ソーシャルリスニングとは?SNSのリアルな声をマーケティング施策に活かす方法

公開日:2025.11.13

ソーシャルリスニングとは?SNSのリアルな声をマーケティング施策に活かす方法

この記事で
わかること

  • ソーシャルリスニングの基本的な概念と個人アンケートとの違い
  • ソーシャルリスニングを実施するメリットと始め方
  • 情報収集と分析の手法、運用上の注意点
近年、SNSの普及により消費者の購買活動が変化しており、SNSやレビューサイトなどに投稿された口コミが、他の消費者の意思決定に影響を与えています。そこで、インターネット上の投稿内容を収集・分析するソーシャルリスニングという手法が注目されています。

本記事では、ソーシャルリスニングの概要や従来の調査方法との違い、向いている商材の特徴、実施によるメリット・注意点、収集・運用方法などについて、わかりやすく解説します。

目次

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ソーシャルリスニングとは

ソーシャルリスニングとは、SNSやレビューサイトなどに投稿された消費者の声を収集・分析し、ビジネスの意思決定に利用する手法です。FacebookやX(旧Twitter)、Instagramのような主要SNSに加え、掲示板やブログに書き込まれた口コミも調査対象になります。

ソーシャルリスニングを活用することで、企業が押し出したいイメージと、消費者が実際に抱いている印象のギャップを把握できます。結果として、ブランドイメージの向上やマーケティング戦略の改善など、さまざまな企業活動に役立てることが可能です。

また、リアルタイムでの消費者心理やトレンドの把握なども行いやすくなります。炎上リスクやネガティブな意見の早期発見につながるなど、危機管理にも役立てられるでしょう。

個人アンケート・インタビューとの違い

消費者のリアルな声を聞くその他の方法として、個人アンケートやインタビューの実施が挙げられます。

アンケートやインタビューは、企業側が準備した質問に対して、消費者に回答してもらって意見を得る調査方法です。特徴として、目的に沿ったデータを効率的に集められる一方、回答者が本音を隠すケースや設問設計により回答が偏る可能性があります。

一方、ソーシャルリスニングは、消費者がSNSやレビューなどで自由に発信している内容をもとに分析する方法です。アンケートやインタビューでは得にくい率直な感想や潜在的なニーズを発見できる点が特徴といえます。

このように、ソーシャルリスニングと従来のアンケートやインタビューでは、得られる情報の性質が異なります。それぞれの特徴をまとめると、以下のとおりです。

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種類 ソーシャルリスニング 個人アンケート・インタビュー
参照データ SNS、掲示板、レビューサイト、ブログなどに投稿された消費者の口コミ 調査対象者からの回答
特徴 思いがけない消費者の本音を得られることがある
リアルタイムな声を大量に入手できる
特定の調査目的に沿った回答を収集できる
調査頻度や回答者数に偏りが出る場合もある

どのような情報を得たいかによって、手法を使い分けることが大切です。

ソーシャルリスニングに向いている商材・向いていない商材

ソーシャルリスニングは、商材の種類によって効果が異なります。

ソーシャルリスニングが向いているのは、幅広い人々が日常的に利用し、SNSなどで話題になりやすい商材です。たとえば、飲料やファストフード、プチプラコスメなどは、多くの口コミが集まりやすく、消費者のリアルな声を商品改善や販売促進に活かせるでしょう。

一方、髪のボリュームや体型など、外見に関するデリケートな悩みに関わる商品は、SNSでは本音が隠される傾向にあるため不向きです。その場合には、個人アンケートやインタビューなど、クローズドな調査での情報収集が向いていると考えられます。

ソーシャルリスニングが求められる背景

ソーシャルリスニングが企業のブランディングやマーケティング活動などに求められる背景には、SNSの普及によって口コミが消費者の購買活動に影響を与えるようになった点が挙げられます。

SNSや掲示板、ブログなどは、消費者が気軽に本音を書き込みやすいのが特徴です。こうした投稿には、企業が把握しきれないリアルな評価や感想が含まれており、他の消費者に対して購入を促すだけでなく、購買意欲を下げる要因となる可能性もあります。

実際に、消費者庁の「令和5年度消費者意識基本調査 調査結果の概要」によると、「インターネット上の口コミや評価が高い商品を選ぶ」と回答した人は7割を超えました。また、6割以上が「評価の点数が高くても、否定的な口コミを見て購入をためらうことがある」と答えており、口コミが購買活動に影響する現状が明らかになっています。

