公開日:2025.01.22
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わかること
目次
事務所の移転は準備するべきことが多岐にわたるため、一体何から始めれば良いのか迷ってしまうこともあるでしょう。
移転計画を円滑に進めるためには、目的やスケジュール決めをはじめ、ICT環境やライフライン手続きといった必要な業務を事前に把握しておくことが重要です。そこで今回の記事では、事務所移転における必要な手続きと注意点について紹介します。
これから紹介する情報をチェックし、事務所移転を円滑に行うための参考にしてください。
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資料をダウンロードする(無料)オフィスを移転する際は、移転先の物件を決めたり、オフィス家具を選定したりとやるべきことが多くなり、無計画で進めると失敗する可能性もあります。また、オフィス移転はやるべきタスクが多くなるため、短くても半年、余裕を持って1年ほど前から準備すると良いでしょう
まずは全体像を把握するために、以下のスケジュールの一例を確認してみましょう。
スケジュールの目安として、8ヶ月前には計画の立案をしておきます。そして半年前には移転先の選定やレイアウト設計・オフィス家具選びなどのオフィス設計を行います。同時に依頼する事業者にも手配しましょう。
5ヶ月〜4ヶ月前には、ICT環境やライフラインの準備と関係各所への連絡を済ませておきます。2ヶ月前には原状回復工事を発注し、当日の引っ越しに臨みます。移転後は各種届出などの手続きを速やかに行いましょう。引っ越し後、原状回復工事を行い、旧オフィスを引き渡します。
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詳しくはこちらオフィス移転時には、さまざまな業務が発生します。特に現オフィスで発生する業務と移転後で発生する業務に関して、あらかじめ内容を把握しておきましょう。
現オフィスで発生する主な業務について、わかりやすく以下の表にまとめました(移転後のオフィスで発生する業務は次章をご参照ください)。
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現オフィスで発生する主な業務 | |
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移転目的を決める | 目的・予算や基本スケジュールの決定 |
物件探し・契約締結をする | ビル・移転先のオフィス物件を探す |
引っ越し事業者を手配する | 移転パートナーや関連工事などの事業者選定 |
レイアウトを決める | ゾーニングを行い、移転先のレイアウトを決める オフィス家具や什器のプランニングを行う |
解約予告と契約内容の確認をする | 現オフィスのオーナーに連絡し、契約内容(解約予告期間・敷金や預託金)の確認 |
原状回復工事を手配する | 指定事業者の有無を確認し、原状回復工事を手配する |
はじめに明確にしておくべきことは、「移転によって何を実現したいのか」という点です。目的が曖昧なまま移転すると「業務環境の改善につながらない」「社員から不満が出る」などの問題が起こることもあります。
まず目的を明確にするために、以下のような具体的な問題を洗い出すことが重要です。
もし現在のオフィスが狭い場合は、移転によって「広いスペースを確保する」ことが目的となるでしょう。部署間の距離が遠く、コミュニケーションが取りにくいのであれば「レイアウトの改善を図ること」が必要になります。
またオフィスの立地が不便な場所にある場合は、移転によって交通の便の良い場所に移ることも可能です。目的が明確になれば、会社全体の行動指針が定まり社員への共有もしやすくなります。予算や基本スケジュールも、移転目的を決める際に一緒にしっかりまとめておきましょう。
移転先の事務所において、オーナーとの賃貸借契約を締結する必要があります。新しい事務所を選ぶ際は、以下のポイントも忘れずにチェックしておきましょう。
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インフラ |
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管理規約と管理状態 |
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周辺環境 |
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快適な事務所環境を確保するためにも、契約内容や周辺環境について納得のいく形で進めることが重要です。上記のポイントをチェックし、移転先の契約を慎重に進めましょう。
