経営診断を行う5つのメリット|チェック項目や実施タイミング

公開日:2024.05.23

経営診断を行う5つのメリット|チェック項目や実施タイミング

この記事で
わかること

  • 経営診断が企業にもたらすメリット
  • 経営診断のチェック項目
  • 経営診断のタイミングと方法

目次

経営者や経営幹部の中には「利益率が悪い」「収益が伸び悩んでいる」といったお悩みを抱えている方がいるのではないでしょうか。企業の経営にまつわる課題を解決していくには、まず経営状況を正しく知る必要があります。そこで役に立つのが「経営診断」です。経営診断を実施することで、企業の隠れた問題や課題の発見につながります。

今回の記事では「経営診断」のメリットやチェック項目、実施のタイミングについて解説します。事業を安定・拡大させたいと考えている経営者や経営幹部の方は、ぜひ参考にしてください。

1.経営診断は企業の健康診断

経営診断は企業の健康診断

経営診断とは、データなどを用いて企業の経営状況を分析することです。分析したデータによって、企業の現状や安定性などを把握できます。経営診断は、人間にとっての健康診断と同じような役割です。健康診断は、病気の早期発見・治療や予防を目的に行います。

企業の場合も「自己資本比率が低い」「在庫が過大になっている」など表面的にはわかりづらい問題や課題が、経営診断によって見つかることが多いです。もしも在庫が過大であれば、仕入れの量を調節したり、販売方法を見直す対策が考えられます。

このように、問題点が見つかれば対策を講じ、企業の健全化を目指せます。企業の持続的な成長と健全な発展において、経営診断は効果的な手段の1つです。経営診断では財務分析をメインにした事業の分析や、経営陣をはじめとした社員へのヒアリングを行うこともあります。

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2.経営診断のメリット5選

経営診断のメリット5選

経営診断のメリットは以下の5つです。

  • 自社の強みと弱みがわかる
  • 客観的な視点を取り入れられる
  • 課題が明確になる
  • 衰退を防げる
  • 経営戦略を立てるのに役立つ

上記のメリットは、多くの企業が抱える課題解決に繋がります。ここでは、経営診断のメリットについて詳しく説明します。

自社の強みと弱みがわかる

経営診断は経営状況の改善を目的として、企業の課題を洗い出すために実施するケースが多いですが、利益率や収益性などから企業の強みや弱みを認識することもできます。強みや弱みを確認する際は、経営診断の結果を基に同業他社と経営状況を比較することが有効です。

同業他社よりも売上高営業利益率が高ければ、効率よく販売活動が行えていることがわかります。逆に売上高営業利益率が低ければ、仕入原価や管理方法などに問題があるのかもしれません。このように、経営診断の結果を同業他社と比較すれば、自社の強みと弱みが見えてきます。

財務情報は、上場企業であれば有価証券報告書や決算短信で確認できます。中小企業の場合、企業情報を提供するサービスなどを利用すれば入手可能です。また、社員へのヒアリングによって職場環境やモチベーションなどを確認すれば、組織の状態がわかり強みと弱みの発見に繋がります。強みと弱みがわかれば、組織の運営を改善するのに役立てることができます。

客観的な視点を取り入れられる

人は誰しも、自分の視点で物事を判断してしまいます。しかし、企業が抱える問題と向き合うときには、客観的な視点が不可欠です。経営者ではない立場からの視点を取り入れることで、自社の状況を正しく把握して冷静な経営判断ができます。

しかし、経営陣の立場で客観的に物事を捉えるのは簡単ではありません。そこでプロに経営診断を実施してもらえば、第三者の視点からアドバイスが得られます。また、プロ目線での経営改善の判断、具体的な計画についてのアドバイスによって、事業の改善を効率よく行えることが期待できます。

また、社内でのヒアリングも実施すれば、社員の目線から企業の現状を把握できます。経営陣だけではなく外部や社員の声を聞くことで、多角的に企業の現状や問題点を認識し、経営状況の全体像が見えてきます。

課題が明確になる

企業の財務状況は決算書を見ればおおむねわかりますが、企業の安全性や生産性を読み解くには専門知識が必要です。そこで経営診断を実施すれば、財務状況を基に安全性や生産性を数字で確認することができます。財務分析は自社だけではなく市場や競合と比較することで、自社の強みと弱み、市場でのポジションも「見える化」できます。