従来はテレビCMなどが商品ヒットの起点でしたが、近年ではSNSで話題となった商品が一気に拡散され、ブームを生むケースも多く見られます。こうした変化に対応するためには、消費者のリアルな声を分析できるソーシャルリスニングの活用が欠かせないといえるでしょう。

ソーシャルリスニングを実施するメリット

ソーシャルリスニングを導入することで、企業は消費者のリアルな声を把握し、ブランド戦略やマーケティング活動を効果的に進められると考えられます。ここでは、企業がソーシャルリスニングを実施する4つのメリットを解説します。

ブランドイメージを調査できる

ソーシャルリスニングは、自社ブランドの評価を可視化する際に活用できます。

企業が意図して発信しているイメージと、消費者が実際に抱いている印象にはギャップが生じることもあるでしょう。そのとき、SNS上の口コミや投稿を分析すれば、差異を把握でき、戦略の修正に役立てることが可能です。

また、商品やサービスへの不満や批判などネガティブな声も収集できるため、さまざまな視点からのブランドイメージの把握につながります。

トレンドや競合他社の動向を把握できる

ソーシャルリスニングは、市場のトレンドや競合分析にも活用が可能です。インターネット上で話題になっているテーマやキーワードなどを追うことで、新たな消費者ニーズをいち早く察知できるようになると期待できます。

また、競合他社に関する口コミを分析すれば、他社の強みや弱点が見えてくるでしょう。結果として、自社ならではの差別化した戦略を立てやすくなるはずです。
h3:マーケティング施策を評価できる
ソーシャルリスニングによって、実施した施策の成果を評価することも可能です。

広告やキャンペーン後のSNS上の反応を収集・分析すれば、マーケティング施策がどのように受け止められたかを把握できます。従来のアンケート調査やアクセス解析では見えにくかった消費者の感情や率直な意見も確認でき、成功要因や改善点の抽出も可能になるでしょう。

危機管理に活用できる

ソーシャルリスニングは、危機管理に活用できる点もメリットの一つです。

インターネット上のネガティブな口コミや炎上の兆候などをいち早く察知できれば、被害が拡大する前に迅速な対応が可能になります。とくに、SNSで商品・サービスに対するネガティブな投稿が拡散されると、炎上や風評被害などが起こり、企業の信頼が損なわれる恐れがあるため、早期発見と対応が重要です。

ソーシャルリスニングを実施しておくことで、こうしたリスクをいち早く発見し、適切な対策へとつなげられるでしょう。

ソーシャルリスニングの始め方

ここからは、ソーシャルリスニングの始め方を3つのステップに分けて紹介します。効果的な活用に向けて、正しい手順で進めましょう。

STEP1. 目的を明確にする

まずは、ソーシャルリスニングを実施する目的を明確にしましょう。インターネット上には膨大なデータが存在するため、目的が定まっていないと、情報収集や分析の方向性を見失ってしまいます。

具体的な目的の例は、以下のとおりです。

  • 自社ブランドのイメージを評価する
  • プロモーション施策の評判を把握する
  • 商品・サービスの改善に役立てる
  • トレンドを調査する
  • 炎上や風評被害などのリスク対策を行う

こうした目的を事前に整理し、メンバー間で共有しておくことで、効果的に分析を進められるようになると考えられます。

STEP2:収集する媒体を選定する

続いて、データを収集する媒体を選定しましょう。媒体選定の基準には、以下のポイントが挙げられます。

  • 自社のターゲットが利用しているか
  • 信頼性が高いか
  • リアルタイムな情報を得られるか など

また、即時性を求める場合にはX(旧Twitter)、購入者の口コミを調べたい場合にはレビューサイトなど、目的に応じて媒体を使い分けることも大切です。なお、主要な発信源とされる5大SNSの特徴については以下の記事で解説しています。あわせてぜひご覧ください。

STEP3:データの収集と分析を行う

最後に、設定した目的に応じてキーワードを選び、データを収集して分析を行いましょう。

このとき、収集したデータを「ポジティブ」「ネガティブ」「ニュートラル」に分けると、全体像をつかみやすくなります。また、単なる投稿数や割合を測る定量分析だけでなく、「なぜその意見が出たのか」を探る定性分析にも取り組むことが大切です。

