公開日:2025.11.13

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飲食店の開業準備において、POSレジの導入は欠かせない設備の一つです。レジ業務の効率化はもちろん、売上・在庫・顧客情報までを一元管理でき、店舗運営を支える重要なツールとなります。
一方で、「どのPOSレジを選べばよいかがわからない」「初期費用や設定に不安がある」と感じる方も少なくありません。本記事では、POSレジの基本機能や種類、導入によるメリットに加え、開業時に整えておきたい通信環境やICT設備について、飲食店向けにわかりやすく解説します。
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資料をダウンロードする(無料)POSレジとは、POS(Point of Sale:販売時点情報管理)システムの一部であり、キャッシャーと呼ばれるレジ端末と組み合わせた機器を指します。具体的には、POSシステムが売上管理・顧客分析・在庫管理などを一元管理する広範な仕組みであるのに対し、POSレジはそのなかで実際に会計処理を行う端末を意味します。
POSレジは会計と同時に売上や顧客データを自動で記録・集計できるため、業務効率化と情報の可視化が可能です。たとえば、POSレジを導入することで「いつ・どこで・何が・どのようなお客さまに・どれくらい売れたか」といった販売情報をリアルタイムで把握できます。
また、クレジットカードやスマートフォン決済などのキャッシュレス決済にも対応可能で、顧客の利便性向上にもつながります。さらに、セルフレジと連携させれば、省人化や混雑緩和などの効果も期待できるでしょう。
近年では、タブレットやスマートフォン上で利用できるPOSレジアプリも登場しており、直感的なタッチ操作に加え、省スペースでリーズナブルといった点から、飲食店にとって導入しやすい選択肢となっています。
POSレジは、使用する端末の種類によって「ターミナル型」「パソコン型」「タブレット型」の3つのタイプに分類されます。それぞれの特徴は、以下のとおりです。
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| POSレジの種類 | イメージ | 特徴 |
|---|---|---|
| ターミナル型POSレジ | ![]() |
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| パソコン型POSレジ | ![]() |
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| タブレット型POSレジ | ![]() |
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このように、POSレジは種類によって初期費用や設置条件、セキュリティ面での特徴が異なります。店舗の規模や業務フロー、将来的な拡張性も考慮し、自店舗に適したタイプを選ぶことが大切です。
POSレジには、会計機能に加え、商品・在庫管理、顧客情報の記録、売上分析、外部システムとの連携など、多彩な機能が搭載されています。単なる会計処理にとどまらず、業務効率化や経営改善に活用できる点が特徴です。
ここでは、POSレジの主な機能を解説します。
POSレジの基本となるのは、販売金額の計算や代金の決済、レシート発行などの会計処理です。サービスによっては、クレジットカードや電子マネーなどのキャッシュレス決済にも対応できます。
飲食店では、タブレットをテーブルに設置し、顧客が自分で注文できるセルフオーダーシステムとして活用されるケースもあります。この場合、注文から会計までを効率化できるのが特長です。
POSレジでは、商品ごとに原価や仕入れ先、商品分類など、商品ごとの情報を個別に登録・管理できます。在庫数は販売のたびに自動更新されるため、発注ミスや品切れの防止にも効果的です。
また、日次・週次・月次といった売上集計も自動化され、棚卸しや発注業務の効率化、担当者の負担軽減にもつながります。さらに、商品の売れ行きや在庫数をリアルタイムで把握できるため、売れ筋分析や販売戦略の立案にも役立ちます。
POSレジには、顧客の年齢や性別、来店回数、購入履歴などをデータとして蓄積できる機能もあります。こうした情報により、顧客の来店周期や年間購入額、よく利用するメニュー・サービスを把握できるため、ターゲットを絞った販促活動に活かすことが可能です。
また、ポイントカードや会員アプリと連携すれば、誕生日特典や限定クーポンの配信など、個別対応によるリピーターの獲得にもつながるでしょう。
