公開日:2025.11.05

この記事で
わかること
目次
開業をご検討されている方必見!
美容院の開業時における光回線や電話、通信関連のさまざまな疑問が解消
資料をダウンロードする(無料)美容院を開業するまでには、やるべきことが多くあります。対応の漏れがないように、まずは全体の流れを確認しておきましょう。
美容院を開業するにあたって、最初に取り組むべきなのは運営の軸となるコンセプトの設定です。提供するサービスや想定する顧客像を具体的に描き、方向性を明確にしておく必要があります。
たとえば、地域密着型のファミリー層を対象とするか、高価格帯のプライベート空間を重視するかによって、事業計画や資金計画の内容も変わります。店舗のコンセプトは開業全体の土台となるため、丁寧に検討しましょう。
コンセプトが決定した後は、それをもとに事業計画を作成します。事業内容や提供するサービス、ターゲット層、価格設定に加え、収益のシミュレーションや今後の成長戦略も盛り込みましょう。
また、開業資金の見積もりや資金調達の計画もこの段階で明確にしておくと、金融機関への融資申請や家族・出資者への説明がスムーズに進みます。
コンセプトや事業計画をもとに、目的や条件に合った立地や物件を探します。希望するエリアで条件に合う物件がすぐに見つかるとは限らないため、複数の候補地を挙げておき、早めに調査を始めることが大切です。周辺の競合状況や交通アクセス、駐車場の有無なども考慮し、顧客が通いやすい立地を選ぶことが成功のポイントとなります。
開業に必要な資金が自己資金だけでは足りない場合は、資金調達が必要です。資金調達にはいくつか方法があり、金融機関から融資を受けることも選択肢の一つです。事業計画書を綿密に作成しておけば、融資の審査でも説得力を持たせられるでしょう。資金調達の詳細については、「美容院の開業資金の調達方法」の章で詳しく解説します。
物件の決定後、内装工事に着手します。コンセプトに合った空間づくりをめざすとともに、保健所や消防署が定める基準に適合した構造であることも確認しましょう。たとえば、シャンプー台の設置場所や動線、換気設備の有無などが基準として定められています。
工期は物件の状態や工事の規模によって異なるため、余裕を持った計画を立てることが大切です。
スタッフを雇う場合は、オープン日が決まってから採用活動を始めるのが理想です。技術力や接客スキルは売上に直結するため、余裕を持ったスケジュールで慎重に人選しましょう。
採用後は、開業前にコンセプトの共有や接客マナー、ロールプレイ※1などの研修を行うために、十分な教育期間を確保することが重要です。
※1ロールプレイ:ある状況や役割を想定し、それを実際に演じることで、スキルや知識を習得する学習方法。美容院の場合は、美容師がお客さま役と美容師役に分かれて、実際の接客場面を想定して練習する。
美容院を開業するには、税務署への開業届の提出が必要です。また、保健所への美容室開設届の提出や、消防署による防火設備の検査なども行わなければなりません。スタッフを雇用する場合は、労働保険などの手続きも忘れずに行いましょう。
また、顧客トラブルに備えて賠償保険への加入も検討しておくと安心です。必要な届出については、次章で詳しく解説します。
美容院の開業後、運営を成功させるためには、オープン前から地道に集客活動を始めておくことが大切です。InstagramやX(旧Twitter)などのSNS活用、美容専門のポータルサイトへの登録、チラシ配りなど、複数の集客方法を組み合わせて、さまざまな客層にアプローチしましょう。
具体的な集客方法やアイデアについては、以下の記事も参考にしてください。
美容院を開業するには、いくつかの資格が必要です。ここでは、美容院の開業に関する2つの資格について説明します。
自分で美容サービスを提供する場合は、美容師免許が必須です。美容師免許は、国家試験に合格し、美容師名簿に登録されることで取得できます。なお、美容院の経営者が自ら施術を行わず、スタッフに任せる場合は、美容師免許がなくても開業できます。しかし、将来的に自分で施術を行う可能性がある場合は、あらかじめ取得しておくと安心です。
管理美容師は、美容院の衛生管理を担当する責任者です。美容師法により、常時2人以上の美容師が働く美容院では、管理美容師の配置が義務付けられています。
開業時は1人だけで始める場合でも、今後スタッフを増やす予定がある場合は、開業前に管理美容師免許を取得しておくとスムーズです。管理美容師になるには、一定期間の実務経験を積み、所定の講習を受ける必要があります。

美容院を開業するには、さまざまな行政手続きや届出が必要です。手続きに漏れがあると開業できなくなることもあるため、事前にスケジュールを立てて準備しましょう。この章では標準的なものを紹介します。
美容院を営業するには、開業前に「美容所開設届」を管轄の保健所に提出しなければなりません。
