公開日:2024.05.23
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近年多くの企業が、DX推進に取り組んでいます。しかし自社のDX推進において、どれくらい定着したか判断できない方は多いのではないでしょうか。DXは結果が出るまでに時間がかかるプロジェクトであり、継続的な改善が必要です。指標を活用して自社の進捗状況や課題が把握できれば、より効率的にDX化に取り組めるでしょう。
今回の記事では、DX推進指標のカテゴリや成熟度について詳しく解説します。活用するメリットや手順も紹介しますので、自社でDXを成功させたい方はぜひ参考にしてください。
DX推進指標は、2019年に経済産業省によって策定されました。2つのカテゴリに分けて評価を行うことで、自社の現状・課題を把握できます。ここでは、DX推進指標の定義とカテゴリを詳しく見ていきましょう。
DX推進指標とは、自社の現状を把握するのに役立つ基準です。策定された背景として、他の先進国に比べて日本企業のDX推進が遅れていることが挙げられます。ビジネスモデルや組織風土を変革するため、DXに対して多くの企業が抵抗を感じています。またDX推進に取り組んだものの、必要なアクションが分からず失敗に終わる企業も多いです。
これらの状況改善を目的に、DX推進指標が公開されました。自社のDX推進における進捗度が数値化・可視化され、現状把握や課題の洗い出しに役立ちます。課題が明確になれば、次に必要なアクションも分かるでしょう。途中で立ち止まるリスクが軽減するため、DX推進が成功しやすくなります。
DX推進指標は、経営・組織体制とITシステムの整備状況のカテゴリに分けられます。また、これらを定性指標・定量指標の視点で評価を行います。
このカテゴリでは、DX推進で求められる経営や組織体制が整っているかを評価します。経営・組織体制に関する指標は、以下2つに分類されます。
これらの指標は自社のDX推進における準備の進み具合や実行力を把握し、改善点を見つけるために有効です。
このカテゴリでは、DX推進で求められるIT環境が整っているかを評価します。ITシステムの構築以外に、システム・データ管理に必要な体制や情報セキュリティの確保なども対象となります。なお、ITに関する指標は以下の2つに分類されます。
これらの指標は、自社のITシステムにおけるDX推進への対応力を把握する際に有効です。
定性指標はレベル0〜5の成熟度で数値化できます。レベルによるDXの進捗状況は以下のとおりです。
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レベル0 | 何も着手していない |
---|---|
レベル1 | 企業戦略が不明確のなか、部門単位で試行・実施している |
レベル2 | 企業戦略に基づき、一部の部門で推進されている |
レベル3 | 企業戦略に基づき、複数の部門で横断的に推進されている |
レベル4 | 定量指標などを用いて改善・実施を継続的に行っている |
レベル5 | グローバル市場でもデジタル企業として勝ち抜ける |
レベル0が未着手、レベル5がグローバル市場でもデジタル企業として競争優位性を確保している状態です。DX推進指標の成熟度によって自社の現状を把握し、さらにレベルアップするための施策を検討しましょう。
ここでは、DX推進指標を活用する以下3つのメリットを解説します。
DX推進指標の活用によって共通認識が生まれ、進捗状況の客観的な把握が可能となります。また必要なアクションが分かるため、継続的にDX推進に取り組めるでしょう。
DXを推進するうえで重要なのは、組織全体で取り組むことです。DX推進指標では自社の現状・課題などが数値化・可視化されるため、従業員へ共有しやすくなります。経営陣は自社のDX推進レベルを的確に伝えられることから、従業員の理解が深まり共通認識が生まれます。また経営者と従業員のベクトルが統一され、効率的にDXを推進できるようになります。
自社のDX推進レベルが分からない状態では、課題を洗い出すことができません。問題が改善されないままだと、DX推進は失敗に終わるでしょう。DX推進指標で自己判断を行うと、進捗状況の客観的な把握が可能となります。また進捗状況の把握は、施策の立案にも役立ちます。
自社の現状を手軽に把握したい場合は、「Nにおまかせ!」の「デジタル化スタート診断」もおすすめです。10項目の質問に答えるだけで現状だけでなく、次のアクションも分かります。業務改善策を検討する際の材料にもなるため、自社のDX推進で悩みを抱えている方はぜひ診断してみましょう。
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DX推進指標は、自社の現状・課題を把握するための基準です。自己診断で実施できていない項目が、次に取るべきアクションとなります。DX推進は他社の事例も参考になりますが、必ずしも自社に適しているとは限りません。アクションを実行した後は効果を検証し、改善点がないか議論することが重要です。
自社の現状・課題を正確に評価するためには、適切な手順に沿って活用することが重要です。ここでは、DX推進指標を活用する4つの手順を解説します。
自己判断を行うだけで次のアクションにつなげないと、DX推進で失敗するリスクが高まります。
