公開日:2025.11.05

この記事で
わかること
目次
クリニックを開業するには、多種多様な準備が必要です。たとえば事業計画の策定、開業場所の選定、資金調達、集患方法の検討と実施などがあり、多くの時間やコストが必要となります。
開業したいもののやり方が分からないという方にとって、上記の課題を全てクリアにするのはハードルが高いかもしれません。開業までの流れや失敗しないためのポイントを押さえ、粛々と準備を進めることが重要です。
本記事では、クリニック開業までの流れとスケジュール、準備のポイント、必要な資金の目安などを網羅的に紹介します。クリニック開業を成功させるために利用を検討したいサービスも紹介するため、ぜひ参考にして後悔のないクリニック開業をめざしてください。
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資料をダウンロードする(無料)はじめに、クリニック開業までの流れとスケジュールを説明します。開業までに準備することは多岐に渡るため、漏れなく、スムーズに行えるよう事前にしっかり確認しておきましょう。

まずはコンセプトの設定と事業計画の策定です。どのような医療を提供するのか、どのようなクリニックにしたいのかといった基盤を整える段階です。これらを洗い出して、開業するクリニックのコンセプトを設定し、事業計画に落とし込みましょう。
事業計画を策定する際は、必要な資金の試算や収支の想定、キャッシュフロー表など、具体的な数字を決めることが重要です。お金の流れをこの段階で明文化しておくことにより、今後銀行から借入をする際などに役立ちます。
次に、クリニックのコンセプトや資金の試算をもとに、目的や条件にあった開業地の選定を行いましょう。
開業地選定の際には、立地調査・診療圏調査を入念に行う必要があります。パソコンやスマートフォンで調べたり、データで確認したりすることはもちろん、実際に足を運んで自分の目で見ることも大切です。
その土地の空気感や住んでいる人々の年齢層・性別などを観察し、ターゲットとする層が多くいるかどうかを確認しましょう。
事業計画をもとに、必要な資金の調達方法を検討しましょう。資金調達の方法としては、銀行から融資を受けるほか、日本政策金融公庫や独立行政法人福祉医療機構からの借入が考えられます。
場合によっては個人投資家から融資を受けられることもありますが、事業計画書の提出や口頭での説明が求められるため、必要書類やプレゼントークを準備しておきましょう。
資金の調達目処が立ち次第、医院の設計・内装と医療機器の選定を行います。クリニックは一般的な事務所とは違い、給排水やレントゲンのシールド設置、スタッフと患者の動線作りなどを考慮して設計する必要があります。
また、医療機器の導入は診療科によっては多額の費用がかかることもあるため、慎重に行ってください。
初期費用を抑えるためにリースを利用したり、中古機器を利用したりするのも一つの手段です。ただしリースを活用する場合、リースの審査に2~3週間程度かかることがあるため注意が必要です。
開業時には、各種申請や届出の提出が必要です。消防署や保健所・厚生局に事前相談し、スケジュール通りに手続きが進むよう調整を行います。必要な申請・届出については後半で解説します。
また、医師や看護師などのスタッフを採用する場合は、面談や研修、社会保険の手続きなども行っておきましょう。
クリニック開業後に安定したクリニック運営が行えるよう、集患の準備をしておくことが大切です。具体的には、ホームページ制作やSEO対策、SNS運用、ポスティングなどさまざまな手段があります。
Webには詳しくないといった場合でも、オンラインとオフライン両方の施策を試すことがおすすめです。最近では初心者でも分かりやすいツールやナレッジが豊富にあるため、自身のクリニックに合う方法を模索しながら集患を行いましょう。
どうしても難しい場合や人手が限られている場合は、プロの手を借りることも検討してみてください。
クリニック開業にかかる資金は、開業の方法によって異なります。主なパターンとして、自宅を利用する方法、賃貸物件を利用する方法、専用の物件を取得する方法が考えられます。
それぞれの開業資金の目安は以下のとおりです。
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| 開業パターン | 開業にかかる費用の目安 |
|---|---|
| 自宅を利用 | ~1千万円程度 |
| 賃貸物件を利用 | ~数千万円以上 |
| 専用の物件を取得 | 1億円以上~ |
自宅を利用して開業する場合、必要な資金は改装費用と設備費用のみになるため、ほかの方法よりも費用を抑えて開業できる傾向にあります。
賃貸物件の場合は、初期費用として家賃の6~12ヶ月程度の費用が必要です。これには礼金や仲介手数料、保証金が含まれ、そのほかに内装費用や設備費用も必要になってきます。
土地と建物を新たに取得して開業する場合は、ほかの方法よりも高額な費用がかかるのが特徴です。立地や規模によりかかる資金に差があるものの、1億円を超えるケースもあるため、予算と相談しながら検討しましょう。
開業資金の調達方法や活用できる補助金については、以下の記事で詳しく解説しています。
クリニック開業の準備をスムーズに行い、開業後も円滑にクリニック運営するためにはいくつか押さえておきたいポイントがあります。
ここでは特に注意したいものをピックアップして紹介します。
クリニック開業に必要な申請書・届出は数が多いため、提出忘れがないように注意しましょう。必要な書類は主に以下です。
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| 提出機関 | 必要な申請書・届出 |
|---|---|
| 保健所 |
|
| 厚生局 |
|
| 福祉事務所 |
|
| 税務署 |
|
| 都道府県税事務局 |
|
| 労働基準監督署 |
|
| 都道府県労働局 |
|
| 地区医師会 |
|
| 公共職業安定所 |
|
ただし、クリニックの形態によって提出しなければならない書類は異なり、すべて必要なわけではありません。従業員数や診療科目などによって提出するものが異なるため、事前に問い合わせなどを行って確認しましょう。
スケジュール通りの開業をめざすのであれば、どの書類が必要になるかを事前に確認し、過不足なく対応することが大切です。
診療圏の調査は重要です。なぜなら開業後に安定した集患が見込めるかどうかは、開業地の立地が大きく影響するためです。
定量的なデータを見て調査・分析を行うことはもちろん、実際に足を運び、交通機関や人の流れなどを目で見て確認するようにしましょう。実際に行ってみなければ分からないことも多くあります。
開業準備は、クリニックをオープンするまでの段階で終わりと思われがちですが、開業後のスムーズなクリニック運営を考えることも忘れてはいけません。
そのために、まずは快適なネットワーク環境を構築・整備しましょう。ネットワーク環境が整っていないと、オンライン予約などのシステムの安定稼働に影響を及ぼしたり、適切に情報管理できなかったりする可能性があります。
また、積極的にICT活用することも、円滑な運営のためには大切です。たとえばクラウド型カメラを導入したり、オンライン診療を導入したりなどが挙げられます。ICTの活用により、作業効率を高められるだけでなく、より多くの人に医療を提供できるなどのメリットもあります。