POSレジを導入すると、「いつ・どこで・どの商品が・どのようなお客さまに売れたのか」といった情報をリアルタイムで可視化できます。人気商品や曜日・時間帯ごとの売上傾向を把握できるため、スタッフ配置やメニュー構成などの店舗運営の改善に活かせます。
また、販売データを蓄積すれば、売れ筋や死に筋商品の把握、キャンペーン効果の検証、経営課題の発見にもつながるでしょう。メニュー改良のヒントなども得られる可能性があり、戦略的な店舗運営が図れます。
POSレジは、店内のハンディ端末や厨房モニター、セルフレジ・セルフオーダー端末などと連携できます。また、デリバリーシステムやECサイトと接続すれば、オンラインとオフラインを統合した販売・在庫管理を実現しやすくなります。
さらに、会計ソフトや勤怠管理ツールと連携すれば、日々の売上処理やスタッフ管理の自動化も可能となるでしょう。こうした連携機能の活用により、店舗運営全体の効率化と人的ミスを減らす効果も期待できます。
ここからは、飲食店にPOSレジを導入する際の4つのメリットを解説します。
飲食店でPOSレジを活用する場合、あらかじめ設定したメニューの金額や内容を選択することで会計が完了するため、金額の打ち間違いなどの人為的ミスを抑止できます。結果として、会計トラブルやクレームの発生を減らし、サービス品質の向上にもつながります。
また、サービスによってはキャンペーン価格や時間帯別メニューの設定も管理画面から行えるため、スタッフ間の共有不足があっても誤入力のリスクを抑えられるでしょう。さらに、操作履歴が記録されることで、レジ担当者の不正防止にも効果的です。新人スタッフでも操作を習得しやすい点も、メリットといえます。
POSレジは、売上や来店時間、人気メニューなどの情報を自動で集計し、日ごとの売上推移や時間帯別の来店傾向を可視化します。これにより、データに基づいた効率的なメニュー改善や販促施策の立案が可能です。
また、メニューごとの原価を登録しておけば粗利を自動計算でき、利益率の高いメニューや改善が必要な商品の把握も可能になるでしょう。仕入れ量や在庫の適正化を図ることで、食材ロスや欠品のリスクを減らし、コストコントロールにも役立ちます。
POSレジを導入すると、レジ締めや売上集計などの作業が自動化され、日々の事務作業を効率化できます。また、セルフレジや自動釣銭機と組み合わせれば、レジ対応に必要な人員を減らせるため、人件費の軽減にもつながるでしょう。
ただし、導入には初期費用や月額利用料が発生します。店舗の規模や業態に適したPOSレジを選び、効率化による削減効果と見合うかどうかを検討することが大切です。
POSレジを導入すれば、注文から会計までの流れがスムーズになり、レジ待ち時間やオーダーミスの軽減が期待できます。これにより、顧客満足度が向上し、リピーター獲得にもつながります。
また、キャッシュレス決済やポイント付与、電子クーポンの発行など、顧客サービスの拡充を図ることで、利便性やお得感の演出も可能です。顧客情報をもとに常連客への個別対応を行えば、再来店促進にも活用できるでしょう。
ここからは、飲食店でタブレット型POSレジを導入する際の一般的な流れを紹介します。サービス内容や提供会社によって詳細は異なるため、あくまで一例として参考にしてください。
POSレジを導入する際は、まず複数のサービスを比較検討することが重要です。提供会社によっては契約時にタブレット端末を無償提供する場合もありますが、契約期間の縛りや、月額利用料に端末代が含まれているケースもあるため、事前に契約内容をしっかり確認しておきましょう。
また、必要な機能が揃っているかどうかも重要なポイントです。導入当初はレジ・会計などの基本機能で運用する場合でも、店舗の成長に応じて顧客管理や在庫管理などを追加できるよう、拡張性の高いサービスを選んでおくと安心です。
さらに、会計ソフトやデリバリーサービスなど、他システムとの連携可否も確認しておくと、将来的に役立つかもしれません。
導入するサービスが決まれば、提供会社に申し込みを行います。タブレットのリースや無償提供を希望する場合は、この時点で相談しましょう。
また、キャッシュレス決済を導入する場合は、決済事業者による審査が必要となり、数日から数週間かかるケースもあります。店舗オープンに間に合わせるためにも、スケジュールに余裕を持って準備することが大切です。
さらに、POSレジの導入には「IT導入補助金」などの公的支援制度を利用できる場合があります。中小企業や個人事業主でも条件を満たせば申請可能なため、導入コストを抑える手段として検討してみましょう。