自己判断を行う前に、まずはIPA(独立行政法人情報処理推進機構)発行の「DX推進指標」とそのガイダンスを確認しましょう。指標の目的や使い方などが記載されており、あらかじめ理解しておく必要があります。DX推進は組織全体で取り組むため、経営者やIT部門を始め全社的に共通認識を持つことが大切です。
ガイダンスを精読したら、DX推進指標に基づいて自己判断を行いましょう。全部で35項目用意されており、経営者の回答が推奨されている質問もあります。また成熟度の判断には、基準が設けられています。根拠や証拠が少ない場合は、政府が定めている判断基準を参考にするのがおすすめです。
自己診断が終わったら、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)が用意しているフォーマットに記載します。診断結果をDX推進ポータルに送信すると、後日ベンチマークレポートを受け取ることが可能です。より正確な診断を求める場合は、フォーマット上の「根拠」や「エビデンス」の欄もしっかり記載しましょう。成熟度を記載する際は、根拠や判定理由をできる限り提示します。
ベンチマークレポートとは診断結果を分析し、全体データと比較できる資料です。ベンチマークレポートで自社と他社の差を把握し、次に必要なアクションを検討しましょう。差を埋める施策を策定することで、現状の課題解決につながります。
ベンチマークレポートの結果を踏まえて、今後のDX推進に関する議論を行いましょう。DXの方針や施策が具体的に策定できたら、経営陣はプロジェクトに必要なリソース配分と環境の整備を行います。
DXに関わる従業員は、できるだけ早く施策を実行に移しましょう。DXは結果が出るまでに時間がかかるプロジェクトです。迅速に行動することで、スピード感を持ってDXを推進できるようになります。
ここでは、DX推進指標を活用する以下4つのポイントを解説します。
DX推進指標はしっかりとポイントを押さえて運用することで、より大きな効果が期待できます。また企業によって経営状況や課題は異なるので、必要に応じて指標を調整しましょう。
ポジションによって回答が異なるので、診断結果を施策の立案に活用するのが難しくなります。そのためDX推進指標を用いた自己判断を行うときは、経営者のみ・一部の担当者のみで回答しないようにしましょう。
経営者やIT部門など、取り組みに関わる人全員で回答することが大切です。また、部門間の垣根を超えて議論・検討することで、DX推進に対して共通の認識を持てるようにもなります。
DX推進指標を用いた自己診断は、高いスコアを得ることが目的ではありません。自社の現状・課題を把握するための基準であり、目先の点数にこだわりすぎないことが大切です。DX推進指標は新たな環境への適応力に焦点を当てており、ビジネスモデルは評価しません。
各指標を改善すれば点数は上がりますが、本来の目的を見失ってしまう可能性が高いです。DX推進指標を活用する際は現状・課題の把握に加えて、次のアクションへつなげることを意識しましょう。
DX推進指標は、自社の現状・課題を明確にする際に役立ちます。しかし診断結果によって導き出した施策が適切かどうかは判断できないので、結果の評価と改善を繰り返す必要があります。PDCAサイクルを回すことで、より効果のある施策を立案できるようになるでしょう。問題点を放置することにより、途中でDX推進が止まって失敗するリスクも軽減されます。
DX推進指標の成熟度にはレベルがありますが、全ての企業が一番上を目指す必要はありません。コア事業やDXで成長させたい事業など、企業の経営状況に合った目標を設定することが大切です。定性指標の優先度を考えたり、社内リソースに合わせて目標の成熟度を下げたりしましょう。自社に合わせて指標を設定することで、従業員のDX推進に対するモチベーションも維持できます。
DX推進指標とは、自社の現状把握に必要な基準です。課題解決に必要なアクションも明確になり、途中で立ち止まるリスクが軽減されます。ただし正確な診断結果を出すためには、DX推進に関わっている人全員で回答することが重要です。一部の人だけだとポジションによって回答が異なるため、効果のある施策立案につながらない可能性があります。
より手軽に自社の現状を把握したい場合は、「Nにおまかせ!」の「デジタル化スタート診断」がおすすめです。10項目の質問に回答するだけで、現状把握と次に必要なアクションが分かります。業務改善策の検討にも役立つので、自社のDX推進を成功させたい方は一度診断してみましょう。
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監修
税理士法人V-Spiritsグループ代表 税理士・社労士・行政書士・FP
中野 裕哲
起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社労士、行政書士、CFP(R)。 税理士法人V-Spiritsグループ代表。年間約1000件の起業相談を無料で受託し、起業家や経営者をまるごと支援。経済産業省後援 起業経営支援サイト「DREAM GATE」で12年連続相談数日本一。 著書・監修書に『一日も早く起業したい人がやっておくべきこと・知っておくべきこと』(明日香出版社)など20冊、累計25万部超
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