公開日:2025.11.13

この記事で
わかること
目次
バーの開業にあたっては、物件の選定や資格取得、届出の提出、資金の調達など多くの準備が必要です。また、バーのジャンルによっても必要な準備が変わってくるため、慎重に行わなければなりません。
この記事では、バーの開業に必要な資金の目安や、活用できる補助金・助成金、バー開業までの流れ、成功するためのポイントについて解説します。
バーの開業について不安や悩みがある方に活用してほしいサービスも紹介するので、参考にしてみてください。
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資料をダウンロードする(無料)はじめに、バーの開業に必要な資金の目安を紹介します。
バーの開業にあたって用意しておくべき費用は、大きく分けて「設備資金」と「運転資金」の2つです。以下でそれぞれの費用相場と内訳をまとめています。
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| 費用相場 | 内訳 | |
|---|---|---|
| 設備資金 | 500万~1,000万円程度 |
|
| 運転資金 | 1ヶ月あたり50万~100万円程度 |
|
ここでは、それぞれの費用と内訳について詳しく説明していきます。
バーの開業には、一般的に500万円~1,000万円程度の設備資金がかかるとされています。なお、費用相場は物件の規模や立地、コンセプトによって変動します。
設備資金の主な項目は、以下の通りです。
物件取得費は、バーを営む店舗にかかる敷金・礼金・保証料などといった初期費用のことで、一般的に家賃の6〜10ヶ月分程度かかるとされています。
設備資金を抑えるためには、居抜き物件※1を選んだり、什器を中古品やリース品から選んだりするなどの工夫が必要です。
設備資金を具体的に計算するためには、事前に各項目の見積もりも取っておきましょう。
※1 居抜き物件:前のテナントの内装や設備、什器が残されたままの状態で借りられる物件
バーを開業した後に毎月かかる固定費や変動費を「運転資金」といいます。運転資金は、バーを継続して営業するために必要な費用です。
家賃が20万~125万円程度の店舗の場合、1ヶ月あたり50万~1100万円程度が運転資金の目安となります。家賃以外にかかる運転資金の内訳は、以下の通りです。
バーを開業してもすぐに売上が安定するとは限らないため、3ヶ月~半年分の運転資金を用意しておくと安心です。
運転資金は、事業計画を立てる上で非常に重要な要素であるため、開業前にできる限り綿密に計算し、余裕を持って準備しておきましょう。
バーの開業には多額の費用が必要であり、実際に開業した人の多くは自己資金と金融機関からの借入で調達していることがわかっています。
日本政策金融公庫総合研究所が行った「2024年度新規開業実態調査」によると、開業費用の平均値は985万円、中央値は580万円という結果でした。なお、開業費用の多くは金融機関からの借入となっています。借入は、のちに返済が必要になる調達方法です。
しかし、補助金や助成金を活用すれば、返済義務がない資金を調達できます。
申請に通れば開業資金の負担を大幅に軽減できる可能性があるため、要件があえば積極的に活用することがおすすめです。
なお、バーの開業に活用できる補助金には、以下などがあります。
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| 概要 | 補助金額 | |
|---|---|---|
| 小規模事業者持続化補助金 | 販路開拓や生産性向上を目的とした取り組みに対して、経費の一部を補助することで、小規模事業者の持続的な経営を支援するための補助金制度 | 50万円~250万円 |
※最新の情報は小規模事業者持続化補助金公式サイトをご確認ください
また、地方自治体によっては、地方自治体が独自に助成金制度を設けている場合があります。店舗を構える予定の市区町村の公式サイトで、利用できる補助金や助成金があるかどうかを確認してみましょう。
なお、補助金や助成金は、年度や募集回ごとに要件が変更されることがあります。最新の情報を得るためには、中小企業診断士などの専門家に相談してサポートを依頼することも検討してみてください。

バーを開業するには、2つの資格の取得と、3つの許可・届出の提出が必要です。
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| 資格 | 許可・届出 |
|---|---|
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資格の取得や許可、届出を怠ると、法的に問題があるためバーの運営に支障をきたしかねません。
ここでは、バーの開業に必要な2つの資格と3つの届出について詳しく紹介します。
食品衛生責任者とは、飲食店や食品製造業、食品販売店などにおいて、施設の衛生管理を行う責任者のことです。
飲食店を営業するには、必ず1人以上の食品衛生責任者を置くことが食品衛生法で義務付けられています。
食品衛生責任者の資格は、資格者養成講習会を受講することで取得可能です。なお、栄養士や調理師など特定の資格を持っている場合は、講習会の受講が免除されます。
防災管理者とは、店舗で火災を発生させないようにしたり、万が一火災が発生した際に、被害を最小限にとどめるようにしたりするなどを目的に、適切に安全管理・対処するための資格です。
建物の収容人数が30人以上の場合には、1人以上の防火管理者を置くことが義務付けられています。
