会社設立の流れ!メリットやかかる費用、助成金・補助金を解説

公開日:2021.11.26

この記事で
わかること

  • 法人の種類と特徴
  • 法人化するメリット
  • 法人設立の流れと必要な手続き

目次

個人事業主として事業を行っている方や、独立して新たにサービスを始めようとしている方の中には、法人化を検討している方も多いのではないでしょうか。

本記事では、会社設立の流れや必要な手続きに加え、株式会社をはじめとする会社の種類や、法人化することのメリット、会社設立にかかる費用、活用できる助成金・補助金について解説します。

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会社設立の流れ・必要な手続き

会社を設立するには、法律に基づきさまざまな手続きを行う必要があります。スムーズに設立を進めるために、合同会社よりも手続きが多い株式会社の設立の流れを、以下に整理しました。

①会社概要・基本事項の決定

まずは、会社設立にあたり会社概要や基本事項を決定します。具体的には、社名や事業内容、本店所在地、資本金額などが挙げられます。なお、これらは後述する「定款に記載する内容」にも関わってくるため、並行して進めても問題ありません。

(1)社名(商号)

社名は会社の「顔」となる重要な要素であり、組織の印象を大きく左右します。そのため、安易に決めるのではなく、会社の理念や事業内容を反映した、覚えやすく印象に残る社名を考えましょう。また、同一又は類似の商号がすでに存在していないか事前に確認が必要です。国税庁の法人番号検索サイトなどで類似商号の検索ができます。

(2)会社の目的・事業内容

設立する会社がどのような事業を行うかを決めます。この内容は、融資を検討する金融機関や取引先にとっても重要な判断材料です。設立時に行う事業だけでなく、将来的に展開を予定している事業内容も盛り込むのが望ましいです。また、建設業や介護事業、宅建業など許認可が必要な業種は、必ず目的に入れておく必要があります。

(3)本店所在地

本店所在地は、法律上「会社の住所」に該当します。法人を設立したばかりの場合、自宅を本店所在地にすることも可能ですが、賃貸物件の場合は事前に貸主の確認や許可を取る必要があります。また、登記可能なバーチャルオフィスやレンタルオフィスを本店所在地として登録することも選択肢の一つです。さらに、許認可が必要な業種の場合には、営業所としての使用権限があり登記が可能かどうかも確認が必要です。

(4)役員報酬額

役員報酬とは、取締役や監査役などの役員に支払われる報酬を指します。要件を満たす役員報酬(定期同額給与、事前確定届出給与)は経費として計上することが可能です。役員報酬は、設立日から3ヶ月以内に決定する必要があります。会社の収益状況や社会保険料の負担、今後の融資計画などを考慮し、慎重に設定することが求められます。

(5)資本金額

資本金は、事業を開始するための資金となります。現在では会社法の改正により、資本金1円でも株式会社を設立することが可能です。ただし、資本金があまりに少額だと、信用に影響を及ぼす可能性があります。将来の融資や取引先からの印象を考慮し、適切な金額を設定することが重要です。また、資本金が1,000万円未満の会社は、消費税が最長で2年間免除されることも考慮しましょう。

(6)決算日

決算日は、会社の会計期間の締め日であり、自由に設定できます。月末以外の日でも構いませんが、会計処理を簡便にするため、月末を決算日とするケースが一般的です。なお、決算日は法人設立後も変更できます。

(7)印鑑作成

会社設立に際し、法人の実印を作成します。この実印は法務局で法人登記を行う際に必要ですが、オンラインで登記手続きを行う場合は押印が任意となっています。実印と併せて、銀行取引用の銀行印や社内文書で使用する角印も作成しておくと、後々の手続きがスムーズです。

②定款作成

定款とは、会社経営に関する基本的な規則やルールをまとめた文書です。株式会社を設立する際には、会社法により必ず定款を作成しなければなりません。定款には、事業目的や商号、本店所在地などの絶対的記載事項をはじめ、必要に応じて相対的記載事項や任意的記載事項を記載します。

(1)事業目的

会社概要・基本事項の決定時に考えた事業目的を定款に記載します。将来的に取り組む予定のある事業も記載可能です。ただし、一貫性のない事業を多数盛り込むと、金融機関や取引先に不安を与える可能性があるため注意が必要です。

(2)商号

会社の名称を記載します。印象に残るインパクトのある名前は有効ですが、公序良俗に反するものは認められません。また、著名企業の名前に似せた商号も、トラブルにつながる恐れがあるため避けましょう。

(3)本店所在地

会社の法律上の住所を記載します。本店所在地を変更する場合には、本店移転登記が必要で、登録免許税も発生します。余計な手続きや費用を避けるため、長期的に使用できる住所を選びましょう。