企業の状況を見える化することで課題が明確になり、適切な対策を講じることにつながります。もしも経営診断によって安全性が低いことがわかれば、在庫整理や増資するなどの対策が考えられます。このように診断結果をもとに、企業が取り組むべき課題が把握できます。

衰退を防げる

一見好調に見える企業でも、実は経営状況が良くない可能性もあります。例えば、売上を回収するタイミングが経費の支払い時期よりも遅いと、売上が上がっていてもゆくゆくは資金ショートが起こる可能性があります。経営診断を実施すれば、キャッシュフローや収益の安定性に見えにくい問題がある場合も早期に気付けます。将来の赤字リスクもわかるので、資金調達の検討やコストカットといった対策もいち早く取り組むことが可能です。

また人事面での課題を把握し解決することで、優秀な人材の外部流出も防げます。このように、経営診断によってリスクを把握することは、企業の衰退を未然に防ぐことにも繋がります。

経営戦略を立てるのに役立つ

経営戦略を立てるには、企業の現状を正しく把握することが大切です。経営診断は、経営状況の分析によって自社の強みと弱み、市場でのポジションを客観的に理解できます。そのため「強みを活かして市場でどのように戦うか」「弱みを克服するには何ができるか」などを戦略的に考えることが可能になります。

診断結果を基に資金の使い方や人員配置を見直すことで、組織全体のパフォーマンス向上も期待できます。また、経営戦略によって長期的なビジョンが明確になれば、取り組むべき業務や課題が社内共通で認識できるようになり、社員のモチベーションの向上にも繋げることができます。このように、経営診断によって目標達成に向けた効果的施策を考えることが可能になります。

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3.経営診断のチェック項目

経営診断のチェック項目

経営診断を行う際には、一般的に財務状況を中心に社内の状況なども調査し、企業の全体像を理解することから始めます。スムーズに経営診断を実施できるよう、チェック項目を確認しておきましょう。

財務面

経営診断の要となる財務面での分析には、決算書を用います。主にチェックするのは貸借対照表、損益計算書、販売費及び一般管理費内訳書です。具体的には以下の項目を診断します。

  • 売上高
  • 売上総利益
  • 営業利益
  • 経常利益
  • 営業外費用
  • 人件費
  • 賃借料
  • 流動資産
  • 流動負債
  • 固定資産
  • 固定負債
  • 純資産

決算書上の上記の項目を確認・分析することで、企業の安定度や収益性、強み・弱みなどを診断します。上記の項目と併せて従業員数も確認しておくと、人件費について詳細な分析ができ、より効果的な経営診断を行えます。

人事面

人事面での診断を実施する場合、まずは経営陣との面談で自社の目標や方向性などを確認します。次に社内の視察と社員へのヒアリングです。社員へのヒアリングでは会社への満足度や愛着、ストレスについて確認します。満足度に関するチェックポイントは、主に以下の3つです。

  • 職場環境に対する満足度
  • 給与に対する満足度
  • 社内制度に対する満足度 など

社員が感じている問題やストレスの原因を把握することで、職場環境を的確に改善することが可能になります。例えば、給与や社内制度に関する満足度が低ければ、福利厚生や社内評価制度を見直すといった施策が考えられます。職場環境に関する不満が多ければ、テレワークやフレックスタイム制を検討するのも方法の一つです。

4.経営診断を行うタイミングに関する3つの考え方

経営診断を行うタイミングに関する3つの考え方

経営診断は、1度実施するだけで企業が抱えるすべての問題を解決できるわけではありません。分析する目的と内容に応じて、適切な頻度で経営診断を実施することが効果的です。

定期的に実施するのが理想

経営診断は、定期的に行うことで効果を発揮します。業績に関係なく定期的に経営診断を実施していれば、潜在的な問題点を見つけて早期に解決できる可能性が高まります。経営状況が悪いと感じてから経営診断を実施するのでは状況が悪化し、立て直しに時間がかかる場合があります。

経営診断を実施する頻度は、一般的に1年に1回が目安です。決算の後や新年度の始まりなど、経営診断を実施するタイミングを決めておきましょう。ただし、すでに財務状況の悪化を感じているならば、早めに経営診断を行うことをおすすめします。

