公開日:2024.06.17
この記事で
わかること
目次
「企業の経営を安全で効率的に継続していくために、現在の自社の収益性を把握したい」「収益性を上げるために何に取り組めば良いかわからない」という方も多いのではないでしょうか。
収益性は、企業の利益を獲得する能力を表す指標です。収益性が高いほど、効率的に利益を上げていると言えます。現在の自社の収益性を適切に分析することで、実数値に基づいた具体的な経営戦略を策定することが可能になります。
そこで今回の記事では、収益性分析の概要や指標に加えて収益性を向上させるべき理由を解説します。自社の経営状況を把握するために収益性を分析したいとお考えの方は、ぜひ参考にしてください。
収益性分析とは、企業がどれだけ効率的に利益を出しているかを調べる財務分析の一つです。財務分析には、他にも「安全性・生産性・成長性」の分析方法があります。
「どれだけ企業が効率的に利益を出せているか」を表す収益性は、事業の継続性を考える上で不可欠な指標です。この章で、企業の利益を生み出す力がわかる収益性分析について理解を深めましょう。
収益性分析は、収益に関わるさまざまな指標を比較分析することで「企業がどれだけ効率的に収益を上げられているか」を見る方法です。そのため、収益性とは会社の稼ぐ力や儲ける力と言えます。収益性分析は、対売上高から見る「取引収益性」と対資本から見る「資本収益性」の2つがあります。
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種類 | 内容 |
---|---|
取引収益性(対売上高) | 「売上と利益」「売上と費用」がどのように関連しているか把握する |
資本収益性(対資本) | 「総資本と利益」「自己資本と利益」がどのように関連しているか把握する |
収益性分析では「経営や事業戦略がうまくいっているか」「経営の実態はどうなっているか」を把握することができます。そのため、それぞれの指標の特徴を理解し、企業経営に活かすことをお勧めします。
収益性の向上は、経営改善や事業規模の拡大に欠かせない要素です。収益性を向上させることで持続的な成長も可能になるため、収益性分析や分析をもとにした施策は企業の経営にとって重要と言えます。また「企業がどれくらい効率よく稼ぐ力があるか」は、経営者や利害関係者にとって重要なテーマです。
一般的に収益性が高いほど金融機関や投資家からの信頼が高まるため、資金調達の際にも重要です。分析結果を元にした以下のような改善策に取り組むことで、売上アップやコストの削減にもつながります。
収益性分析を行えば、企業の経営の効率性や安定性も確認できます。分析結果から改善策に取り組むことで、長期的な経営の安定につなげることができます。
売上高に対する収益性分析の指標の種類は、以下の4つです。
対売上高の指標の数値が高いということは、少ない費用で効率的に利益を生み出しているということです。この章では、各指標の特徴と計算方法について理解を深めましょう。
売上高総利益率は「粗利益率」とも呼ばれ、企業の商品やサービスにどれだけ付加価値があるかを把握するための指標です。計算式は、以下のとおりです。
売上高総利益率(%) = 売上総利益 / 売上高 × 100
売上高営業利益率は企業が本業によって得た利益を表す指標です。計算式は、以下のとおりです。
売上高営業利益率(%) = 営業利益 / 売上高 × 100
売上高営業利益率が高いということは、本業となる事業を効率的に運営できていることを表します。売上高営業利益率が低ければ、人件費や家賃等の見直し、交際費や会議費などの削減といったコストを下げるための施策を打ち出すことが必要です。
売上高経常利益率は、売上高に対して経常利益が占める割合を把握するための指標であり、経営活動における企業の収益力がわかります。計算式は、以下のとおりです。
売上高経常利益率(%) = 経常利益 / 売上高 × 100
経常利益とは、企業の本業で得た営業利益に財務活動を加味した収益のことです。売上高経常利益率も業種によって異なるため、業界平均との比較が重要です。
売上高当期純利益率は「純利益率」とも呼ばれ、当期純利益を売上高で割った値です。計算式は、以下のとおりです。
売上高当期純利益率(%) = 当期純利益 / 売上高 × 100
売上高当期純利益率を他の利益率と比較することで「本業で利益が上がったのか」「たまたま土地の売却などで利益が上がったのか」など、何が利益に影響しているかを探れます。
より詳しく収益性を分析するためには、以下のような対資本の指標も理解しておく必要があります。
