公開日:2022.03.22

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わかること
目次
飲食店は起業の中でも人気の職種です。ただ、決して気軽に開業できるわけではなく、食品衛生法などに基づいた営業許可を取る必要があります。飲食店を開業する際の営業許可の取得方法や提出書類、取得するまでの流れや更新について、わかりやすくまとめています。飲食店の開業を検討している方はぜひ参考にしてみてください。
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飲食店の開業条件である営業許可は、管轄の保健所による施設検査をクリアしないと取得できません。その条件として、「食品衛生責任者の設置」と「施設基準に準拠した店舗設備」の2点が挙げられます。
無許可で営業した場合、食品衛生法の違反となり、2年以下の懲役または200万円以下の罰金が科されます。
「食品衛生責任者」とはその名の通り、食品の衛生管理を行う責任者です。保健所による施設検査をクリアする条件の一つとして、食品衛生責任者の設置が義務付けられています。
食品衛生責任者になれる資格は以下の通りです。
上記の資格保持者以外に、各自治体が実施する「食品衛生責任者養成講習会」を受講した方も対象に含まれます。講習会は定員制のため、すぐに満席になります。そのため、特に都市部では希望の日程に受講できない可能性があります。
また、食品衛生責任者は、1店舗につき1名の配置が必須です。原則として他店舗との兼任は不可ですが、敷地内などで店舗が隣接している場合は認められる場合もあります。
営業許可は保健所に申請し、施設検査をクリアすることで取得できます。飲食店の開業には、人手不足や物価高などのリスクも存在します。そのような状況に備えるためには、デジタルツールの活用がおすすめです。ICT化により、集客力の上昇や店舗運営の効率化、万全な情報セキュリティ対策などが実現します。
下記の記事には、業種・職種別のICTサービスの紹介や開業のポイントなどが記載されています。ぜひ参考にしてみてください。
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以前の飲食店営業許可には「飲食店営業許可証」と、酒類を提供しない「喫茶店営業許可証」の2種類がありました。しかし、2021年6月1日に施行された改正食品衛生法により、喫茶店営業許可証が廃止されたため、すべての飲食店が飲食店営業許可の対象となっています。
現在、飲食店の営業許可証は1種類のみですが、深夜(午前0時から午前6時まで)に酒類を提供する居酒屋・バーなどの業態は、風俗営業法に基づく深夜営業の届け出を警察署に提出しなければなりません。
また、出店する建物全体の収容人数が30人以上の飲食店では、消防法第8条により「防火管理者」の選任が義務付けられています。防火管理者の資格は、消防本部などで講習を受ければ取得できます。

飲食店の営業許可証は、店舗の住所を管轄する保健所に申請します。
施設検査をクリアするためには、地域ごとの細かなローカルルールも知っておく必要があります。
保健所の窓口では、無料で事前相談に応じてくれるので、初めて営業許可を申請する方でも手続きがスムーズに進みます。その際に、申請に必要な書類や手続きの流れ、施設基準に関する疑問点など、あらゆる質問に答えてもらうことで、不安を解消できます。
さらに、営業許可申請時には食品衛生責任者の資格が必須となるため、まだ取得していない場合は事前相談と並行して、資格取得の準備も考慮しましょう。
事前相談を経て、図面などに問題がなければ施工を開始します。施工が完了したら、営業許可申請を提出します。
営業許可申請書は保健所で入手するか、店舗所在地の自治体公式サイトからダウンロードしましょう。記入について不明点がある場合は、保健所に問い合わせるか、自治体公式サイトに掲載されている記入例を参考にすると良いです。
営業許可申請書に不備などがなければ、次は保健所職員の立ち会いのもと、施設検査を受ける段階に入ります。
以下より、東京都の施設基準の一部を紹介します。
提出書類と施設検査をクリアすることで、営業許可証が交付されます。保健所窓口や郵送など、自治体によって交付方法が異なります。

飲食店の営業許可申請時に提出する書類は、主に以下が挙げられます。
ただし、自治体によって、提出書類や様式が変わる場合があるので、必ず事前に問い合わせましょう。
食品衛生責任者の資格を保有している場合は、その資格を証明する書類を提出します。保健所が開催する食品衛生責任者養成講習会を受講した場合は、食品衛生者手帳などを提出します。
営業許可申請書は保健所で入手するか、店舗所在地の自治体公式サイトからダウンロードします。
施設の構造及び設備を示す図面は、店舗の厨房と客席の配置を示す書類です。設計図をもとに、設備の位置や寸法、名称(ガスコンロ、食器棚、手洗い場、トイレなど)を正確に記入します。
内装業者に依頼することで、専門的な図面を作成してもらえます。
水道水や専用水道、簡易専用水道ではなく、井戸水やテナントビルの貯水槽を利用する場合に提出する書類です。水質検査は、厚生労働大臣の登録を受けた検査機関に依頼します。
ただし、飲食店が入るテナントビルなどは、毎年検査を行っている場合もあるため、検査を依頼する前にビルの管理会社などに問い合わせてみましょう。
法人が営業許可を申請する場合、会社情報が記載された登記事項証明書の提出が必須です。「目的」欄には「飲食店経営」と記載しなければならず、特に事業内容を変更した会社は注意しましょう。
なお、東京都などの自治体では、営業許可申請書に法人番号を記載することで、登記事項証明書の提出が不要になります。

