飲食店の開業にかかる費用は?必要になる資金について紹介

公開日:2021.11.26

この記事で
わかること

  • 飲食店開業に必要な費用
  • 開業資金を調達する方法
  • 飲食店開業時に利用可能な助成金・補助金

目次

これから飲食店の新規開業を考えている方は、まずはどのような項目で費用がかかり、また合計でどのくらい必要になるのかを知っておく必要があります。
今回の記事では、飲食店の開業にかかる費用のそれぞれの項目と、どのくらいの資金が必要になるかの目安、また自己資金以外を資金調達する方法について紹介していきます。
飲食店の開業について必要な手続き等はこちらの記事で説明していますので、合わせてご覧ください。

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物件契約時の費用

物件契約時の費用

飲食店を開くには、まず店舗となる物件を契約する必要があります。一般的な物件契約時にかかる費用とその目安について説明します。

①保証金(敷金)

テナントのオーナーへ支払う費用です。保証金は家賃の10ヶ月分ほどかかり、家賃が30万円だとすると、300万円ほどかかる計算になります。

②礼金

テナントのオーナーへ支払う費用です。家賃の1ヶ月分が相場で、返還はされません。家賃30万円だとすると、30万円ほどかかる計算になります。

③仲介手数料

物件の紹介・仲介をした不動産に支払う手数料です。家賃の1ヶ月分が相場です。

④前家賃

テナントのオーナーへ支払う最初の家賃です。物件契約時に同時に支払います。初月1ヶ月分の家賃と入居月の残りの日数を日割り計算した金額を支払います。

⑤造作譲渡料

居抜きでテナントを借りたときに発生する費用です。居抜き物件の内装は、その前のオーナーに所有権があれば、貸主とは別に前のオーナーとこの契約を結ぶケースがあります。費用は物件により違いがあります。

以上のように、家賃30万円のテナントを借りる場合、物件契約にかかる費用は、概算で以下となります。

  • 保証金:300万円(家賃10ヶ月分)
  • 仲介手数料:30万円(家賃1ヶ月分)
  • 前家賃:45万円(家賃1.5ヶ月分)
  • 合計:375万円

※あくまで一例となります。特にどのくらいの家賃の物件を選ぶかによって大きく変わるため、合計で1年分以上の家賃が必要になる点が知っておくべきポイントです。

店舗設備投資などの費用

店舗設備投資等の費用

物件契約以外でかかる、店舗の設備等にかかる費用とその目安について説明します。

①内装・外装費用

内装・外装工事にかかる費用です。壁や床、照明から、水道・ガス・電気など設備・インフラ関係や、看板の設置なども含みます。工事費用は業者にもよりますが、坪単価で30万~50万円ほどが相場です。

②厨房費用

厨房にまつわる費用です。ガス台、調理台やシンクなどから、ガスコンロ・冷蔵庫・オーブントースター・コーヒーメーカー・ビールサーバーなどの業務用の家電まで、厨房で利用する設備についての費用です。お店で提供する料理の種類や広さにもよりますが、300万~700万円ほどかかります。

③家具・食器・備品費用

フライパンや鍋などの調理器具から、皿やコップなどのグラス、椅子・テーブルなどの家具の費用です。規模によりますが、30万〜200万円ほどが目安です。

④レジ費

店に設置するPOSレジなどの費用です。最近ではタブレットでの決済システムなどもあり、ある程度値段を抑えることが可能です。10万円前後が目安です。

⑤販促費

お店のオープン前後での宣伝や、Webサイト作成・ポータルサイトへの掲載などの費用です。売上の5%~10%ほどが平均とされていますが、良い立地で直接お店を見て選ぶ人が多く期待できる場合や、SNSでの情報発信がうまくいく場合はより少ない場合もあります。

⑥募集費

アルバイトなどの従業員を募集するための費用です。アルバイト情報誌や、アルバイト募集のポータルサイトへの掲載が主になります。募集人数にもよりますが、オープン前の段階では、5万~20万円ほどが目安です。

⑦通信費用

店舗内での無線LAN環境や電話などの通信機器などの費用です。電話回線はもちろん、最近はネット決済やモバイルオーダーなどを導入する店舗も増えています。こちらは数万円程度が目安です。

最近はテレワークの普及の影響で、カフェなどで仕事をする人も増えています。店舗内で顧客が利用できるWi-Fi環境を整備することで集客やリピート促進にもつながります。