(4)設立に際して出資される財産の価額またはその最低額

資本金として出資する予定金額を記載します。この時点で確定させる必要はありませんが、株式登記申請時には確定させなくてはなりません。

(5)発起人の氏名または名称および住所

発起人とは、会社設立の手続きを行う人物です。複数の発起人がいる場合は、それぞれの氏名と住所を記載します。1人で発起人となることも可能です。通常、出資額や割り当てる株式数も併せて記載します。

(6)発行可能株式総数

発行可能株式総数とは、株式会社が発行できる株式の上限数です。形式上は相対的記載事項ですが、設立時に発起人全員の同意を得て定款に定める必要があるため、実質的に絶対的記載事項となります。

【よくある質問】電子定款はPDFで作成可能?

電子定款はPDF形式で作成できます。電子定款を作成するには、電子証明書付きのマイナンバーカード、電子署名ソフト、ICカードリーダーライター、電子署名用のプラグインソフトが必要です。

まず、パソコンで定款のデータを作成し、絶対的記載事項の漏れがないかを確認します。必要であれば、公証役場で内容を確認してもらいましょう。その後、PDF変換ソフトでデータをPDF化します。続いて、ICカードリーダーでマイナンバーカードの電子証明書を読み取り、PDFに電子署名を付与します。作成が完了したら、法務省のサイトから速やかに認証手続きを行いましょう。

電子定款のメリットは、紙の定款にかかる4万円の印紙代が不要で、費用を抑えられる点です。また、公証役場での認証もオンラインで行えるため、手続きがスムーズです。一方で、電子署名の準備に初期コストがかかる点や、申請後に内容を修正・変更できない点はデメリットです。

③定款認証

定款認証とは、定款の内容が適法であることを公的に証明するための手続きです。公証役場にて、法務大臣が任命した公証人によって認証が行われます。株式会社を設立する際は、この定款認証を必ず受けなければなりません。一方で、合資会社・合名会社・合同会社を設立する場合は、定款認証は不要です。

④資本金の払込み

発起人が指定した銀行口座へ、あらかじめ定めた資本金を払い込む手続きです。資本金の額がすでに確定していれば、定款作成前に払い込むことも可能です。

発起人が1人の場合、自分名義の新たな口座に資本金を振り込む必要があります。複数の発起人や出資者がいる場合は、代表者など1人の口座にまとめて振り込みます。会社の法人口座が開設された後は、その個人口座から法人名義へ資金を移し替えましょう。

⑤登記書類作成

会社設立の際は、法務局へ提出するさまざまな登記書類を準備する必要があります。株式会社設立登記に必要な主な書類は以下の通りです。

  • 登記申請書
  • 登録免許税の収入印紙貼付台紙
  • 定款
  • 取締役の就任承諾書
  • 資本金の払込みを証明する書面
  • 印鑑届書
  • 印鑑証明書

なお、登記内容や会社の状況によって必要書類が異なる場合があります。法務局には登記相談窓口が設けられているため、不明点があれば事前に相談するのがおすすめです。また、司法書士など登記手続きの専門家に依頼するのも安心です。

⑥登記申請

資本金の払込みが完了したら、2週間以内に本店所在地を管轄する法務局で登記申請を行います。申請手続きは、法務局の窓口で直接行うほか、郵送やオンラインでの申請も可能です。 

なお、申請書類に不備があると受理されないため、記載内容の誤りや記入漏れ、収入印紙の貼り忘れなどには十分注意しましょう。必要書類が揃っているか、申請前に必ず確認してください。

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法人の種類

法人の形態には、株式会社、合同会社、合資会社、合名会社の四つがあります。法人の種類によって、最低出資者数や決算公告義務の有無、意思決定機関の違いがあり、それぞれ特徴やメリットも異なります。どの形態が合っているかを把握しておきましょう。

①株式会社

株式会社は、一般的にイメージされる「会社」として最もポピュラーで、社会的知名度や信用度が高いのが特徴です。株主から集めた資金で事業を運営する法人形態で、出資者である株主が所有者となり、株主総会で選任された経営者が事業運営を行います。

株式会社のメリットは、資金調達のしやすさにあります。株式を発行することで、多くの投資家から広く出資を募ることが可能です。また、社会的信用が高いため、取引先や顧客から信頼を得やすい点も大きな魅力です。ただし、紙の定款を用いた場合、設立費用が約23万円かかり、他の形態と比較して高額になる点はデメリットとなります。