事務所の移転が決まった際は、引っ越し事業者に依頼するかを検討しましょう。小規模な事務所移転であれば、自社のスタッフによる運搬も可能でしょう。
しかし移転作業にかかる手間や時間を考慮すると、プロの事業者に任せたほうが効率的でしょう。引っ越し事業者によって、提供されるサービス内容は異なります。例えば、荷物の移送のみを行うサービスや、移転先で機器の設置や設定までトータルサポートする事業者もいます。
ただしサービス内容が手厚くなるほど、費用も高くなる傾向があるため注意が必要です。自社の移転作業にどの程度サポートが必要かを考えたうえで、引っ越し事業者を選定しましょう。
移転先事務所のフロアに合わせて、ゾーニングをして、レイアウトを決めましょう。ゾーニングとは、空間をテーマや用途に分けて考えることで、受け付けや会議室・執務室・応接室・休憩室などに分けていきます。そのうえでレイアウトを決め、どのような什器を設置するか、オフィス家具の調達をどこで行うかなども検討します。
また、コピー機などのオフィス設備や、ICT環境をはじめとするLAN設備の配置計画も策定しておきましょう。
通常、解約通知は退去予定日の6ヶ月前に提出する必要があります。通知を行う前に、オーナーに対して解約予告期間や敷金・預託金・解約料の有無などの確認を行いましょう。また、賃貸借契約書もよく読んで、敷金や保証金の扱い、原状回復の必要性などを確認します。
オフィスの解約告知は、一般的な住居用賃貸物件の解約と異なり、次の賃借人が決まるまでに時間がかかることもあるため、早めに告知を行うことが求められます。
現在の事務所を退去する際は、オフィスの原状回復を行う必要があります。原状回復とは、借り手が入居する前の状態に戻すことを指し、民法で規定されています。
原状回復の期限は一般的に賃貸借契約書に記載されているので、事務所の移転が決定したら必ず契約内容を確認しましょう。また原状回復の範囲についても契約書に記載されている場合は、その内容に従わなければいけません。
もし規定された内容を無視した場合、契約違反となる可能性があります。その結果、追加の費用や法的なトラブルが発生する恐れもあるので注意が必要です。
移転後のオフィスで行う業務を、以下の7つの項目にまとめました。オフィスを移転することは、旧オフィスをただ移転するだけでなく、以前のオフィスが抱えていた問題も解決する機会になります。そのため以下の表のように、移転目的やオフィスレイアウト・ICT環境などの整備は、新オフィス構築のために特に重要です。
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移転後のオフィスで発生する主な業務 | |
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ICT環境やライフラインを切り替え | ICT環境や、水道、ガス、電気などのライフラインを切り替える |
関係者へ事前連絡をする | 取引先、社員など関係者に事前連絡を行う |
各種届出、手続きを行う | 移転登記、所在地変更に関する各種届出(税務署や社会保険、労働保険等) |
新しいオフィスの賃貸借契約を結んだら、旧オフィスのライフラインの解約手続きと移転先の契約手続きが必要になります。電気、ガス、水道などの公共サービスだけでなく、インターネット回線などの切り替えも忘れずに行いましょう。
ご利用環境によって切り替えに時間がかかることもあるため、移転が決まった段階で手続きをしておくのがおすすめです。特にインターネット回線の乗り換えがある場合、1ヶ月程度の工事期間が必要になる場合があります。
スムーズにICT環境の整備を行うためには、事前の設計や見通しを立てることが重要です。これにはインターネット回線の工事やネットワーク設定、情報セキュリティ対策などが含まれることを忘れないようにしましょう。
移転の日程が確定したら、取引先に対して迅速に連絡しましょう。取引先への連絡漏れは信用を失う可能性があるため、取りこぼしのないようにリストを作成しておくと安心です。
特に請求書や会社の所在地情報のやり取りがある場合は、事務所移転のお知らせを優先的に送る必要があります。できるだけ早めに対応し、移転日の3ヶ月前くらいまで送付するのが望ましいでしょう。
移転の連絡はメールやFAXで直接するだけでなく、自社のホームページやSNSでも告知しておきます。告知には、新しい事務所の所在地や電話番号の記載を忘れないようにしてください。また、社員への周知や引っ越し当日までの準備、当日の役割分担などの手順を記載した従業員向けのマニュアルを作っておくことも重要です。
