公開日:2025.03.13
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わかること
目次
近年、企業を狙った不正アクセスの被害が増加しており、重大な情報セキュリティリスクとして注目されています。オンラインストアへの不正アクセスによってクレジットカード情報を含む個人情報が流出した事例や、クラウドサービスが3週間以上もの間サービス停止に陥った事例など、実際の被害は少なくありません。
万が一企業のシステムに不正アクセスをされたら、情報漏えいやデータ窃取、Webサイトの改ざんなどにより、顧客や取引先との信頼関係が損なわれる恐れがあります。そのため、企業は不正アクセスされたかどうかを迅速に把握し、被害の拡大を防ぐ対応をしなければなりません。
本記事では、不正アクセス攻撃によって企業が受ける被害や、不正アクセスされたかどうかを調べる確認方法、緊急対応、対策などについてわかりやすく解説します。不正アクセスの脅威について理解を深め、情報セキュリティ対策の強化にお役立ていただければ幸いです。
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資料をダウンロードする(無料)不正アクセスとは、本来アクセス権を持たない者が、ネットワークやシステムなどの内部へ不正に侵入する行為のことです。例えば、他人のIDやパスワードを不正に取得してシステムにログインし、重要なデータを盗み取ったりファイルを改ざんしたりするケースが該当します。
実際に、不正アクセスの事例は増加傾向にあります。独立行政法人情報処理推進機構「コンピュータウイルス・不正アクセスの届出状況」※1によると、2023年には企業などから183件の不正アクセスの届出が寄せられ、過去3年間で最多を記録しました。報告された被害内容には、ファイルの書き換えやデータの窃取、不正プログラムの埋め込みなどが含まれます。
不正アクセスの手口は、年々巧妙化・多様化しています。企業はこのようなサイバー攻撃から情報資産を守るために、情報セキュリティ対策の強化が必要です。アンチウイルス対策ソフトの導入やデータのバックアップ保存、そして従業員に対する情報セキュリティ教育など、可能な限り対策を行いましょう。
出典:「独立行政法人情報処理推進機構|コンピュータウイルス・不正アクセスの届出状況[2023年(1月~12月)」
(https://www.ipa.go.jp/security/todokede/crack-virus/ug65p9000000nnpa-att/2023-report.pdf)
企業では、例えば、以下のような経路から不正アクセスを受ける可能性があります。
不正アクセスの侵入経路 例
上記の通り、不正アクセスの侵入経路はさまざまです。企業では、機器やシステムの定期的なセキュリティチェックや、侵入防止ソフトウェアの導入をはじめとした包括的な取り組みが求められます。
不正アクセスでは、正規のアクセス権限を持つ人になりすますことでセキュリティを突破する方法がよく用いられます。
具体的な手口について、いくつか紹介します。
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手口 | 説明 |
---|---|
IDやパスワードなど、想定されるすべての組み合わせを試す(ブルートフォース攻撃) |
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ID・パスワードを推測する(辞書攻撃) |
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ID・パスワードを不正に入手する |
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脆弱性を悪用する |
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マルウェアに感染させる |
|
こうした手口に対抗するためには、強力なパスワードの設定や二段階認証・多要素認証の導入、ソフトウェアの定期的なアップデートが必要です。攻撃者の手口は日々進化しているため、最新の情報を取り入れ、継続的に対策を強化することが求められます。
悪意を持った攻撃者によって不正アクセスが行われた場合、企業が受ける被害はデータの流出や改ざんにとどまらず、事業活動にまで及ぶ可能性があります。不正アクセスの影響が経営に深刻なダメージを与えることもあるのです。
不正アクセスされた際に企業が直面する被害やリスクについて、以下の3つの観点から具体的に解説します。
不正アクセスを受けると、システムに侵入した第三者がデータの暗号化やアクセス権限の変更、プログラムの改ざんなどを行う可能性があります。このような事態に陥った場合、システムが使用できなくなり、生産活動や営業活動がストップしてしまうかもしれません。
例えば、メーカー企業が部品の受発注や、納品データのやり取りをするシステムにアクセスできなくなれば、生産活動を一時停止せざるを得ないでしょう。
