ITシステム導入の5つのメリット|求められる3つの背景と2つの課題も解説

公開日:2024.06.17

ITシステム導入の5つのメリット|求められる3つの背景と2つの課題も解説

この記事で
わかること

  • ITシステムの分類と求められる背景
  • ITシステム導入のメリットと課題
  • ITシステム導入によりDX化を実現させるためのポイント

目次

DX推進や業務効率化を目的とし、多くの企業がITシステムの導入に力を入れています。しかし、自社に導入する際の判断材料が不足しているため、「本当にITシステムが必要なのか」「導入コストが気になる」という懸念を持つ方は少なくありません。

本記事では、ITシステムを2つに分類して解説し、それぞれの必要性に焦点を当てます。導入のメリットや直面しうる課題についても詳しく説明しますので、ITシステムの導入を検討している方は、是非この記事を参考にしてください。

1.ITシステム(情報システム)の2つの分類

ITシステム(情報システム)の2つの分類

ITシステムは、デジタル化された情報を管理するための仕組みです。このシステムは、情報システムとも称され、主に以下の2つに分類されます。

  • 基幹系システム
  • 情報系システム

ITシステムによって扱われる情報は多岐にわたりますが、特に契約情報や顧客情報が重要な要素となります。以下では、基幹系システムと情報系システムの定義と特徴を解説します。

基幹系システム

基幹系システムとは、企業の中核となる業務の情報を管理・運用するシステムです。代表的な例には、受発注システムや会計システムなどがあります。これらは「ヒト・モノ・カネ」を管理するシステムであり、事業活動の継続には不可欠です。

トラブルが発生しシステムの運用が中断されると、受注管理や料金計算などが行えなくなり、業務遂行が困難になります。これは経営にも大きな影響を及ぼすため、基幹系システムは常に安定して動作することが求められます。

情報系システム

情報系システムは、社内外のコミュニケーションおよび事務作業を効率化するために導入されるシステムです。このシステムは主要な業務を支援することを目的としており、メールソフトやオフィスソフトなどが典型的な例です。

基幹系システムとは異なり、情報系システムは業務に直接的に関与するものではありません。問題が発生した場合でも、他のシステムで代替が可能なことが多いです。

2.ITシステムの導入が求められる3つの背景

ITシステムの導入が求められる3つの背景

ここでは、ITシステム導入が求められる3つの主要な背景について説明します。

  • 少子高齢化に伴う労働人口の減少
  • グローバル化の進展
  • 多様な働き方への対応

効率性に乏しい業務プロセスを放置することは、社会の変化に迅速に対応できず、ビジネスチャンスの損失や優秀な人材の流出につながるリスクがあります。企業の持続的な成長と競争力の維持を実現するためには、ITシステムの積極的な導入が不可欠です。

少子高齢化に伴う労働人口の減少

日本では少子高齢化により、労働力人口が減少しています。さまざまな業界の企業が人手不足に直面する一因となっています。限られた人材で効率的に業務を遂行できるよう、ITシステムの導入が人手不足の問題を緩和する一助となるでしょう。

企業は、人材の確保に力を入れると同時に、多くの人材に依存しない運用体制を確立することがさらに重要となります。

グローバル化の進展

グローバル化の進展により、多くの企業が国境を越えて事業を展開しています。ITシステムを活用することで、地理的な制約に関係なく、リアルタイムでの情報共有やスムーズなコミュニケーションが実現可能です。

これにより、ビジネスチャンスの損失リスクが軽減されるほか、オンライン商談を通じて販路や市場の拡大が可能になります。その結果、売上の向上に寄与するケースが増えています。

多様な働き方への対応

ITシステムの導入は、多様な働き方を支援し、従業員のワークライフバランスの向上に貢献します。例えば、テレワークの実施は通勤に伴う身体的および精神的ストレスの軽減が期待できます。また、フレックスタイム制も柔軟に勤務時間を設定できるため、働きやすさが向上します。

このように多様な働き方への対応は、従業員の満足度とモチベーションの向上を促し、結果的に人材の定着率を高める効果があります。さらに、地方や海外在住の人材を積極的に採用することで、人手不足の問題も解決できる可能性があります。

3.ITシステムを導入する5つのメリット

ITシステムを導入する5つのメリット

ITシステム導入による以下の5つのメリットを解説します。

  • 業務効率化
  • データの管理・共有が容易になる
  • テレワークに対応できる
  • データドリブンな経営・事業戦略
  • DXの推進

ITシステムの導入は、業務効率化やテレワークのサポートに大きく貢献します。またデータの管理と共有が容易になることで、経営や事業戦略をデータに基づいて立案することが可能になります。