②合同会社

合同会社は、出資者自らが経営にも携わる法人形態です。合同会社の主なメリットは、意思決定の迅速さと設立コストの低さです。株主総会を開く必要がないため、その都度柔軟に経営判断ができます。

また、定款認証が不要で、登録免許税も株式会社より約9万円安く設定されています。紙の定款を用いた場合、設立費用は約10万円と、比較的安価であり、個人でも設立しやすい法人形態です。

③合資会社

合資会社は、無限責任社員と有限責任社員で構成される法人です。無限責任社員は実際の事業運営を担い、有限責任社員は出資のみ行います。設立には、無限責任社員・有限責任社員がそれぞれ1名以上必要なため、最低2人の社員が必要です。

メリットとしては、株式会社に比べて設立手続きが簡単である点や、資本金が不要な点が挙げられます。また、決算公告義務がないことも特徴です。ただし、無限責任社員は会社の債務について無限に責任を負うため、リスクが高い点には注意が必要です。

④合名会社

合名会社は、すべての社員が無限責任社員で構成される法人です。社員全員が会社の債務について直接責任を負い、意思決定にも携わります。複数の個人事業主が集まって設立するイメージに近い法人です。

合名会社のメリットは、資本金が不要な点や、決算公告義務がない点です。また、利益の分配方法も自由に決められます。一方で、社員全員が無限責任を負うため、会社が倒産した場合には、社員が自らの財産で債務を弁済する必要があります。

【よくある質問】どの形態で設立すべきか?

株式会社・合同会社・合資会社・合名会社のどれが適切かは、一概には言えません。それぞれに特徴やメリット・デメリットがあり、設立目的や経営方針、出資者の人数や考え方によって適切な選択肢は異なります。

「設立手続きを簡単にしたい」「初期費用を抑えたい」「出資者自らが柔軟に経営判断を行いたい」という場合は、合同会社・合資会社・合名会社を検討するのがおすすめです。

一方、「株式を発行して広く出資を募りたい」「社会的信用度の高い会社にしたい」という場合は、株式会社が適しています。特に、将来的に事業規模を拡大したいと考えている場合は、株式会社が適切です。

会社設立のメリット

会社を設立することで、信頼性の向上や節税対策など、さまざまなメリットが得られます。個人事業主として開業している方が法人化を検討する際には、具体的にどのような違いがあるのかをしっかりと確認しておきましょう。

①信頼度の向上

一般的に、個人事業主よりも法人の方が社会的信用を得やすい傾向があります。顧客や取引先に安心感を与えられ、取引先の拡大や売上・利益の向上にもつながります。また銀行・金融商品取引業、人材関連業、医療といった特定の業種では、法人でなければ許認可を取得できないケースがあります。

②節税対策

会社設立のメリットとして、節税効果の高さが挙げられます。この節税効果を目的に、個人事業主から法人化するケースも多く見られます。

(1)経費申請

法人は、個人事業主に比べて経費として認められる範囲が広いという特徴があります。例えば、社宅制度を利用した場合の住宅費や福利厚生費などが挙げられます。また、要件を満たした役員報酬も経費として認められるため、節税効果が期待できます。

(2)赤字の繰越

法人は、赤字を最大10年間繰り越すことが可能です。一方、個人事業主の場合は3年間の繰越に制限されています。赤字の繰越期間が長いことで、翌年以降の利益と相殺しやすくなり、税負担の軽減につながります。

(3)消費税の免除

資本金1,000万円未満の法人であれば、設立後2年間は消費税の納税が免除されます。個人事業主として2年間免税期間を利用し、その後法人化することで、最大で4年間消費税の免除を受けられる点が魅力です。

(4)税率の変化

個人事業主の場合、所得が増えるほど税率が上がる累進課税制度が適用され、最大で45%の税率となります。一方で、法人は税率が最大でも23.2%に抑えられるため、法人の方が税制面で有利です。

③決算月を設定できる

個人事業主の事業年度は1月~12月と法律で定められていますが、法人は決算月を自由に決められます。繁忙期を避けて決算月を設定することで、本業に集中しながら余裕を持って決算業務を進められます。

④有限責任になる

株式会社と合同会社では有限責任である点も大きなメリットです。会社が負債を抱えて倒産した場合でも、株主や社員は出資額の範囲内で責任を負うだけで済みます。一方、個人事業主は無限責任であり、廃業しても個人の財産を使って債務を返済しなければならないリスクがあります。

ただし、有限責任となるのは株式会社や合同会社です。合資会社や合名会社は無限責任社員が存在するため注意が必要です。

⑤社会保険に加入できるようになる

法人は、1人社長の場合でも社会保険(健康保険・厚生年金保険)への加入が義務付けられます。また、従業員を1人でも雇用した場合、労働保険(雇用保険・労災保険)にも加入しなければなりません。従業員にとっては社会保険や労働保険が整備されることで、福利厚生が充実し、安心して働ける環境が整います。