提出時には、開設検査手数料の支払いのほか、施設の平面図や従業員名簿などの書類も必要です。その後、保健所と検査日を調整し、現地が基準に適合しているかどうかの確認を受けます。
美容院の開設には、床面積の広さや床材、照明、衛生管理など細かい基準があるため、事前に管轄の保健所で確認しておくと安心です。
消防署にも必要な書類を提出し、消防検査を受ける必要があります。主な必要書類は以下です。
検査では、火災報知器や消火器などの設置状況に加え、避難設備が基準に適合しているかどうかが確認されます。消防法に基づく基準をクリアしないと営業を始められないため、開業スケジュールに余裕を持って準備しましょう。
スタッフを雇う場合は、労働保険に関する手続きも必要です。主な手続き先と内容は次の3つです。
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| 管轄の組織 | 必要な手続き |
|---|---|
| 年金事務所 | 健康保険・厚生年金保険の加入 |
| ハローワーク | 雇用保険の加入 |
| 労働基準監督署(またはハローワーク) | 労災保険の加入 |
これらの手続きは、開業準備と並行して進める必要があります。事前に相談窓口や申請のタイミングを確認しておくことが大切です。
開業後1ヶ月以内に、税務署へ「個人事業の開業届出書(開業届)」を提出しなければなりません。また、「青色申告承認申請書」も同時に提出すると、確定申告の際に最大65万円の特別控除を受けられます。青色申告で65万円の控除を受けるためには、次の6つの要件を満たす必要があります。
青色申告は節税効果が高いため、開業届とあわせて早めに準備を始めることをおすすめします。
美容院を開業する際に必要とされる資金は、一般的に1,000~1,500万円程度といわれています。ただし、実際に必要な金額は、店舗の広さや立地、物件の状態によって大きく変わります。
ここでは主な費用の内訳について説明しますが、この金額はあくまで目安と考え、自分の計画に合わせて具体的に見積ることが大切です。
物件取得費とは、敷金・礼金・保証金・仲介手数料、さらに前払いの家賃などが含まれた初期費用のことです。目安としては、月額家賃の6~12ヶ月分を準備しておくと安心です。たとえば、月額家賃が20万円の場合、初期費用だけで120~240万円ほど必要になります。
美容院の内装費用には、最低でも数百万円の費用がかかります。一般的な相場は500万円前後ですが、スケルトン物件(内装がない状態の物件)を一から仕上げる場合と、美容室の居抜き物件(前の店舗の設備が残っている物件)を利用する場合とでは、費用に大きな差が出ます。
内装にこだわりすぎると予算を超えてしまうこともあるため、優先順位を整理し、長期的な視点で計画的に進めることが大切です。
美容院を運営するには、シャンプー台や施術用の椅子、鏡、レジカウンター、パーマ機器、洗濯機、エアコンなど、さまざまな什器や備品、機材などの設備代が必要です。
これらをすべてそろえると、200~300万円程度の費用がかかるとされています。ただし最近では、一部の備品をリースで用意する方法もあり、初期費用を抑えたい場合に有効な選択肢となります。
美容院を開業してすぐに安定した売上が得られるとは限りません。そのため、家賃や光熱費、人件費、仕入れ費用、通信費などの毎月かかる費用(ランニングコスト)をまかなうための運転資金を準備しておくことも必要です。万が一のトラブルや予想外の出費に備えるためにも、最低3ヶ月分の運転資金を確保しておくと安心です。
先述の通り、美容院を開業するには、約1,000~1,500万円程度の資金が必要とされています。しかし、この金額をすべて自己資金で用意するのは難しい場合もあるため、外部から資金を調達する方法も検討しましょう。ここでは、美容院開業時に利用できる主な資金調達方法を紹介します。
日本政策金融公庫は、政府が株式を100%保有する政策金融機関です。民間の金融機関に比べて、開業を支援する制度が整っており、美容院の新規開業者でも相談しやすいのが特徴です。
要件を満たすことで無担保・無保証人で融資を受けられる場合もあり、固定の低金利で長期間の返済ができる点も魅力があります。初めて融資を受ける人向けの説明会や相談窓口があるため、事前に確認しておくと安心です。
都市銀行や地方銀行、信用金庫などの民間金融機関から融資を受ける方法もあります。日本政策金融公庫と比べると審査がやや厳しい傾向にありますが、条件によっては柔軟な対応が期待できます。融資を受けるには、具体的な事業計画書の提出が求められることが多いため、説得力のある計画を作成しておくことが大切です。
2025年7月現在、美容院の開業に特化した補助金や助成金はありません。しかし、事業支援を目的とした補助金や助成金を活用することは可能です。