契約完了後、提供会社から届くIDやパスワードを使ってPOSレジ専用アプリにログインします。まずは、店舗情報やメニュー・商品の登録、レシート設定など、会計に必要な初期設定を行いましょう。
キャッシュレス決済や顧客管理、在庫管理などの機能を利用する場合は、それぞれに応じた設定も必要になります。導入する機能によって準備内容が異なるため、マニュアルやサポートサイトを参照しながら進めるとスムーズです。
さらに、レシートプリンター、現金保管引き出し、自動釣銭機、バーコードリーダーなどの周辺機器とも接続しましょう。業態や店舗規模に応じて必要な機器を選定しておくと、導入作業を効率的に進められるでしょう。
ここからは、POSレジを導入する際に注意したいポイントを紹介します。
POSレジは業種ごとに求められる機能が異なるため、店舗の業態に適した製品を選ぶことが重要です。たとえば、美容室では予約管理機能付き、飲食店では注文管理やテーブル管理機能が充実したものが向いているでしょう。
また、スタッフの誰もが直感的に操作できる使いやすさも大切です。とくに開業時や新人スタッフが多い環境では、シンプルで扱いやすいシステムのほうがスムーズに運用できます。
※2025年8月時点での情報です。
POSレジを導入する際は、端末費用や月額利用料、インターネット接続回線の整備費用など、さまざまなコストがかかります。とくに開業時は広告費や運転資金なども必要になるため、各社の提供プランをしっかり比較検討することが重要です。
導入コストを抑える方法の一つとして、補助金や助成金制度の活用も検討しましょう。たとえば、以下の補助金・助成金制度は、POSレジ導入時に利用できる可能性があります。
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| 名称 | 主な対象者 | 補助額※1 | 概要 |
|---|---|---|---|
| IT導入補助金 | 中小企業・小規模事業者 | 対象経費の1/2以内、または最大4/5以内 | 中小企業や小規模事業者が業務効率化や生産性向上を目的にITツールを導入する際、費用の一部を国が補助する制度 |
| 小規模事業者持続化補助金 | 商工会・商工会議所地域の小規模事業者 | 対象経費の2/3以内 | 小規模事業者が販路開拓や業務改善を行う際の費用の一部を、国が補助する制度。店舗や事業の成長を支援することが目的 |
| 業務改善助成金 | 中小企業・小規模事業者 | 対象経費の4/5以内、または3/4以内 | 中小企業・小規模事業者が事業場内最低賃金を引き上げ、業務改善や生産性向上の取り組みを行う際の設備導入費などを助成する制度 |
※1 補助額:事業規模や申請枠により異なります。
※最新情報は各公式サイトをご確認ください。
事業規模や目的が条件を満たす場合には、補助金の申請によって費用負担を軽減できるでしょう。
POSレジはインターネットを前提に動作するため、安定した通信環境が欠かせません。とくに小規模店舗で家庭用回線を利用している場合、通信速度の低下や接続不良のリスクがあるため注意が必要です。
通信の安定性や高速性を求める場合には、NTT東日本の「フレッツ 光クロス」のような光回線サービスの導入がおすすめです。最大10Gbps※2の高速通信に対応しており、会計データのやり取りやクラウド連携もスムーズに行えます。また、来店客数の多い時間帯でも速度低下が起きにくく、POSレジなどの業務用ICT機器の安定な稼働につながるでしょう。
なお、店舗内で複数端末を同時接続する場合は、「Nにおまかせ!」の活用が効果的といえます。なかでも業務用Wi-Fi機器「ギガらくWi-Fi」では、Wi-Fi6対応で速度が安定するのに加え、初期設定済みの機器が届くため、設置後の運用もスムーズです。来店客向けのWi-Fi提供など、サービス強化にもつながるでしょう。
POSレジの通信エラーやシステム遅延は、業務効率や顧客満足度に直結します。導入時には、店舗の広さや想定端末数に応じた通信環境を整えることが大切です。「フレッツ 光クロス Biz」や「Nにおまかせ!」の詳細は、以下のリンクをご覧ください。
飲食店でさらに安定した通信環境を構築「Nにおまかせ!」
詳しくはこちら※2 最大概ね10Gbps:最大通信速度は、技術規格上の最大値であり、実際の通信速度を示すものではありません。お客さまのご利用環境(端末機器の仕様など)や回線の混雑状況などにより大幅に低下することがあります。
POSレジは単体でも利便性の高い機器ですが、防犯や運営全体の安定性を高めるために、他のICT設備と組み合わせて導入することも検討しましょう。たとえば、レジ金の着服や店内トラブルの抑止には、防犯カメラの設置がおすすめです。