なお、個人事業主の場合、条件を満たせば雇用する従業員は社会保険に加入できますが、事業主本人は自費で国民健康保険・国民年金に加入することになります。また、労働保険についても、事業主本人は対象外です。

会社設立にかかる費用

会社設立をスムーズに進めるために、必要な費用を事前に把握しておきましょう。会社設立時には、登記申請にかかる法定費用をはじめ、印鑑の作成費用や資本金など、さまざまな費用が発生します。

法定費用

会社設立にかかる法定費用とは、定款の作成や登記手続きに必要な費用を指します。定款を紙で作成する場合、収入印紙を貼付する必要があり、その費用は会社形態にかかわらず一律4万円です。ただし、電子定款であれば収入印紙は不要なため、費用を抑えたい場合は電子定款の利用を検討しましょう。

また、株式会社の場合、作成した定款を公証役場で認証してもらうために、認証手数料として1.5~5万円が必要です。さらに、定款の謄本手数料として約2,000円がかかります。

このほかにも、法人登記を行う際には、登録免許税の納付が必要です。株式会社の場合は、「15万円」または「資本金額×0.7%」のうち高いほうの金額を納付します。合同会社の場合は、「6万円」または「資本金額×0.7」%のうち高いほうの金額が必要です。合資会社・合名会社は「6万円」です。

印鑑・印鑑証明にかかる費用

会社設立時には、法人の印鑑を作成する必要があります。印鑑の費用は、素材やサイズ、購入先によって異なりますが、一般的には1万円以内で作成可能です。チタンや象牙、黒水牛など高級素材を選んだ場合は、1万円を超える場合もあります。

印鑑を作成したら、「印鑑届出書」を法務省に提出します。登録自体に費用はかかりませんが、印鑑証明書を取得する場合は、書面請求で1通当たり500円の費用がかかります。

資本金

会社設立時に必要な資本金は、会社形態を問わず「1円以上」と定められています。かつては、株式会社設立時に1,000万円以上の最低資本金が必要でしたが、2006年の会社法改正により、最低資本金制度は撤廃され、現在では1円からの設立が可能です。

そのため、設立時に無理をして多額の資本金を用意する必要はありません。加えて、資本金1,000万円未満で法人を設立した場合、消費税の納付が設立後2年間免除されるメリットもあります。

ただし、資本金が極端に少ない場合は、金融機関からの融資審査で不利になる可能性があります。融資の際、金融機関は資本金の額を含む財務状況を厳しくチェックし、資本金が少ないと返済能力に不安があると見なされることがあるためです。

また、業種によっては、資本金の額が一定以上でなければ許認可を取得できない場合もありますし、資本金が少ないことで優秀な人材確保が難しくなるケースも考えられます。事業内容や将来の展望を踏まえ、適切な資本金を設定することが重要です。

会社設立時に使用できる助成金・補助金

助成金・補助金は、国や地方自治体が提供する制度です。助成金は、一定の要件を満たせば比較的受給しやすい傾向があります。一方で、補助金は採択件数や支給金額があらかじめ決められていることが多く、申請しても必ず受給できるとは限りません。

いずれの制度も上手に活用することで、コストを抑えることが可能です。以下に、開業時に利用できる主な助成金・補助金の一例を挙げます。

地域中小企業応援ファンド(スタート・アップ応援型)

設備投資や商品開発など、事業に必要なさまざまな経費が対象となる助成金制度です。支給額や申請方法は、各自治体により異なります。

小規模事業者持続化補助金

小規模事業者を対象とした国の補助金制度で、販路開拓にかかる費用の2/3、最大250万円までが補助されます。

キャリアアップ助成金

非正規雇用労働者の処遇改善や正規雇用への転換を促す助成金制度です。対象となる事業者は、非正規労働者の正社員への登用や、労働条件の改善を実施した場合に受給できます。

トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)

厚生労働省が運営する助成金制度で、一定の要件を満たす労働者を一定期間トライアル雇用した企業に対し、1人当たり月額4万円が支給されます。

会社設立における注意点

会社設立時の注意点の一つは、登記完了までに時間がかかることです。法人登記には多くの書類準備が必要で、手続きも煩雑です。通常、申請から登記完了まで2週間程度かかる場合が多いため、余裕を持ったスケジュールを立てましょう。