これらのメリットを十分に理解しておくことで、自社でITシステムを導入する際にその効果を最大限に引き出すことができます。

業務効率化

ITシステムの導入による自動化は、単純作業や反復作業を効率化し、人材を最適に活用することに寄与します。これにより、業務時間内に仕事を完了させやすくなり、従業員の残業時間の減少に繋がります。働きやすい環境の提供と同時に、人件費の削減にも効果的です。

特にデータ入力やメールの作成などの時間を要するノンコア業務をITシステムで自動化することにより、従業員がコア業務に集中できるようになります。これにより、生産性が向上します。

「Nにおまかせ!」では、企業の状況に合わせて業務効率化を実現するサービスを提供しています。業務効率化の必要性を感じているものの、具体的な解決策や適切なサービスをまだ見つけられていない場合は、ぜひ以下のフォームからご相談ください。

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データの管理・共有が容易になる

ITシステムの導入により、データの管理・共有が従来の手法よりも容易になります。システム上での一元管理によって、ユーザーはデータに簡単にアクセスし、編集できます。

アナログ方式の紙による情報管理は共有が困難で、紛失のリスクが伴いますが、ITシステムではこれらの問題を解決し、対面での情報共有の必要性を削減します。さらに、自宅や外出先からでもリアルタイムで更新可能です。

社内のデータ管理に課題を抱えている場合、具体的な解決策をお探しであれば、以下のフォームからご連絡ください。

社内のデータ管理・共有方法に課題を感じているものの、具体的な解決策や適切なサービスをまだ見つけられていない場合は、是非以下のフォームよりお問い合わせください。

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テレワークに対応できる

テレワークの実現には、外部から社内データにアクセス可能なシステムと、高度な情報セキュリティを備えたネットワーク環境が欠かせません。このため、テレワークを推進する企業はITシステムの整備が不可欠です。

テレワークは、従業員の働きやすさを向上させる働き方改革の一環で、通勤によるストレス軽減やパフォーマンスの向上が期待できます。企業にとっても、交通費の削減や事業の継続性保証などのメリットがあります。

さらに、テレワークの導入で完全在宅勤務が可能になれば、オフィススペースの削減が実現し、賃料や設備費用の大幅な削減に繋がります。

データドリブンな経営・事業戦略

ITシステムの導入により、企業はそのデータ管理プロセスを根本的に変革することができます。従来、多くの組織では情報が複数の紙ベースの文書に散在しており、必要なデータを集約するためには膨大な時間と労力が必要でした。これは、データの検索、分析、そして共有を困難にしていました。

しかし、ITシステムを活用することで、この問題を解決し、データ管理を一元化することが可能になります。一元管理されたデータは、瞬時にアクセス可能であり、分析やレポート作成の自動化が実現します。これにより、手動でのデータ収集や保管の手間が省けるだけでなく、データの整合性と精度も向上します。

このような効率化は、経営陣や事業戦略担当者にとって大きなメリットをもたらします。必要な情報がすぐに手に入ることで、より迅速かつ的確な意思決定が可能になり、市場の変化に素早く対応することができます。また、事業のリスクを把握しやすくなるため、より戦略的な計画が立てられるようになります。

DXの推進

DXの目的は、デジタル技術を活用して企業変革やビジネスモデルの再構築を促し、市場における競争力を高めることです。

このプロセスにおいて、ITシステムは不可欠な役割を果たします。それは、データのデジタル化、プロセスの自動化、顧客体験の提供など、新たな価値の創造を実現するための基盤となるからです。

企業がDXを成功させるためには、ただ単に最新のテクノロジーを導入するだけでは不十分です。それよりも、適切なITシステムの選択と導入が重要となります。

またDXを開始するにあたっては、大規模な変更を一度に行うのではなく、小規模かつリスクの低いプロジェクトから始めることが推奨されます。このアプローチにより、組織は徐々にデジタル化への移行を進めることができ、各段階で得られる学びを次のステップに活かすことができます。

4.ITシステムを導入する際の2つの課題

ITシステムを導入する際の2つの課題

ITシステムの導入は多くのメリットをもたらしますが、リソースの面でいくつかの問題があります。ここでは、導入時に直面する主な2つの問題について解説します。

  • IT人材が不足する
  • コストが発生する

これらの問題は容易に解決できるわけではありません。事前にこれらの問題に対する対策を練ることが求められます。

IT人材が不足する

ITシステム導入には専門知識を持つ人材が不可欠です。人材不足の状態での導入は、システム利用の効率を下げ、失敗のリスクを高めます。

この課題に対処する方法として、即戦力となる経験豊かなIT人材を中途採用するか、社内での長期的な人材育成を図るかが挙げられます。それぞれにメリットとデメリットがあるため、企業の状況に合わせて最適な選択をすることが重要です。

