っている学生のこと。昼間に教育機関に通学している場合、原則として雇用保険に加入することはできない。

2.雇用保険の被保険者の主な種類

一般的に、雇用保険の被保険者は、年齢や雇用形態によって4種類に分けられます。以下に4種類の概要についてまとめました。

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種類 概要
一般被保険者 以下3つの高年齢被保険者、短期雇用特例被保険者および日雇労働被保険者以外の被保険者のこと。
短期雇用特例被保険者 季節的に雇用され、以下のいずれにも該当しない者のこと。
1)4ヶ月以内の期間を定めて雇用される者
2)1週間の所定労働時間が30時間未満である者
「季節的に雇用」される者は、季節的業務に期間を定めて雇用される者を指す。なお、同一の事業主に引き続き1年以上雇用され、1年以上の雇用となった日以降は、一般被保険者(65歳未満)または高年齢被保険者(65歳以上)となる。
日雇労働被保険者 日々雇用される者または 30日以内の期間を定めて雇用される者で一定の要件に該当する被保険者のこと。
高年齢被保険者 65歳以上の被保険者であり、「短期雇用特例被保険者」および「日雇労働被保険者」に該当しない者のこと。

3.雇用保険の手続き・提出方法

ここでは、事業者が行う雇用保険の手続きと書類の提出方法について解説します。

入社時・離職時の加入手続き

従業員の入社時と退職時に分けて、以下の表でそれぞれ必要となる加入手続きを見てみましょう。

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入社時 初めて従業員を雇用する場合 ハローワークに「雇用保険適用事業所設置届」と「雇用保険被保険者資格取得届」を提出する
さらに従業員を雇用する場合 ハローワークに「雇用保険被保険者資格取得届」を提出する
離職時 ハローワークに「雇用保険被保険者資格喪失届」と、給付額などの決定に必要な「離職証明書」を提出する

雇用保険適用事業所設置届と雇用保険被保険者資格取得届は、以下のような書式となります。

雇用保険適用事業所設置届と雇用保険被保険者資格取得届

出典:「ハローワーク|雇用保険適用事業所設置届」
   (https://hoken.hellowork.mhlw.go.jp/assist/001000.do?screenId=001000&action=koyohotekiSetchiLink)
   「ハローワーク|雇用保険被保険者資格取得届」
   (https://hoken.hellowork.mhlw.go.jp/assist/001000.do?screenId=001000&action=koyohohiLicenceLink)

書類の提出方法

書類の提出方法には、公共職業安定所(ハローワーク)の窓口へ直接持参する方法や郵送のほか、電子申請を利用する方法もあります。電子申請は、総務省が提供するインターネット上の行政サービス「e-Gov(イーガブ)」を通じて行うことができます。

電子申請により、書類を持参するためにハローワークへ出向く必要がなくなり、インターネットに接続されたパソコンがあれば、自宅やオフィスからいつでも手続きを完了させることが可能です。

4.雇用保険の申請期日

事業者が従業員を雇用し、その従業員が雇用保険の被保険者となる条件を満たした場合、被保険者となった月の翌月10日までに、公共職業安定所(ハローワーク)にて雇用保険への加入申請を行う必要があります。

申請後、ハローワークの長による確認が行われ、「雇用保険被保険者証」とともに「雇用保険資格取得など確認通知書(被保険者通知用)」が交付されます。この通知書は、雇用保険の加入手続きが完了したことを証明するため、被保険者へ確実に渡しておきましょう。

5.雇用保険の加入手続きに関する注意点

雇用保険の加入手続きに関する注意点

ここでは雇用保険の加入手続きについて解説します。下記のとおり、2028年から適用範囲が拡大するため、しっかりと把握しておきましょう。

改正雇用保険法により2028年10月から適用範囲が拡大する

2024年5月に雇用保険法などの一部が改正され、2028年10月以降、雇用保険の適用範囲が拡大されることとなりました。具体的な変更点として、現在の被保険者要件にある「1週間の所定労働時間が20時間以上」という条件が「10時間以上」に変更され、適用対象が拡大されます。

この改正は、多様化する働き方の進展や、より多くの労働者が雇用保険の対象となることを踏まえ、雇用のセーフティネットを広げる狙いがあります。

原則として法人の役員は被保険者とならない

原則として、法人の役員は被保険者となりません。法人の役員とは、取締役・執行役員・監査役などを指します。

しかし、部長・支店長・工場長など会社 の従業員としての身分も有している「使用人兼務役員」の場合、就労実態や給料支払いなどの面から労働者としての実態があり、雇用関係が存在している限り、被保険者となる可能性があります。

加入対象者が未加入の場合には罰則がある

加入条件を満たしているにもかかわらず届出を行わなかった場合、雇用保険法第84条1号に基づいて以下のように罰せられる恐れがあります。

  • 6ヶ月以下の懲役
  • 30万円以下の罰金

雇用保険は、事業の種類や規模に関係なく、原則としてすべての事業が適用対象になります。前述のように届出を行わないだけでなく、虚偽の内容を届け出ても同じように罰せられます。

罰則を避けるためにも、法律で定められた加入条件を満たす労働者を雇用した場合には、必ず加入手続きを行うように注意しましょう。

ただし、やむをえない事情やミスにより手続きが遅延する場合もあるため、即処罰となるわけではありません。その場合、管轄の公共職業安定所(ハローワーク)の指導により、「遅延理由書」の提出が求められることがあります。

6.雇用保険の手続きや計算を効率的に行う方法

雇用保険をはじめとする社会保険の手続きや計算を効率化したい場合、労務管理ソフトの活用がおすすめです。

労務管理ソフトを利用することで、従業員の入社・退社時に必要な社会保険の手続きを、手作業よりも比較的簡単に行うことが可能です。さらに、電子申請にも対応している製品も多く、業務の効率化が期待できます。

また、労働契約書の作成や年末調整の処理まで可能な労務管理ソフトもあり、さまざまな作業を一元管理するのに役立ちます。「従業員が増えて管理が煩雑になってきた」「従業員情報を効率的に管理したい」といった課題を感じている場合には、労務管理ソフトの導入を検討してみましょう。

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8.まとめ

雇用保険は、従業員が失業した際や育児休業を取得する場合に、給付を受けられる公的保険制度です。正社員だけでなく、所定労働時間が週に20時間以上(2028年10月から10時間以上に変更)、雇用期間が31日以上見込まれるなどの条件を満たせば、パートやアルバイトでも加入できます。

事業者は該当する従業員を雇用した場合、公共職業安定所(ハローワーク)で加入手続きを行う義務があります。書類は窓口、郵送、電子申請(e-Gov)で提出可能です。

また、手続きを効率化するには労務管理ソフトの活用がおすすめです。電子申請や書類管理が簡単になり、業務負担を軽減できるでしょう。

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