こうした分析結果は、ブランディング戦略やマーケティング施策の改善など、企業活動に反映していきましょう。具体的な収集・分析手法については、次の章で解説します。

ソーシャルリスニングで情報を取集する方法

ソーシャルリスニングで情報を取集するには、大きく分けて2つの方法があります。目的や予算に応じて適切な手段を選ぶためにも、詳細を確認しておきましょう。

媒体の検索窓でキーワード検索を行う

SNSや掲示板などの検索窓に気になるキーワードを入力し、投稿内容から消費者の反応を収集する方法が挙げられます。この方法であればコストをかけずに試せるため、小規模な調査やソーシャルリスニングを初めて導入する場合におすすめです。

たとえば、新発売の商品やサービスを検索すれば、消費者の率直な感想や、他社製品との比較コメントなどを把握できるでしょう。また、課題や不満点が具体的に投稿されているケースも多く、改善のヒントにつながると期待できます。

有料のソーシャルリスニングツールを利用する

本格的にソーシャルリスニングを実施する場合には、有料ツールを利用する方法もあります。

ツールでは、市場動向やブランドイメージの把握、トレンドの予測、キャンペーンの効果測定など、目的に応じてさまざまな分析結果を得られるのが特徴です。また、多言語対応で海外のデータも取得できたり、専門家によるレポート作成サービスを受けたりできるサービスもあります。

コストはかかりますが、膨大なデータからインサイト(消費者の行動や感情に関する深い洞察)を取得し、マーケティング施策に活用したい企業におすすめです。自社の目的や規模に応じて、無料で始められる検索と有料ツールを組み合わせて活用するのもよいでしょう。

ソーシャルリスニングの分析手法

ソーシャルリスニングの分析手法には、「数値分析」「アカウント分析」「セグメント分析」の3種類があります。これらを組み合わせることで、消費者の声を多角的に把握し、マーケティング戦略に活かすことが可能です。

ここでは、それぞれの手法について解説します。

数値分析

数値分析では、対象キーワードに関連する投稿数や反応の大きさなどを、数値で把握します。

たとえば、調査したい商品名やサービス名をキーワードとして検索し、その数や関連投稿数などをチェックします。また、投稿がどの程度の人に届いているかを知るために、発信者のフォロワー数や反応数(いいね・シェアなど)も確認しましょう。

さらに、投稿内容を「ポジティブ・ネガティブ・ニュートラル」に分類し、その割合を算出すれば、調査対象が全体としてどのように受け止められているかの客観的な把握が可能です。

アカウント分析

アカウント分析は、調査対象のキーワードを投稿したアカウントを対象とする分析手法です。フォロワー数が多く影響力のあるインフルエンサーや、情報拡散力が高いアカウントを特定し、その発信内容を分析します。

前述の数値分析が「定量的」であるのに対し、アカウント分析は「定性的」で、SNS上の評判や傾向を捉えることが可能になります。影響力のあるアカウントを調べることで、拡散されやすい表現やよく使われるキーワードなどがわかり、自社のマーケティング施策に応用しやすくなるでしょう。

セグメント分析

セグメント分析とは、数値分析やアカウント分析で得られたデータを、さらに組み合わせて深掘りする手法です。数値やアカウント単体では見えにくい消費者の特徴を、複数の観点をかけ合わせることで明確にしやすくなります。

たとえば、投稿者の感情(ポジティブ・ネガティブ・ニュートラル)と投稿者の属性(フォロワー数や興味関心)を組み合わせると、「どのような層が、なぜ購入を決めたか(見送ったか)」などの情報を把握できるでしょう。

このように、見る指標自体は他の分析手法と重なる部分もありますが、観点を組み合わせる点が異なります。得られた分析内容をもとに、キャンペーン施策やブランディングなどに反映すれば、より精度の高いマーケティング施策につながると考えられます。

ソーシャルリスニングのデメリット・注意点

ソーシャルリスニングには多くのメリットがある一方、活用にあたっては注意すべき点も存在します。ここでは、主な2つのデメリット・注意点を解説します。

大量のデータから必要な情報の抽出が難しい可能性がある

ソーシャルリスニングでは、SNSや掲示板、ブログなどに投稿された膨大なデータを扱いますが、そのすべてが有益な情報とは限りません。そのため、必要なデータを見極めて抽出することが課題になります。