各自治体によって異なりますが、営業許可の取得に手数料がかかります。例えば、いずれも「新規の飲食店営業」に分類される場合、東京都新宿区は18,300円、神奈川県小田原市は16,000円、埼玉県さいたま市は17,600円です。

営業許可の申請から営業開始までの期間は、約10日を見込んでおきましょう。自治体によって手続きの流れや施設検査の基準が異なるため、保健所への事前相談の際に、おおまかなスケジュールを把握しておくことをおすすめします。
保健所の施設検査は、工事完了後に行われます。営業開始を急ぐ場合は、工事完了前に書類の営業許可申請を行い、完了後すぐに施設検査を受けられるよう、手続きのタイミングを工夫すると良いです。
一度取得した飲食店の営業許可は、いつまでも有効というわけではなく、多くの自治体では5~8年ごとに更新をしなければなりません。更新時には、保健所による設備状態や衛生状況のチェックを受けます。
更新の手続きは有効期限の約1ヶ月前に、保健所に申請しましょう。東京都の場合、以下の書類の提出が必須です。
営業許可を更新せずに、無許可で営業を継続した場合は、食品衛生法違反となり、2年以下の懲役または200万円以下の罰金を科されることがあります。
また、遡って更新を受けることは不可なので、有効期限が切れた場合は、「更新」ではなく「新規」として申請します。
開業までに行うことは、物件契約や内装工事、食品衛生責任者養成講習、保健所への事前相談など多岐にわたります。これらのスケジュールをしっかり立てておかないと、開業に間に合わなくなる可能性があります。
特に、許可証交付は審査期間や書類の不備などがあれば、開業の延期につながるため、スケジュール管理アプリなどを活用して、計画的に進めましょう。「申請が遅れたら許可も遅れる」ことを理解した上で、速やかな申請を心がけると良いです。
自治体によって基準が異なる場合もありますが、一般的には、「食材用と食器用としてシンクは2槽以上必要」「厨房機器の設置場所」「厨房と客席の区画」「手洗い器の設置」「食器棚の戸の有無」などがあります。
また、2021年から施行されている改正食品衛生法では、水道の設置に関して「蛇口をひねることで再汚染されないようにする」などの新しい基準もあるので、忘れずにチェックしましょう。
飲食店では、従業員の衛生教育を実施する義務があり、健康被害や食中毒の予防として、「手洗いの徹底」「清潔な身だしなみ」「健康管理」の3点を行います。
手洗いは基本でありながら、最も重要な予防策です。手洗いマニュアルを活用し、隅々まで手の汚れを落とさなければなりません。身だしなみでは、帽子や粘着ローラーを使用し、異物混入を防ぎます。
従業員の健康状態のチェックは、ノロウイルスやサルモネラ菌などの感染拡大を防ぐために重要です。出勤時の健康チェックに加え、定期的な検便検査を実施することで、無症状感染者からの感染リスクを排除します。
飲食店の営業許可は、多くの自治体で5~8年ごとの更新が求められています。更新の手続きは有効期限の約1ヶ月前に、保健所にて行わなければならないので、有効期限は常に確認しておきましょう。
どのような理由においても有効期限を過ぎたら、飲食店の営業は継続できません。もし、継続した場合は無許可営業となり、2年以下の懲役または200万円以下の罰金を科される可能性があります。
また、有効期限を過ぎた場合は、更新ではなく新規申請となります。
飲食店といえば、一般的な店舗内での飲食を思い浮かべますが、テイクアウトやデリバリーなどの営業形態の場合でも、同様に営業許可が求められるのでしょうか。
店舗内に客席を設けず、デリバリーやテイクアウト専門として開業する場合も、飲食店営業許可と食品衛生責任者は必須です。
販売品目によっては追加の営業許可が必要な場合があります。例えば、菓子製造業や惣菜製造業などがそれに該当しますが、共通する基準のほかに、それぞれの特定基準も満たす必要があります。
酒類を提供する場合は、税務署に酒類販売免許を申請しましょう。
なお、既存店がテイクアウトやデリバリーを始める場合は、新たな営業許可が不要になることもあるので、保健所に相談すると良いです。
自宅兼店舗での飲食店も、営業許可の取得により営業が可能です。ただし、自宅の構造や立地している地域などに条件があります。
例えば、東京都では「店舗部分の床面積が50平方メートル以下」という条件や、「深夜の酒類提供は住居専用地域では許可されない」という規制が設定されています。
さらに、自宅と営業スペースは明確に区分しなければならず、家庭用キッチンでの調理販売はできません。また、トイレや洗面所、冷蔵庫なども業務用基準を満たす必要があり、設備工事で追加費用が発生することも考えられます。
ICTとは、「Information and Communication Technology」の略であり、「情報通信技術」を意味します。人とインターネット、そして人と人がつながる技術です。