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その他の費用

初期費用として必ずかかる費用ではありませんが、一般的に開業時に確保しておく必要のある費用について説明します。

①初期の運転資金

店の経営が軌道に乗るまでは売上よりも費用のほうが多くなるため、赤字期間を耐えるために開業後の運転資金を確保する必要があります。店舗の家賃の支払い、日々の光熱費、材料の仕入れ費、人件費などです。どのくらいの期間の分を用意するかはお店によりますが、最低でも半年分ほど確保しておくのが好ましいです。

②生活費

経営が軌道に乗り収益が出るまでは、飲食店を開業した本人の収入もあまり期待できません。自身の家族の生活費なども確保しておきましょう。

資金調達の方法

資金調達の方法

開業時に自己資金100%は難しく、多くの場合は初期資本の3~7割程は資金調達でまかないます。ここでは、資金調達の方法について紹介します。

※各制度について、詳しくは最新情報を各サイトで確認してください。

①日本政策金融公庫の融資

無担保・無保証人で融資が受けられることが多い政府系金融機関です。創業計画書を作成し、融資申請を行います。

(1)新規開業・スタートアップ支援資金

新規で事業を始める、または事業開始後7年以内が対象の融資です。開業・起業したい事業と同じ業種の企業への勤務歴が6年以上の人が対象となります。保証人や担保は不要です。金利が安く、自己資本の要件はありません。

(2)新規開業・スタートアップ支援資金(女性、若者/シニア起業支援関連)

女性、もしくは30歳未満か55歳以上の方への融資です。上記の新規開業資と近いですが、条件が30歳から54歳の男性ではないということと、事業開始後7年以内であることです。

あてはまる人にとっては新規開業資金よりも条件がシンプルで、若者・女性・シニアの創業を活性化させていきたいという背景があります。

②地方銀行・信用金庫の融資

保証協会付きで、地方銀行や信用金庫の融資を受けることが可能です。営業許可書の発行が融資実行の条件になるため、開業後に融資を受けることが多いです。営業許可書は内装などが終了して営業ができる段階で審査が入るため、開業前の支払には充てることができません。開業後の運転資金などの費用に充てるのが一般的です。

③家族・知人・友人からの資金調達

身内や知人から資金調達する方法もあります。血縁者や親族からの資金は、返済義務の有無で自己資金扱いになるか変わります。

④クラウドファンディング

ここ数年で一般的になっていたクラウドファンディングでは、Web上で資金を出してくれる人を募集し、見返りとして商品やサービスを提供する仕組みです。SNSで告知・ファンを集めることで募集金額の目標よりも多くの支援を集めるような活用事例が増えてきています。

⑤助成金・補助金の利用

融資と違い、助成金や補助金は開業後に要件を満たしたり、審査が通ることによって支払われる後払いのお金です。開業時の資金にはできませんが、開業後のランニングコストに充てられます。以下、代表的な助成金・補助金を紹介します。

(1)キャリアアップ助成金

非正規雇用の従業員の待遇を改善したときに使える助成金です。複数のコースが準備されています。例えば、一定期間雇用していた非正規雇用の方を条件を満たした正社員として雇用。さらに、一定期間雇用を継続すると申請が可能です。開業後してしばらくたった後の資金に充てられます。

(2)小規模事業者持続化補助金

飲食店の場合は、常時使用する従業員が5名以下の小規模事業者向けの補助金です。飲食店であれば店舗改装費や設備導入費、広告宣伝費などに充てることができます。

まとめ

今回の記事では、飲食店の開業に必要な資金の目安や、どのような費用がかかるかの説明、また融資・助成金・補助金といった資金調達の方法について紹介していきました。

NTT東日本グループでは新規で開業される方向けに、ITツールだけでなく、開業の流れから資金調達の方法まで、役に立つ情報やウェビナーなどの情報発信をしています。

新規開業を考えていて、これから情報収集をしていきたい方は、ぜひ一度以下の資料をダウンロードしてみてください。

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監修

税理士法人V-Spiritsグループ代表 税理士・社労士・行政書士・FP

中野 裕哲

起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社労士、行政書士、CFP(R)。 税理士法人V-Spiritsグループ代表。年間約1000件の起業相談を無料で受託し、起業家や経営者をまるごと支援。経済産業省後援 起業経営支援サイト「DREAM GATE」で12年連続相談数日本一。 著書・監修書に『一日も早く起業したい人がやっておくべきこと・知っておくべきこと』(明日香出版社)など20冊、累計25万部超

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