クリニックを開業するまでにやらなければならないこと・考えなければいけないことはたくさんあり、不明点も多いのではないでしょうか。
ここでは、クリニック開業についてよくある疑問と回答を紹介します。
自己資金は、運転資金を含めて開業資金の総額の3割程度の自己資金を持っておくことが望ましいといわれています。ただし、自己資金が少ないからといって開業できないわけではありません。
運営が上手くいかなかった際のリスクヘッジがある程度できることを、見据えて用意しておくことが理想です。
開業準備期間中に使用した費用については、開業に関係する費用であれば経費になる可能性が高いと考えられます。医院開業後、準備期間中に使った費用を経費として申告できるため、開業を決めた時点から領収書やレシートをとっておくようにしてください。
クリニックを宣伝するために、なるべく早い段階で宣伝を打ちたくなるかもしれませんが、医療機関の宣伝については医療法で規制があるため注意が必要です。
広告可能な媒体は限られますが、新聞折り込みチラシやポスティングチラシ、電柱広告、駅の看板広告、ホームページなどで宣伝できます。
先述の通り、クリニックの開業には準備することが数多くあり、自分たちだけで行うにはかなりの時間と労力を要します。開業準備を効率的に進めるためには、プロにサポートを依頼することがおすすめです。
「Nにおまかせ!」では、資金を調達するための事業計画書の作成やネットワーク環境の構築、ICT化など、クリニック開業に必要な準備をトータルでサポートします。開業の準備にかかる各社との煩雑な対応やネットワーク環境の構築などをすべて「Nにおまかせ!」に依頼することで、約500万円のコスト軽減を実現した事例もあります。
「開業にかかるコストを減らしたい」「開業準備について不安がある」などの悩みを抱えている方は、一度お気軽にご相談ください。
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詳しくはこちらクリニック開業にあたっては、コンセプトの設計や集患方法の検討・実施、必要書類の提出など、さまざまな準備が必要です。すぐにでも開業したい、という気持ちが強くなるかもしれませんが、効果的にクリニックを運営するためには、漏れなく手続きを行い、地盤固めをしましょう。
また、クリニック開業準備の段階で、顧客管理や会計管理などがストレスなく行える快適なICT環境を整えておくことも大切です。「Nにおまかせ!」では、開業後に円滑に業務を行うためのICT化のサポートや、快適なインターネット接続環境をご提供します。まずは、以下のページからぜひお気軽にお問い合わせください。
監修
税理士法人V-Spiritsグループ代表 税理士・社労士・行政書士・FP
中野 裕哲
起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社労士、行政書士、CFP(R)。 税理士法人V-Spiritsグループ代表。年間約1000件の起業相談を無料で受託し、起業家や経営者をまるごと支援。経済産業省後援 起業経営支援サイト「DREAM GATE」で12年連続相談数日本一。 著書・監修書に『一日も早く起業したい人がやっておくべきこと・知っておくべきこと』(明日香出版社)など20冊、累計25万部超。
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