具体的には、キーワードの選定や感情分析に手間がかかり、初めて実施する場合は時間や労力がかかる可能性があります。また、適切な分析を行うには、専門的なスキルや専用ツールの活用が求められるケースもあるでしょう。

発信者の属性を特定するのが難しい場合がある

ソーシャルリスニングでは、消費者の本音を把握できる一方、投稿者の属性を特定するのは難しいとされています。年齢や性別、職業、居住地といった情報はSNSのプロフィールから読み取れない場合が多く、属性ごとの傾向分析には向いていない側面もあると考えられます。

その点、従来のアンケート調査やインタビューでは、属性情報を事前に取得でき、属性と組み合わせた詳細な分析も可能です。そのため、両者の特徴を理解し、目的に応じて手法を使い分けることが重要だといえます。

SNSの効果的な運用は「Nにおまかせ!」

ソーシャルリスニングは、消費者の本音や市場の動向を把握するうえで有効なマーケティング手法です。しかし、得られたデータを実際の成果につなげるには、SNS運用施策にきちんと反映していくことが欠かせません。そのため、初めて取り組む場合やノウハウが少ないなかでは、思うような効果を得られないケースもあるでしょう。

SNSの効果的な運用にお悩みの場合、「Nにおまかせ!」へご相談ください。「Nにおまかせ!」では、専任担当者がSNSの開設から企画・コンテンツ作成・投稿・運用までをトータルでサポートします。事前に集客の目的やターゲット、方向性を丁寧にヒアリングし、アカウント準備から運用まで伴走するため、SNSマーケティングやパソコンに不慣れな場合でも安心して依頼できます。

また、コンテンツの投稿後には効果測定も行い、数値に基づいた分析と、次の施策につながるコンテンツアイデアのご提案まで行うのもポイントです。オプションでWeb広告運用にも対応しており、集客効果をさらに高められると期待できます。

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【導入事例】海外向けSNS発信でインバウンド集客を実現!ホテル ニューオーテ様

北海道・函館の中心部に位置する「ホテル ニューオーテ様」では、インバウンド需要が高まりつつあるなか、海外からの宿泊客をどのように取り込むかが課題となっていました。4月から10月までのトップシーズンは観光客で賑わいますが、冬場は来訪者が減少し、経営上インバウンド集客が欠かせない状況にあったといいます。

SNSの活用には早くから取り組み、社長自らInstagramで海外向け発信を行っていました。しかし、翻訳や投稿作業に時間がかかるうえ、思うような効果が得られず、継続も難しいという悩みを抱えていたそうです。

そこで導入したのが、「Nにおまかせ!」の「Webプロモーションサービス」です。本サービスでは、担当者が投稿企画の提案からライティング、多言語翻訳、投稿代行、効果測定までを一括してサポートしています。導入後は、翻訳や投稿にかかっていた社長の作業負担が大幅に軽減し、ネイティブ翻訳による正確な発信で投稿のクオリティも向上。業務効率化と情報発信の質の両立が実現しました。

さらに、SNS広告との併用によって海外ユーザーへのリーチが広がり、実際にSNSをきっかけとした海外からの問い合わせや予約も発生しています。「SNSは継続が大切。効果が出るまで時間は必要だが、海外へアプローチできている実感がある」と評価いただきました。

※文中に記載の組織名・所属・肩書き・取材内容などは、すべて2024年5月31日時点(インタビュー時点)のものです。

※事例は一例であり、すべてのお客さまに同様の効果があることを保証するものではありません。

※お客さまから頂戴したご意見などをNTT東日本で編集したものです。

まとめ

ソーシャルリスニングは、消費者の本音や市場の動向をつかむのに有効な手法です。投稿数や反応を数値で分析するだけでなく、アカウントやセグメントごとに深掘りすることで、自社商品の評価や購買行動の背景をより正確に把握できます。ただし、大量のデータを扱うためには、専門的な知識や継続的な運用が求められる点には注意が必要です。

こうした分析結果を成果に結びつけるためには、日々のSNS運用と並行して取り組むことが大切です。「Nにおまかせ!」では、SNSの開設から投稿・効果測定までを専任担当者がトータルでサポートします。多言語発信や広告運用にも対応しているため、国内外の集客を強化したい企業にもおすすめです。

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