「Nにおまかせ!」のクラウド型防犯カメラ「ギガらくカメラ」は、店内映像をクラウドに保存でき、スマートフォンからリアルタイムで確認可能です。録画機などの設置が不要なため、初期費用を抑えやすいのもメリットといえます。
POSレジ導入のタイミングでこうした周辺機器もあわせて検討すれば、効率化とセキュリティを両立した安心・安全な店舗運営を目指せるでしょう。
開業時には防犯対策で大切な資産をまるごとガード「Nにおまかせ!」
詳しくはこちら飲食店など新規店舗の開業では、インターネット回線やネットワーク機器、防犯対策などの環境整備が欠かせません。また、費用面の負担を軽減するために補助金や助成金を活用したいと考える方も多いでしょう。
一方で、開業準備と並行してこれらの対応を進めるには、時間や労力が不足しがちです。知識やノウハウがないために、「何を準備すべきかわからない」と悩むケースもあるかもしれません。
「Nにおまかせ!」では、こうした開業にまつわる課題を幅広いソリューションで支援します。たとえば、「POSレジを導入したいが、インターネット接続環境が不安」「補助金を活用したい」「防犯カメラも設置したい」といった個々のニーズも丁寧にサポートいたします。開業に合わせてICT環境を整備することで、スムーズな店舗運営と顧客サービスの向上が期待できます。
開業準備の複雑さに不安がある方は、まず以下のページから詳細をご確認ください。
開業にともなうビジネス環境の整備をトータルでサポート「Nにおまかせ!」
詳しくはこちら飲食業における開業の流れがわかる「開業まるわかりガイドブック」
資料ダウンロードはこちら恵比寿駅前で100年以上続く老舗そば店「朝日屋(有限会社伊藤商店)」様。これまで伝統を守りながら営業を続けてきましたが、現金決済のみでキャッシュレスを希望する若い世代の来店機会を逃していたことや、駅前立地ならではのWi-Fi導入にともなうセキュリティリスクなどに課題を抱えていました。
そこで「Nにおまかせ!」では、店舗リニューアルに合わせて安全なWi-Fi環境の構築やキャッシュレス決済にも対応可能な通信回線の整備を実施。さらに「おまかせサイバーみまもり」による24時間体制の監視を導入し、安心して利用できるセキュリティ環境を整えました。
導入後は、若い世代や女性客の来店が増加し、客単価の向上にもつながっています。「現金のみ」という制約をなくし、店舗の雰囲気づくりやICTの活用とあわせて新たな客層を取り込むことにも成功しました。長い歴史のある老舗が、時代に合わせたICT環境を整えたことで、伝統を守りながらも進化する店舗運営を実現できた事例といえます。
※文中に記載の組織名・所属・肩書き・取材内容などは、2024年12月時点(インタビュー時点)のものです。
※事例は一例であり、すべてのお客さまに同様の効果があることを保証するものではありません。
本記事では、飲食店におけるPOSレジの導入について、その種類や機能、メリット、導入方法、そして選定時のポイントまでを幅広く解説しました。
POSレジは、日々の会計業務を効率化するだけでなく、売上データの活用や顧客管理を通じて、店舗運営の改善に役立ちます。業務改善助成金などの制度を活用すれば、コストを抑えながら導入することも可能です。しかし、開業準備と並行して補助金の申請やICT環境の整備を進めるのは大きな負担となり、時間が足りないとお悩みの方も多いでしょう。
そのような場合には「Nにおまかせ!」へご相談ください。インターネット接続回線の整備や防犯カメラの設置、補助金活用のサポートなど、開業・運営における課題について幅広く支援いたします。開業準備を効率化し、安心して店舗運営をスタートさせたい方は、以下のページよりサービスの詳細をご覧ください。
開業をご検討されている方必見!
※「フレッツ 光クロス」は、NTT東日本株式会社およびNTT西日本株式会社の登録商標です。
※「ギガらくカメラ」は、NTT東日本株式会社の登録商標です。
※「Wi-Fi」は、Wi-Fi Allianceの商標または登録商標です。
監修
税理士法人V-Spiritsグループ代表 税理士・社労士・行政書士・FP
中野 裕哲
起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社労士、行政書士、CFP(R)。 税理士法人V-Spiritsグループ代表。年間約1000件の起業相談を無料で受託し、起業家や経営者をまるごと支援。経済産業省後援 起業経営支援サイト「DREAM GATE」で12年連続相談数日本一。 著書・監修書に『一日も早く起業したい人がやっておくべきこと・知っておくべきこと』(明日香出版社)など20冊、累計25万部超
V-Spiritsグループ Webサイト