財務については毎月分析を行い施策の効果を検証する

課題に対策を講じたときの効果検証は、1年に1回の分析ではわかりづらくなります。月次試算表を基に、簡易的な分析を毎月実施するとしっかりと効果検証が行えます。毎月、効果検証を行えば改善計画の進捗や効果がわかりますし、状況に合わせて微調整も可能です。改善計画の効果が芳しくなければ、経営戦略を早期に見直すことも可能になります。

月次試算表を毎月分析することで、早い段階でキャッシュフローの問題や赤字リスクの認識もでき、財務面を安定させることにも繋がります。

人事面での診断は数年に1回実施する

組織診断としての社員へのヒアリングは、数年に1度の頻度で行うことをおすすめします。なぜなら、組織を変化させるためには時間が必要だからです。

ヒアリングの結果、組織の状態改善や対策が必要だと判断した場合も、焦って変革を進めてはいけません。組織の変革について社員へ周知して理解を得てから進めないと、会社への不安や不信感につながる恐れがあります。人事面での組織変革は数年単位での長期的な計画を立てて、社員の理解を得てから進めましょう。

5.【実施者別】経営診断の方法

【実施者別】経営診断の方法

経営診断は、主に社内で分析する方法と専門家に依頼する方法の2種類です。それぞれのメリット、デメリットを確認し、自社に合う経営診断方法を選びましょう。

社内で分析する

インターネット上では、自分で簡単に経営診断できる「セルフ診断ツール」が利用できます。セルフ診断ツールに、売上高や経費などの必要項目を入力するだけで、スピーディーに経営状況が分析されます。セルフ診断ツールの多くは利用料金がかからないので、企業の財務状況を手軽にチェックできる点がメリットです。

ただし、セルフ診断ツールは一般的に簡易的な分析になります。セルフ診断ツールによっては、課題解決のアドバイスを受けることも可能ですが、より専門的な分析やアドバイスを受けたい場合は、専門家に依頼することをおすすめします。まずは無料のセルフ診断ツールを利用してみて、必要に応じて専門家への依頼を検討することも方法の一つです。

「Nにおまかせ!」のセルフ診断ツールは、結果に応じた課題と解決に役立つサービスを表示しています。さらに、オペレータによる無料コンサルティングもご利用いただけます。

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専門家に依頼する

経営診断は、以下のような専門家に依頼できます。

  • 経営コンサルタント
  • 中小企業診断士
  • 税理士

上記のような専門家に経営診断を依頼するメリットは、財務だけではなく事業計画や資金調達に関する具体的なアドバイスをもらえることです。

専門家に経営診断を依頼するには費用がかかります。一般社団法人 大分県中小企業診断士協会によると、中小企業診断士の経営診断報酬は、1日5時間で10万円が目安になっています。経営診断の費用は依頼する相手にもよりますが、安くない費用なので費用を考慮して依頼を検討する必要があります。

6.経営診断を受けて事業を成長させよう

経営診断を受けて事業を成長させよう

経営診断は、企業の経営状況を分析することです。主に財務面のデータを用いて経営状況を分析することで、企業の安定性や自社の強み・弱みを把握できます。また、経営分析によって企業が抱える課題が明確化し、リスクの回避や事業の成長につなげることも可能です。

セルフ診断ツールを使えば、お金や時間をかけず、手軽に財務状況を分析できます。ただし、セルフ診断ツールは簡易的な経営分析で、専門家からのアドバイスがもらえないサービスもあります。効果的な改善計画を立てるためには、問題点をより具体化し定期的にプロからアドバイスを受けるのが理想的です。

「Nにおまかせ!」では、無料のセルフ診断ツールを提供しています。ご希望に応じて、オペレータによる無料コンサルティングや課題解決のサポートも実施しています。経営診断に興味がある方は、ぜひ「Nにおまかせ!」のセルフ診断ツールをご利用ください。

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監修

税理士法人V-Spiritsグループ代表 税理士・社労士・行政書士・FP

中野 裕哲

起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社労士、行政書士、CFP(R)。 税理士法人V-Spiritsグループ代表。年間約1000件の起業相談を無料で受託し、起業家や経営者をまるごと支援。経済産業省後援 起業経営支援サイト「DREAM GATE」で12年連続相談数日本一。 著書・監修書に『一日も早く起業したい人がやっておくべきこと・知っておくべきこと』(明日香出版社)など20冊、累計25万部超

V-Spiritsグループ Webサイト
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