たとえば、「小規模事業者持続化補助金※2」があります。これは、小規模事業者を対象に、販路開拓などに取り組む際の経費の一部を支援する制度です。
具体的には、機械装置等費や広報費、ウェブサイト関連費、展示会等出展費などが補助の対象となります。そのため、美容院の開業でも条件によっては補助金を利用できる可能性があるでしょう。
ただし、注意点もあります。小規模事業者持続化補助金は、開業前の方は申請できません。また、補助金が振り込まれるのは、基本的に補助事業がすべて終了した後です。そのため、一旦自分で費用を立て替えて支払う必要があることを理解しておきましょう。
※2 小規模事業者持続化補助金の最新の情報は、中小企業庁の「小規模事業者持続化補助金について」ページをご確認ください

美容院の開業準備はやることが多く、手一杯になりがちです。しかし、本当に大切なのは開業した後の運営です。実際、美容院の倒産は2024年度に過去最多を記録しており、経営の難しさがうかがえます。
そこで、この章では美容院の開業で失敗しないための準備のポイントを紹介します。
まず、リサーチには時間をかけて徹底的に取り組みましょう。美容室の開業で失敗する主な理由の一つが、リサーチ不足です。たとえば、エリアや物件選びの際に「おしゃれ」「有名」といった主観的な印象だけで決めてしまうケースが見られます。
しかし、失敗を防ぐためには「商圏内にターゲットとなる層は何%いるか」「競合店の価格はいくらか」など、客観的で定量的なデータをもとに多角的な調査を行うことが重要です。
次に、効率的な美容院運営を意識して準備を進めることも大切です。準備段階では見落としがちですが、開業後にスムーズな運営を実現するには、快適なネットワーク環境の構築やICT(情報通信技術)の活用が欠かせません。
ネットワーク環境が整っていないと、電話やオンラインでの予約に支障が出たり、情報管理がうまくできなかったりする可能性があります。また、キャッシュレス決済サービスやクラウド型カメラの導入など、ICTを積極的に活用することも、円滑な運営のために役立ちます。開業後の運営まで見据えた準備こそが、成功への鍵となるでしょう。
さらに、自分だけで開業準備を進めないこともポイントです。一人で準備を進めると、どうしても視野が狭くなりがちです。開業後の運営まで見据えて準備を進めるには、知識や経験が豊富なプロの視点を取り入れることをおすすめします。多くの開業をサポートしてきたプロに相談することで、開業後に起こり得る課題にも事前に備えることができます。
美容院の開業準備は「Nにおまかせ!」にご相談ください。「Nにおまかせ!」では、事業に必要なネットワーク環境の構築など、美容院開業に必要な準備をトータルでサポートしています。また、美容院などの店舗経営で重要な集客支援や防犯対策など、お客さまの課題やニーズに合わせて柔軟にソリューションを提案します。
実際に、開業準備時の各社とのやりとりやご利用環境の整備などをすべて「Nにおまかせ!」に任せたことで、約500万円のコスト軽減を実現した事例もあります。
開業に関して不安や悩みがある方は、まずはお気軽にご相談ください。
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美容院の開業には、コンセプト設定から事業計画、物件選定、資金調達、内装工事、採用、各種届出に至るまで、段階ごとに綿密な準備が求められます。さらに、開業後の安定経営を見据えて、ICTの導入や運営効率の確保も大切です。これらすべてを一人で進めるには負担が大きく、見落としやすいポイントも多いため、専門家のサポートを受けることが成功への近道です。
「Nにおまかせ!」では、美容院の開業準備からICT環境の整備、集客までトータルで支援しています。まずはお気軽にご相談ください。また、開業時の参考になる資料もご用意しているため、ぜひ参考にしてください。
開業をご検討されている方必見!
※「Instagram」は、Meta Platforms, Inc.の商標または登録商標です。
※「X(旧Twitter)」は、X Corp.の商標または登録商標です。
監修
税理士法人V-Spiritsグループ代表 税理士・社労士・行政書士・FP
中野 裕哲
起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社労士、行政書士、CFP(R)。 税理士法人V-Spiritsグループ代表。年間約1000件の起業相談を無料で受託し、起業家や経営者をまるごと支援。経済産業省後援 起業経営支援サイト「DREAM GATE」で12年連続相談数日本一。 著書・監修書に『一日も早く起業したい人がやっておくべきこと・知っておくべきこと』(明日香出版社)など20冊、累計25万部超。
V-Spiritsグループ Webサイト