コストが発生する

ITシステムは、機能が増えるほど高いコストが発生し、準備から実使用まで長い時間を要してしまいます。自社にとって本当に必要な機能を見極め、機能を制限することで適切なコストに抑えることが大事です。

導入後の運用をスムーズにするためには、業務に合わせたマニュアルの準備と従業員への十分なトレーニングが不可欠です。これらを計画的に実行することで、導入コストと時間を活用し、ITシステムの利益を最大化することが可能です。計画的なアプローチは、効率的なシステム導入と運用の成功へと導きます。

5.ITシステムの導入でDX推進を成功させる3つのポイント

ITシステムの導入でDX推進を成功させる3つのポイント

ITシステムを導入するだけでは、DXを実現することはできません。DXを推進し成功に導くための重要な3つのポイントを説明します。

  • ビジョンを明確に設定する
  • ITガバナンスを実施する
  • 社内全体を巻き込んだ改革を行う

DXの成功には、明確なビジョンの設定と、ITガバナンスの実施が不可欠です。また、ビジネスモデルの再構築や企業変革を伴うため、組織全体がこのプロセスに参加し、協力することが極めて重要です。

ビジョンを明確に設定する

ビジョンは企業が目指す理想の姿であり、DXを通じて新たな価値を創造する上でコアとなる役割を果たします。

しかし、従業員にとって将来の企業像を具体的にイメージするのは難しいことがあります。そのため、DXの成功のためには、企業がどのような将来を目指しているのかを明確なビジョンとして共有することが重要です。ビジョンが不明確だと、従業員の協力が得られずに取り組みが失敗するリスクが高まります。

ビジョンを明確にし、従業員にDXの必要性を理解してもらい、経営陣と従業員の間の認識のズレを解消することで、プロジェクトは加速されます。従業員が自分の仕事が企業の長期的な成功にどう貢献しているかを理解することで、取り組みに対する意欲が高まります。

ITガバナンスを実施する

ITガバナンスは、自社のITシステムに対する投資、効果、およびリスクを最適化し、組織全体で一貫した管理と監督を行うための枠組みです。これは経営層の直接的な責任下で実行されるべきものであり、効率的なIT運用は企業価値の向上に寄与します。

ITガバナンスの効果を最大化するためには、以下の8つの重要な要素を検討し、適宜見直しを行う必要があります。

  • 戦略の方向性と情報システムの整合性
  • 組織体制の確認・改善
  • 業務内容の把握
  • コストの算出・費用対効果
  • 運用体系の構築
  • ルール遵守
  • リスク管理
  • システム調達方法の策定

上記の構成要素は、運用における自社の強み・弱みを分析する際に役立ちます。

社内全体を巻き込んだ改革を行う

DX推進の成功は、経営陣やIT部門だけではなく、社内全員の共同参加が不可欠です。単独での取り組みは、社内浸透の欠如により失敗するリスクが高まります。経営陣は、従業員がDXの必要性を深く理解し、積極的に参加するためのリーダーシップを発揮する必要があります。

DXの目的と重要性が明確でなければ、従業員の協力を得ることは困難です。また、DXは短期間で成果を示すものではなく、効果を最大化するためには中長期的な視野での計画的な取り組みが求められます。

6.ITシステムの導入はDXを実現させる手段

ITシステムの導入はDXを実現させる手段

日本では労働人口の減少とグローバル化の進展に伴い、ITシステムの必要性が高まっています。ITシステムを導入することで、業務効率の向上やDX推進の実現が可能です。ただし、ITシステム導入はDX推進の一環に過ぎず、成功には明確なビジョンと適切な体制構築が不可欠です。

DXの取り組みに先立ち、企業はまず自己の現状を正確に把握する必要があります。

「Nにおまかせ!」の「デジタル化スタート診断」 を利用することで、ビジョン戦略、推進体制、IT基盤/ガバナンスの3つの領域にわたる現状分析と次のアクションが明確になります。

既に現状分析が完了しており、DXを積極的に推進したい場合は、デジタル化に関するお問い合わせからご連絡をください。

また、自社の課題を解決するデジタルを活用したサービスを見つけたい場合は、「デジタル化コンディション診断」が適しているでしょう。

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監修

税理士法人V-Spiritsグループ代表 税理士・社労士・行政書士・FP

中野 裕哲

起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社労士、行政書士、CFP(R)。 税理士法人V-Spiritsグループ代表。年間約1000件の起業相談を無料で受託し、起業家や経営者をまるごと支援。経済産業省後援 起業経営支援サイト「DREAM GATE」で12年連続相談数日本一。 著書・監修書に『一日も早く起業したい人がやっておくべきこと・知っておくべきこと』(明日香出版社)など20冊、累計25万部超

V-Spiritsグループ Webサイト
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