防災管理者の資格は、食品衛生責任者同様に、講習を受講することで取得可能です。講習を受講するには事前の申し込みが必要なため、事前に日本防火・防災協会などのサイトを確認してみてください。
飲食店営業許可とは、飲食店を開業する際に必要になる食品衛生法に基づく公的な許可のことです。バーを含め、形態にかかわらず飲食店を開業する場合は、飲食店営業許可が必須となります。
保健所に申請し、立ち会い検査を経て許可が得られます。飲食店営業許可を取得する具体的な流れは、以下の通りです。
飲食店営業許可の申請から交付までは概ね10日程度必要なため、スケジュールに余裕を持って申請しましょう。
防火管理者選任届出書とは、店舗の防火管理者を明確にするための届出です。建物の収容人数が30人以上の場合は、バーを開業する際に必須となります。
管理者は、前述した「防火管理者」の資格取得者を選任すれば問題ありません。防火管理者の資格は取得しただけでは機能しないため、防火管理者の資格を取得次第、防火管理者選任届出書も早めに提出しましょう。
なお、届出書は各都道府県の消防庁のサイトからダウンロードできます。
午前0時~6時の深夜営業を行う飲食店は、深夜酒類提供飲食店営業届の届出が必要です。
バーや居酒屋など、深夜に酒類をメインに提供する飲食店は必須の届出であり、違反した場合は、罰則(50万円以下の罰金)が科される可能性があります。
深夜酒類提供飲食店営業届は、所定の様式を警視庁や各警察本部の公式サイトから入手して作成・提出しましょう。提出は、営業開始10日前までに完了させておく必要があります。
ただし、そもそも深夜帯に営業できない地域や警察署毎の運用ルールが設けられている場合もあるため、事前に管轄の警察署に確認することがおすすめです。
バーの開業を成功させるためには、計画的かつ段階的に準備を進めることが重要です。
ここでは、バーの開業に必要な準備と流れについて説明していきます。
まずは、どのようなバーにしたいかという、コンセプトを明確にすることが大切です。コンセプトによって立地・内装・メニュー・集客方法が大きく変わってきます。
以下のようなバーのジャンルを参考に、開業したいバーの理想像を具体化しましょう。
コンセプトが決まり次第、「誰に、何を、どのように提供するのか」「売上や支出の見込み」「競合との差別化ポイント」などを詳細に事業計画にまとめます。
バー運営の成功のためには、この段階でのターゲット層のニーズ調査や競合分析が欠かせません。
立地の選定は、お店の売上に直結する重要なステップです。コンセプトに合った立地を選び、ターゲットとなる客層が多い場所を探しましょう。
選定時の主なチェックポイントは、人通り、時間帯ごとの集客力、近隣の競合店の状況などです。夜間の人通りが多いかどうか、最寄り駅からのアクセスがよいかどうか、近隣に類似する競合店がないかどうかといったポイントを確認してみてください。
また、店舗の家賃と売上予測のバランスをとることも重要です。賃料が売上予測に対して高すぎていないかを慎重に検討しましょう。
深夜営業を想定する場合は、近隣住民とのトラブルを避けるために、騒音対策なども考慮に入れる必要があります。
バー開業には一般的に500万~1,000万円程度の初期費用が必要です。自己資金でまかなえない場合は、公的な融資制度などを利用しましょう。
主な資金調達先として、日本政策金融公庫や民間の金融機関の融資制度があります。
融資を受けるには、作成した事業計画書で資金の用途や収支計画を明確に示し、事業の実現可能性を説得力をもって説明することが求められます。
提供するお酒の種類に合わせて、適切な仕入れ先を選定していきます。
業務用酒販店や酒卸業者と取引を始めるには、条件交渉・仕入れ価格の確認が重要です。業務用酒販店や酒卸業者などから複数の候補を選び、見積もりを依頼して比較検討しましょう。
比較の際には、以下のようなポイントも確認してみてください。
コンセプトに合わせた内装デザインを設計し、お店の雰囲気を形作りましょう。
照明・カウンター・お酒を並べる棚など、バーらしい演出にこだわりながらも、作業動線や機能性、実用性も考慮することがポイントです。厨房設備については、食品衛生法の定める設備基準を満たすものを揃える必要があります。
また、バーを運営するにあたり、インターネット回線の開通や電話番号の取得など、インフラ環境を整えることも必須です。とくに、インターネット回線については、セキュリティ面も考慮しながら準備を進めましょう。
バーの開業には、以下のような複数の資格・届出・許可が必要です。
バーの業態・ジャンルによっては、追加で届出・許可が必要になるケースもあるため注意しましょう。
たとえばシガーバーの場合は「たばこ出張販売許可」が、一定規模以上のコンロなどを設置する場合は「火を使用する設備等の設置届出書」の提出が必要になります。
オープン準備の目処が立ち次第、できるだけ早く集客活動を始めましょう。開業前から宣伝を始めることで、オープン初日から多くのお客さまに来店してもらえる可能性が高まります。
具体的な宣伝・集客方法として、以下のようなものがあります。
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| オンライン施策 | オフライン施策 |
|---|---|
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集客効果を最大化するためには、オンライン・オフラインの施策を組み合わせて行うことが大切です。
しかし、オープン前の準備期間は忙しくなるため、自力ですべての宣伝・集客に対応するのが難しい場合もあるでしょう。このような場合、プロにサポートを依頼することも一つの手です。