また、赤字でも納税義務が発生する点にも注意が必要です。個人事業主の場合、赤字で所得が一定基準を下回れば所得税や住民税の納税義務は発生しません。しかし法人は、赤字であっても法人住民税の均等割や消費税の納税義務があります。

さらに、会社解散時にもコストがかかることを覚えておきましょう。会社解散に際しては、「解散登記」「清算人選任登記」「清算結了登記」などの手続きが必要です。解散登記は3万円、清算人選任登記は9,000円、清算結了登記には2,000円がかかります。これらに加え、司法書士に登記手続きを依頼する場合は、その報酬が発生します。

会社設立後の手続き

会社設立が無事終わったら、会社の口座を開設しましょう。また、税務署などへの届け出や従業員環境の整備も行わねばなりません。

①会社の口座開設

法人設立後は、法人用の銀行口座を開設しましょう。必要書類として、登記簿謄本、定款、会社の実印、印鑑証明書、代表者の本人確認書類、そして運営実態が確認できる資料などが求められます。

特に登記簿謄本は、口座開設以外の場面でも必要になることが多いため、余裕を持って5通ほど取得・保管しておくのがおすすめです。登記簿謄本は、法務局で発行できます。

②税務署などへの届出

法人設立後、2ヶ月以内に法人設立届出書を税務署、都道府県税事務所、市区町村役場へ提出する必要があります。また、税務署には同時に青色申告承認申請書も提出しましょう。

③社会保険など従業員向けの環境整備

加入要件を満たす従業員を雇用する場合、社会保険(厚生年金保険・健康保険)や雇用保険の加入手続きが必要です。なお、労災保険については従業員を雇用する場合、従業員の雇用条件に関係なく強制加入となります。また代表者1人だけの会社であっても役員報酬を支払うのであれば社会保険の加入は必須となります。

年金事務所

厚生年金保険と健康保険の加入手続きは、法人設立後5日以内に年金事務所で行います。必要書類は以下の通りです。

  • 健康保険・厚生年金保険新規適用届
  • 法人登記簿謄本(履歴事項全部証明書)
  • 法人番号指定通知書のコピー
  • 健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届

未手続きのままだと、年金事務所から電話や書面での指導が入り、場合によっては立ち入り調査の対象となるため、速やかに手続きを進めましょう。

労働基準監督署

従業員を雇用した場合、労働基準監督署にて労災保険の加入手続きが必要です。提出書類と提出期限は以下の通りです。

  • 保険関係成立届:保険関係成立日の翌日から10日以内
  • 概算保険料申告書:保険関係成立日の翌日から50日以内

労災保険の保険関係成立届は雇用した翌日から10日以内に、概算保険料申告書は雇用した翌日から50日以内に提出しましょう。

ハローワーク

加入要件を満たす従業員を雇用した場合、労働基準監督署にて雇用保険の加入手続きが必要です。提出書類と提出期限は以下の通りです。

  • 保険関係成立届:保険関係成立日の翌日から10日以内
  • 雇用保険適用事業所設置届:設置日の翌日から10日以内
  • 雇用保険被保険者資格取得届:資格取得日の属する月の翌月10日まで

なお、一元適用事業の場合、労災保険と雇用保険の保険関係成立届は一本化され、労働基準監督署へ提出します

会社設立時に考えたいICT環境整備

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※文中に記載の組織名・所属・肩書き・取材内容などは、全て2024年1月時点(インタビュー時点)のものです。

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まとめ

会社設立には数多くの手続きや書類準備が求められます。スムーズに会社を設立するためにも、あらかじめ必要な手続きや書類の種類をしっかり把握しておきましょう。

また、会社形態には株式会社をはじめ、合同会社・合資会社・合名会社といった選択肢があり、それぞれにメリット・デメリットがあります。自社に適した形態を選ぶことが大切です。

さらに、会社設立は多くのメリットをもたらす一方で、登記完了までに一定の時間がかかる点や、会社解散時に費用が発生する点など、注意すべきポイントもあります。会社設立を検討する際は、こうしたメリット・デメリットを踏まえたうえで、今後の方向性を慎重に決めていきましょう。

開業をご検討されている方必見!

監修

税理士法人V-Spiritsグループ代表 税理士・社労士・行政書士・FP

中野 裕哲

起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社労士、行政書士、CFP(R)。 税理士法人V-Spiritsグループ代表。年間約1000件の起業相談を無料で受託し、起業家や経営者をまるごと支援。経済産業省後援 起業経営支援サイト「DREAM GATE」で12年連続相談数日本一。 著書・監修書に『一日も早く起業したい人がやっておくべきこと・知っておくべきこと』(明日香出版社)など20冊、累計25万部超

V-Spiritsグループ Webサイト
監修