さらに、不正アクセス後の対応にも多くのリソースが必要です。原因の特定や被害範囲の調査、外部への報告、システム復旧などに時間と労力が割かれることで、通常業務がおろそかになる恐れがあります。不正アクセスによる被害はデータの損失にとどまらず、業務の停止や生産性の低下という大きなリスクを引き起こします。
不正アクセスによるセキュリティインシデントが発生した際に、企業は場合によって多額の金銭的損失を被る可能性があります。例えば、攻撃を受けたシステムの復旧作業費用や被害者に対する損害賠償金、さらには専門家による調査費用などが積み重なり、最終的な損害額が数千万〜数億単位に及ぶケースもあるのです。また、法律や規制に違反した場合に罰則が科されたり、業務停止によって顧客や取引先との契約違反が生じた場合には訴訟に発展したりする可能性もあります。
不正アクセスが引き起こす情報漏えいや事業停止は、企業の社会的信用を大きく損なうリスクがあります。顧客情報や取引データの流出が報じられれば、ブランドイメージが悪化し、顧客や取引先の信頼を失いかねません。
また、サプライチェーン上の他企業からの信頼を失うと、取引停止や契約解除が相次ぎ、最悪の場合は倒産に追い込まれる可能性があります。さらに、株式市場で上場している企業の場合、不正アクセスが引き金となって株価の低下が余儀なくされることもあるでしょう。
インシデント対応が適切に行われない場合、その影響はさらに深刻化します。例えば、初動対応に時間がかかったり、誤った情報を関係者に伝えてしまったりすることで、より信頼を失う事態につながりかねないのです。
このような被害を防ぐには、不正アクセスを未然に防ぐ「事前対策」と、被害が発生した際に迅速かつ的確に対応する「事後対策」の両方に取り組むことが大切です。具体的な対策については、後述する「不正アクセス対策には『事前対策』と『事後対策』が必要」で解説します。
また、オフィスならではの情報セキュリティリスクについて以下の資料で紹介しています。ぜひダウンロードしてご確認ください。
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詳しくはこちら不正アクセスは、アクセスログの確認や、セキュリティシステムのアラートを通じて発見されるケースが多くあります。不正アクセスされた可能性があるかどうかを調べる具体的な方法について、以下の3つを紹介します。
不正アクセスの兆候をいち早く検知するには、普段からアクセスログの監視体制を構築したり、セキュリティシステムを導入したりするなど、検知・防御の体制を整えておくことが大切です。
アクセスログの解析は、不正アクセスが疑われる際にまず行うべき基本的な確認方法です。アクセスログには、システムやサービスにログインした記録や行動などが残されているため、不審な行動の兆候を見つける手がかりになります。
アクセスログを解析する際の確認事項は、例えば、以下のような観点が挙げられます。
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確認項目 | 確認内容 |
---|---|
ユーザー | 見覚えのないユーザー名や、通常利用者ではない不審なユーザーからのアクセスがないか |
ログイン履歴 | 短い時間に何度もログインが失敗している履歴がないか |
デバイス | 利用登録していない、不審なデバイスからのアクセスがないか |
IPアドレス・地域 | 見たことがない不審なIPアドレスや、事業と無関係の地域からのアクセスはないか |
アクセス日時 | 深夜・早朝や休日など、営業時間外の時間帯にアクセスされていないか |
アクセス回数 | 業務上必要と考えられる範囲を大きく超えて、何度もアクセスされていないか |
異常な動作 | 業務上必要と考えられる範囲を大きく超えて、データへのアクセスや内容変更、コピーなどが行われていないか |
これらのポイントについてアクセスログを確認し、不審なログインが試行された可能性がないかを検証しましょう。
セキュリティシステムを導入することで、より効率的に不審な動作を検知・防御できます。主なシステム例は以下の通りです。
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セキュリティシステム | 説明 |
---|---|
IDS(不正侵入検知システム) | 不正アクセスや異常な通信を検知し、管理者に通知するシステム |
IPS(不正侵入防止システム) | 不正アクセスや攻撃を検知し、自動的に通信を遮断して被害を防ぐシステム |
WAF(Webアプリケーションファイアウォール) | Webアプリケーションの脆弱性を悪用した攻撃からWebサイトを保護するセキュリティシステム |
EPP(エンドポイント保護プラットフォーム) | パソコンやサーバーなどの端末をマルウェア感染から守るためのセキュリティシステム |
EDR(エンドポイント検知・応答) | パソコンやサーバーなどの端末を監視し、不審な振る舞いを検知して対処するセキュリティシステム |