プロに宣伝・集客活動を依頼することで費用対効果を高められる可能性もあるため、状況に応じて活用を検討してみてください。
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バー業界は、新型コロナウイルス感染症の影響から徐々に回復し、新規の開業が増加傾向にあります。新規開業が増加傾向にあるということは、それだけ競合も増えているということです。
そのなかで生き残るためには、競合との明確な差別化と継続的な改善、プロのサポートが鍵となります。
ここでは、バーの開業を成功させるためのポイントを3つ紹介します。
多くの競合がいるなかで、お客さまに選ばれるためには、そのお店ならではの魅力、いわゆる「コンセプト」を明確にすることが非常に重要です。
コンセプトを具体的に固めることで、他店との差別化が図れ、お客さまに「このお店に行きたい」と思ってもらえる理由が生まれます。
空間・メニュー・サービスのどこかに自店ならではの強みをつくることで、他店との差別化が図れるでしょう。
また、コンセプトは店舗作りの軸となるため、ブレない軸を作っておくと、その後の店舗作りがスムーズに進みます。コンセプトをもとに立地や物件の選定、メニュー、内装などを決めるため、早い段階で固めておくことが重要です。
バー経営において、リピーターや常連客は収入の大部分を占めるといわれています。
ビジネスの世界でよく知られる「パレートの法則(80:20の法則)」で考えると、「売上の80%は上位20%のリピーターによってもたらされる」と解釈できるでしょう。
開業当初の段階からリピーターを増やし、お店のファンになってもらうための効果的な施策を導入することがポイントになります。ポイントカードや次回割引、限定イベントなどは、リピーター獲得に効果的な施策です。
また、会話や接客で信頼関係を築くことも大切な施策の一つといえます。「いつもと同じでよいですか?」といった声かけや、好みに合わせたカクテルを提案するなど、パーソナルなサービスを提供することで、「自分のためのバー」と感じてもらいやすくなるでしょう。
こうした施策を通じて、お客さまとの信頼関係を築き、単なる「お店」ではなく「居心地のよい行きつけの場所」と感じてもらうことが、リピーター獲得の鍵となります。
バーの開業には多くの準備が必要です。なかには事業計画書の作成、店舗のインフラ整備、Webを活用した効果的な集客方法の検討など、専門的な知識が求められるものもあります。
そのほかにも多くの準備があるなかで、すべての作業を自力で完璧に行うのは、時間的にも能力的にも難しい場合があるでしょう。
このようなときは、すべてを自力で対応しようとせずに、専門家の力を借りることも検討してみてください。専門的な知識が必要な場面では、プロに相談することでよりスムーズに開業準備を進められます。
「Nにおまかせ!」は、開業に関するお困りごとをまるごとサポートするサービスです。
バーの開業は、これまで紹介してきたように準備すべき項目が多岐にわたります。すべての準備を一人で完璧にこなそうとすると手が回らず、必要な準備の抜け漏れが発生したり、開店日に間に合わなかったりする恐れがあるでしょう。
「Nにおまかせ!」では、開業準備についての各事業者とのやり取りの代行や、インターネット接続環境の構築、効果的な集客のサポートなど、煩雑な作業や専門知識が必要な作業をまるごと支援します。
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無料相談にも対応しているため、バーの開業準備について不安やお困りごとがある方はぜひ一度お問い合わせください。
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詳しくはこちら本記事では、バーの開業に必要な資金や活用できる補助金・助成金、開業の流れや準備などについて紹介しました。
バーの開業に必要な資金には設備資金と運転資金の2つがあり、設備資金は500万〜1,000万円程度が一般的な相場といわれています。運転資金も1ヶ月あたり50万〜100万円程度かかるとされており、開業時には3ヶ月〜半年分の運転資金を用意しておく必要があります。
バーの開業には資金のほか、資格や許可の取得、届出なども必須です。そのほかにも、お店のコンセプト決めや立地・物件の選定、内外装工事や設備の導入、集客活動など、やることは多岐にわたります。
これらをすべて一人でこなすのは難しく、なかには専門的な知識が必要な作業もあります。
このような場合、バーの開業に関するお困りごとをまるごとサポートする「Nにおまかせ!」がおすすめです。
開業準備のなかでもICT環境の整備や集客といった専門的な内容をプロがサポートするため、経営者の方はお店のコンセプト決めや物件選定といった、コア作業に集中して取り組めるようになります。
まずは無料で相談できるため、バーの開業を検討している方や開業に向けてお困りごとがある方は、お気軽にお問い合わせください。
監修
税理士法人V-Spiritsグループ代表 税理士・社労士・行政書士・FP
中野 裕哲
起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社労士、行政書士、CFP(R)。 税理士法人V-Spiritsグループ代表。年間約1000件の起業相談を無料で受託し、起業家や経営者をまるごと支援。経済産業省後援 起業経営支援サイト「DREAM GATE」で12年連続相談数日本一。 著書・監修書に『一日も早く起業したい人がやっておくべきこと・知っておくべきこと』(明日香出版社)など20冊、累計25万部超
V-Spiritsグループ Webサイト