対売上高と併用して、総合的な収益力を示す指標であるROAやROEなどの把握は重要です。この章で対資本の指標について理解を深めましょう。
ROAは「資産に対する利益」という意味であり、企業の資本がどれだけ効率的に使われたかを把握できます。計算式は、以下のとおりです。
ROA(総資産利益率)(%) = 当期純利益 / 総資産 × 100
ROAが高い企業ほど、少ない資産で利益を多く生み出していることを表しています。例えば、A社とB社で同じ400万の利益でもB社の方がROAが高い場合、より効率よく利益を生み出していると言えます。
ROE「自己資本利益率」とも言われ、自己資本(純資産)を使ってどれだけ効率よく利益を得ているかを表します。計算式は、以下のとおりです。
ROE(株主資本利益率)(%) = 当期純利益 / 自己資本 (純資産)× 100
ROEは、投資家が経営者を評価する重要な指標の1つでもあります。高いROE値は、投資家が出資したお金が有効活用されていることを表すからです。そのため、ROEが高い会社に投資した方が将来的な配当に期待ができます。
経営資本営業利益率は、機械やヒトなどの利益を獲得するために実際に使用した経営資本の収益性を表す指標です。計算式は、以下のとおりです。
経営資本営業利益率(%)=営業利益÷経営資本×100
ROA(総資産利益率)の総資産には、遊休資産や他企業への投資などの経営活動に貢献していない資産が含まれています。そのため、経営資本営業利益率を分析することでより具体的な事業の収益力を把握することができます。
総資本回転率は、総資本をどれだけ効率よく活用できているかを「回数」を用いて表す指標です。総資本の効率性の観点から収益性を分析します。計算式は、以下のとおりです。
総資本回転率(回)=売上高÷総資本(総資産)
例えば、総資本が1,000万円で売上高が3,000万円の場合は、回転率が「3回」となります。総資本回転率が高いほど、自社の資本を効率的に活用して売上につなげられています。業種によって異なりますが、一般的な判断基準は回転率が「1.0」以下であれば、総資本の運用効率がよくないといわれています。
収益性分析を経営に活かすポイントは、以下の2つです。
収益性を分析するだけでなく、結果を経営に活かすことが重要です。この章で、収益性を分析したあとのポイントを理解しましょう。
収益性分析をしたら、これまでの自社のデータや同業他社の数値と比較してみましょう。同業他社と比較すれば、自社の経営の特徴を把握できます。また、自社の過年度と比較する分析も有効です。当期と前期のデータと照らし合わせれば、各指標の伸び率や減少率が把握できるからです。
収益性を分析したら、どの指標の利益率が悪いかを把握し、収益性悪化の原因となっている点を改善しましょう。
例えば売上高が減少している場合は、販売単価のアップや販売促進の強化、商品数を増やしたりすることで収益性を改善できる可能性があります。営業利益や経常利益が減少している場合は、販管費や営業外費用を削減することが必要です。収益性悪化の原因を見極めて、改善を行いましょう。
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収益性分析は、企業が収益を生み出す力を評価する方法であり、売上高と資本の2つの面から分析できます。経営者や利害関係者にとって「企業がどれだけ効率よく稼いでいるか」は重要な情報です。そのため、収益性分析を実施し、結果に基づいて企業の収益力を向上させる施策を講じることが大切です。
正確な収益性の分析には「対売上高」と「対資本」両方の面における、8つの指標の分析が必要です。計算や分析結果の活用は手間がかかるため、どのように進めるべきかお悩みの企業も多いでしょう。
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監修
税理士法人V-Spiritsグループ代表 税理士・社労士・行政書士・FP
中野 裕哲
起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社労士、行政書士、CFP(R)。 税理士法人V-Spiritsグループ代表。年間約1000件の起業相談を無料で受託し、起業家や経営者をまるごと支援。経済産業省後援 起業経営支援サイト「DREAM GATE」で12年連続相談数日本一。 著書・監修書に『一日も早く起業したい人がやっておくべきこと・知っておくべきこと』(明日香出版社)など20冊、累計25万部超
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