このように、セキュリティシステムによってできることや検知・防御できる範囲は異なります。情報セキュリティ対策を強化するには、複数のシステムを導入し多角的な対策を講じることが大切です。
情報セキュリティの監視サービスを契約しているのであれば、不正アクセスが発生していないかどうかを専門の担当者に問い合わせる方法もあります。
例えば、ネットワークセキュリティ対策サービス「おまかせサイバーみまもり」では、プロが通信状況をモニタリングしています。年中無休でサポートを提供しており、突発的なトラブル対応の支援をしているため、不正アクセスの早期発見や迅速な復旧対応の一助となるでしょう。
特に、情報セキュリティに関する専門知識を持つ担当者が社内にいない場合や、いざという時の対応に不安がある企業にとって、外部の専門家による監視サポートは心強いものです。「おまかせサイバーみまもり セキュリティパッケージ」については、以下のリンクからご確認いただけます。情報セキュリティ対策の一つとして、ぜひご検討ください。
ネットワークセキュリティ対策サービス「おまかせサイバーみまもり セキュリティパッケージ」
詳しくはこちら不正アクセスされた場合、情報漏えいなどの危険性を考慮して、企業は速やかに対処しなければなりません。以下では、不正アクセスを検知・確認した場合の緊急対応の手順について、5つのステップを紹介します。
不正アクセスの兆候を発見した際は、すぐに経営者や情報セキュリティ責任者、CSIRT※2など、社内で決められている窓口に報告しましょう。事態の深刻化や二次被害を防ぐためには、迅速に初動対応を開始することが大切です。また、外部から通報を受けた場合は念のため通報者の連絡先を控えておきましょう。
具体的にするべき初動対応は、以下の通りです。
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対応 | 説明 |
---|---|
体制構築 |
|
被害範囲の特定 |
|
ネットワークからの 隔離 |
|
パスワードの変更・ アクセス制限 |
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被害範囲の特定やネットワークからの隔離をスムーズに行うためには、平素から社内ネットワークの構成状況や利用機器を把握しておくことが不可欠です。あらかじめネットワーク構成図を作成し、機器ごとの隔離方法を検討しておきましょう。
「Nにおまかせ!」の「おまかせICT診断」では、通信のプロが訪問し、ネットワークの構成図などのレポートを作成します。「社内ネットワークが管理しきれていない」という課題をお持ちの方は、情報セキュリティ対策の第一歩として利用してみてはいかがでしょうか。サービスの詳細は、以下のリンクから確認できます。
※2 CSIRT(シーサート):「Computer Security Incident Response Team」の略称で、セキュリティインシデントが発生した時に対応する専門チームのこと。
次に、不正アクセスの原因や侵入経路を突き止めるため、アクセスログの解析やセキュリティシステムに保存された証拠の調査を行います。調査・原因究明の段階では、攻撃手法や関与した可能性のあるシステムを特定することが大切です。
フォレンジック調査※3を実施している専門機関に依頼するなどして、事実関係や経緯などについて証拠を収集・特定し原因究明に向けて分析調査を行いましょう。
※3 フォレンジック調査:セキュリティインシデントに対する鑑識調査のこと。
インシデントの影響を受けた取引先・顧客や、メディアなどに対して、不正アクセスが行われた可能性がある事実を自社のホームページや記者発表などで公表します。
第一報として公開することが望ましい情報は、例えば、以下のような内容です。
第一報の内容 例
ただし情報公開によって被害の拡大が懸念される場合は、内容やタイミング、対象について慎重に検討する必要があります。公表の影響を十分に考慮した上で対応しましょう。
また、必要に応じて警察や独立行政法人情報処理推進機構(IPA)、個人情報保護委員会などに届出を行いましょう。以下の表に、届出先と主な受付内容・受けられる支援などについてまとめました。
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届出先 | 受付内容や支援 |
---|---|
警察 |
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独立行政法人情報処理推進機構(IPA) |
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個人情報保護委員会 |
|
なお、個人情報の漏えいが発覚した場合には、個人情報保護委員会に報告したり、速やかに本人へ通知したりする義務があります※4。報告を怠った場合には、必要に応じて個人情報保護委員会から勧告や措置などが行われ、無視した場合には刑事罰が科される可能性がある点に注意しましょう。
※4 「個人情報の保護に関する法律」の第二十六条(漏えい等の報告等)により定められている。