日本では、少子高齢化による人手不足が、今後ますます深刻化すると予想されています。飲食店においても、それをカバーするためにICTの導入は欠かせません。
ICTには、以下のようなアイテムがあります。
防犯対策として、店舗内や店舗まわりを監視カメラで撮影しているところが多く見受けられますが、通常の防犯カメラでは録画機器も設置されるため、費用やメンテナンスの手間がかかります。
その点、クラウドカメラならクラウド上に録画されるので、効率的な運用が可能です。また、インターネットを通じて、リアルタイムで映像を確認できることから、トラブル発生時などに役立ちます。
近年、急速に普及しているキャッシュレス決済は、現金を使わない支払い方法全般を指します。例えば、クレジットカードやデビットカード、電子マネー、二次元バーコードなどです。
これを導入することで、顧客の利便性が向上するだけではなく、レジ業務の効率化や集客アップ、防犯対策など、店舗側も多くのメリットを得られます。
スマートフォンやパソコンなど、個人向けのデバイスが普及している現在、 顧客にとってWi-Fiの導入は店選びの大きな条件です。
料理や雰囲気などに魅力を感じていても、Wi-Fiの有無によって、取捨選択される可能性があります。特に、滞在時間が長いカフェなどでは、基本的な設備となっています。
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詳しくはこちらクラウド経由でさまざまなコンテンツを配信するクラウド型サイネージも、飲食店にとっては重要なアイテムです。日替わりメニューやキャンペーンなどを1台のディスプレイで表示できるため、店頭表示の書き換えやポスター作成などの手間やコストを低減します。
クラウド型では、遠隔地の店舗などでも同時に更新できるので、多店舗経営でも一括した管理が可能です。
株式会社パブリ様は、2023年12月8日に創立された営業代行事業・出版事業・発送業務受託事業を行う会社です。同社の藤川社長は、ビジネスフォン導入を機にNTT東日本グループとの連携を深め、創業の基盤を築きました。
きっかけは、テナントビル担当者の紹介から、NTT東日本グループに相談したことです。クラウド電話の導入から運用まで、ビルテナント受付センターが迅速かつ丁寧に対応してくれました。担当者の親身なサポートにより、初期工事から設置までスムーズに進み、相談しやすい環境も提供されました。
Webサイト制作では、高額な見積もりに悩む藤川社長に対し、「Nにおまかせ!」担当者がNTTタウンページのホームページ制作を提案し、適切な制作担当者を紹介します。ニーズを的確に捉えたサイト制作により、イメージ通りの高品質なWebサイトが完成しました。
さらに、IP電話導入によるコスト削減効果は大きく、初期費用とランニングコストを合わせて、500万円の削減に成功しています。
藤川社長は、NTT東日本グループの担当者を「コミュニケーション能力が高く、対応が迅速」と高く評価しています。課題の芽をいち早く察知し、的確な解決策を提案する姿勢に信頼を寄せ、携帯アプリの設定などの細かなサポートにも感銘を受けました。
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※ 文中に記載の組織名・所属・肩書き・取材内容などは、全て2024年1月時点(インタビュー時点)のものです。
※ 事例は一例であり、すべてのお客さまに同様の効果があることを保証するものではありません。
これまで解説してきたように、飲食店の開業には管轄である保健所の営業許可が必須です。許可の取得には、さまざまな書類の提出と、施設検査のクリアが条件となっています。審査の基準は、自治体によりルールが異なる場合があるため、必ず店舗図面などを持参して、保健所へ事前相談することをおすすめします。
また、これからの飲食店経営では、人手不足などの問題が深刻化するかもしれません。その対策として、ICTの導入は業務効率化や集客アップなどが期待されています。これから飲食店経営を予定されている方は、ぜひICTの活用を積極的に検討してみましょう。
開業をご検討されている方必見!
監修
税理士法人V-Spiritsグループ代表 税理士・社労士・行政書士・FP
中野 裕哲
起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社労士、行政書士、CFP(R)。 税理士法人V-Spiritsグループ代表。年間約1000件の起業相談を無料で受託し、起業家や経営者をまるごと支援。経済産業省後援 起業経営支援サイト「DREAM GATE」で12年連続相談数日本一。 著書・監修書に『一日も早く起業したい人がやっておくべきこと・知っておくべきこと』(明日香出版社)など20冊、累計25万部超
V-Spiritsグループ Webサイト