新オフィスに移転した場合、各種届出と手続きを速やかに行います。以下に手続きが必要な項目と書類をあげました。
ホームページやSNSなどの媒体には、企業の所在地が掲載されています。事務所を移転する際は、すべての媒体で所在地変更が必要です。
また事務用品を購入するためのオンラインストアなども、忘れずに所在地変更しておきましょう。所在地や配送に関する情報を最新の情報に更新することで、迅速な納品を確保できます。
さらに、会社で法人契約している以下の手続きも、併せて変更しましょう。
これらの手続きは、窓口だけでなくオンラインで変更できるケースがあります。各サービスのホームページやサポートセンターに問い合わせて、適切な手続き方法を確認しましょう。
事務所移転は会社にとって重要なプロジェクトであり、スムーズに進めるためには綿密な準備が欠かせません。そこで本章では、事務所移転をスムーズに進める4つのポイントについて解説します。
事務所の移転は、手続きや準備に多くの時間と労力が必要になります。また「家具や設備の納入が遅れる」といった予期せぬ問題が発生し、思うように移転準備が進まないケースもあるでしょう。
しかしこのような問題が起きたとしても、引っ越しの期日には現在の事務所を退去しなければいけません。そのため、事務所移転のスケジュールを立てる際には余裕を持たせることが重要です。
事務所移転には、通常6ヶ月〜1年の期間が必要とされています。特に大規模なオフィスの場合は、移転計画を立てるのに1年以上前から準備を開始することもあります。
移転にかかる時間を見積もる際には、手続きや作業にかかる時間だけでなく予備時間も考慮し計画を立てましょう。
事務所移転にはコストがかかるため、移転費用の予算を早めに確認しておく必要があります。一般的に、事業者に見積もり依頼をして予算の検討を進めることが多いです。
希望する設備やレイアウトなどの内容に基づいて工事完了までの見積もりを出してもらい、そこから予算を検討していきましょう。予算がある程度決まったら、早めに事業者に伝えておくことも重要です。
これにより事業者側も予算を考慮しながら、他のプランやオプションを検討できます。事業者とコミュニケーションを取り、予算内での移転プランを計画しましょう。移転計画の初期段階で予算を確定させることにより、備品の手配などの準備を円滑に進められます。
プロジェクトチームの結成は、移転計画をスムーズに進めるために重要な要素です。タスクごとに担当者を割り当てることにより、進捗状況を把握しやすくなります。
また事務所の移転は全社員に関わる重要なプロジェクトなので、チームの人員は複数の部署から募集するのがポイントです。複数の部署から人員を集めるメリットは、以下のとおりです。
これらのメリットを最大化させるためには、多様な視点があるメンバーをチームに揃える必要があります。集まった意見をまとめ、チーム全体で必要な要素を検討していきましょう。
事務所移転や会社の設立においては、専門事業者に依頼することで高品質なオフィス環境を実現できます。特にICT関連の整備や情報セキュリティ対策などは、専門的な知識が必要とされるため専門の事業者の利用が確実です。
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事務所移転は、全従業員に関わる重要なプロジェクトです。適切な移転計画と専門事業者のサポートを活用することで、スムーズな移転の実現を目指せます。
以下は、事務所移転をスムーズに進める4つのポイントです。
移転には解約予告や所在地変更など多くの手続きが必要なので、準備リストを作成しておきましょう。また電気・ガス・水道・通信回線などのライフラインは、立合い工事が必要な場合もあります。
オフィスや店舗移転のスケジュールが確定したら、なるべく早い段階でプロのサポートを受けながら効率よく進めましょう。そのためには、プロのパートナー探しが重要になります。パートナー探しや移転についてお困りの際は、以下のリンクからいつでもお気軽にご相談ください。
監修
税理士法人V-Spiritsグループ代表 税理士・社労士・行政書士・FP
中野 裕哲
起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社労士、行政書士、CFP(R)。 税理士法人V-Spiritsグループ代表。年間約1000件の起業相談を無料で受託し、起業家や経営者をまるごと支援。経済産業省後援 起業経営支援サイト「DREAM GATE」で12年連続相談数日本一。 著書・監修書に『一日も早く起業したい人がやっておくべきこと・知っておくべきこと』(明日香出版社)など20冊、累計25万部超
V-Spiritsグループ Webサイト