調査結果をもとに、再発防止策を策定します。再発防止策の例として、新たなソリューションの導入やルール・運用の見直し、組織体制の強化、従業員教育の徹底などが挙げられます。また、サービスの復旧作業や、破損したデータの復元作業も並行して進めましょう。
再発防止策が確立され、システムが正常に復旧した後は、再度セキュリティチェックを実施し、万全な状態かどうかを確認します。
事後対応として、詳しい調査結果やさらなる再発防止策を第二報以降で公表し、ステークホルダーとの信頼関係回復に努めます。
また、個人情報漏えいやサービス停止などによって顧客や取引先に実害が生じた場合には、補償や損害賠償を検討しましょう。
問題の解決とともに、今後の防止策や改善点を継続的に発信し、企業の信頼を取り戻すための努力を続けることが大切です。
近年、サイバー攻撃の手口はますます巧妙化しており、完全に防ぐことは困難になっています。そのため、不正アクセスを防ぐための「事前対策」と、攻撃を受けた際に被害を最小限に抑えるための「事後対策」の両輪で取り組むことが重要です。
以下では、不正アクセス対策における具体的な「事前対策」と「事後対策」を、組織・技術・人・物理という4つの観点から紹介します。それぞれの視点から適切な措置を講じることで、より強固なセキュリティ体制を構築できるでしょう。
サイバー攻撃を予防するための事前対策は、不正アクセスが発生するリスクを低減させるために欠かせません。さまざまな観点からできるだけの対策を講じることが大切です。
事前対策の一例を表で紹介します。
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組織的対策 |
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---|---|
技術的対策 |
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人的対策 |
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物理的対策 |
|
※5 SOC(ソック):「Security Operation Center」の略称で、ネットワークやデバイスを監視し、サイバー攻撃の検知・分析・対策を行う専門組織のこと。被害の防止に重点を置いている点でCSIRTと異なる。
事前対策を講じていても、不正アクセスを完全に防ぐことは難しく、被害が発生する可能性はゼロではありません。被害を最小限に抑えるために重要となるのが、セキュリティインシデントが発生することを想定した事後対策です。
事後対策の一例を表で紹介します。
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組織的対策 |
|
---|---|
技術的対策 |
|
人的対策 |
|
いざという時に冷静かつ迅速に対応し被害を最小限に止めるためには、サイバー攻撃を想定した対策が欠かせません。万一の事態に備えた対応体制を整え、危機管理能力を向上させましょう。さらに詳しい実践対策について、以下の資料で紹介しています。ぜひダウンロードしてご活用ください。
「サイバー犯罪集団に付け込まれないための実践対策集」資料ダウンロード
詳しくはこちら※2(再掲) CSIRT:「Computer Security Incident Response Team」の略称で、セキュリティインシデントが発生した時に対応する専門チームのこと。
不正アクセスやその他のセキュリティインシデントに対応するためには、企業の規模や状況に応じたさまざまな対策が必要です。中小企業の場合、「優先順位をつけて、予算を抑えながら対策を進めたい」と考える企業担当者の方も多いのではないでしょうか。
そのような場合におすすめしたいのが、まず自社の脆弱性やセキュリティリスクを外部の専門機関に調査してもらい、その結果に基づいて適切な対策を選ぶ方法です。
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詳しくはこちら不正アクセスは、権限を持たない第三者がシステムに侵入し、データの窃取や改ざんを行う犯罪行為で、被害事例は増加傾向にあります。企業が被るリスクとして挙げられるのは、事業停止や金銭的損失、社会的信用の低下などです。
被害を最小限に抑えるためには、迅速に初動対応にあたり、原因調査や関係者への通知、その後の再発防止や復旧作業を滞りなく行うことが重要です。さらに事前の予防策として、強固なパスワード設定や二段階認証・多要素認証の導入、セキュリティシステムの更新、社員教育の実施を行いましょう。最新の攻撃手法に対応し続けることが、情報資産を守る術となります。
不正アクセス対策を強化するためには、まず自社のネットワークセキュリティを評価し、課題を「見える化」することが重要です。加えて、包括的な情報セキュリティ対策を実施し、継続的な改善に取り組む必要があります。
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