公開日:2025.11.13

この記事で
わかること
小さい飲食店は、資金を抑えながら、一人でも運営できる点が魅力です。開業のハードルは比較的低めですが、それでも開業までにやるべきことはたくさんあります。
たとえば、事業計画を立てたり、メニューを考えたり、内装や外装の工事を行ったりする必要があります。また、必要な資格を取得したり、各種の届出を提出したり、集客の方法を考えたりすることも大切です。
そこで本記事では、小さい飲食店を開業するための準備の流れや、開業資金のおおよその目安など、さまざまなポイントについて解説します。これから小さい飲食店を開業しようと検討されている方は、参考資料としてご活用ください。
目次
開業を検討されている方必見!
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資料をダウンロードする(無料)はじめに、小さい飲食店を開業する際に必要な準備と流れについて解説します。
まずは、飲食店の方向性を定めるコンセプト設計から始めましょう。一口に「小さい飲食店」といっても、種類はさまざまです。カフェ・定食屋・居酒屋といったジャンルのほか、店舗・テイクアウト・キッチンカーなど、提供スタイルにも複数の選択肢があります。
コンセプト設計で決めたい項目は、主に以下になります。
開業の準備には時間を要するため、開業予定の1年ほど前から構想を練ることが望ましいです。コンセプトが固まり次第、次はそれを具体化するために事業計画を立てていきます。
コンセプトやターゲットに合わせたメニューを考えます。メニューを開発する際は、「料理の選び方」「価格の決め方」「全体のバランス」といったポイントを意識しましょう。
特に価格を決めるときは、ターゲットとなるお客さまの予算や、お店の利益率を考慮することが大切です。また、原材料の仕入れ先や、調理手順の効率化についても検討しましょう。これらを踏まえ、長期的な視点で計画を立てることが重要です。
店舗の立地は、売上に大きな影響を与える重要なポイントです。特に、狙っているターゲット層が集まりやすい場所を選ぶことが、安定した集客につながります。
立地を調べるときは、統計データや地図情報だけでなく、実際に現地へ行き、自分の目で人通りの多さや競合店の様子を確認・分析することも大切です。
また、物件を選ぶ段階では、施工事業者に現地調査へ同行してもらうと、内装工事や設備の設置計画が立てやすくなります。その結果、開業準備をよりスムーズに進めやすくなります。
開業準備を進めるにあたり、事業計画の策定と並行して、必要となる開業資金の全体像を洗い出しておくことが重要です。そのうえで、自己資金の割合と、外部からの資金調達とのバランスをあらかじめ検討しておくと、資金面でのトラブルを避けやすくなります。
なお、自己資金以外で資金を調達する方法としては、以下のような手段があります。
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| 資金調達方法 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 融資を受ける |
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| クラウドファンディングで資金を募る |
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| 補助金・助成金を活用する |
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また、小さい飲食店の開業に必要な資金の目安については、次の章で詳しく解説します。
店舗の内装・外装は、お店の世界観やブランドイメージを形成するうえで重要な要素です。そのため、コンセプトに沿った設計を行うことが求められます。
特に内装は、接客動線や調理・配膳のしやすさといった業務効率にも直結するため、見た目のデザイン性だけでなく、実用性にも十分配慮する必要があります。
あわせて、インターネット回線の開通や電話番号の取得など、店舗の営業に必要なインフラ環境の整備も忘れずに進めておきましょう。
小さい飲食店であっても、営業するためには多くの調理機器や備品を揃える必要があります。たとえば、コンロ・冷蔵庫・作業台などの調理設備に加え、テーブルや椅子といった什器、さらに食器やカトラリーなども必要となります。
これらは開業資金のなかでもコストがかさみやすい部分であるため、予算とのバランスを見ながら、中古品やリースの活用も視野に入れて検討することが望ましいでしょう。
飲食店を開業するには、食品営業許可や食品衛生責任者、防火管理者など、さまざまな資格取得や許認可が必要です。各資格・許認可の詳細は以下をご参照ください。
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| 食品衛生責任者 |
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|---|---|
| 防火管理者 |
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| 飲食店営業許可 |
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| 火を使用する設備等の設置届 |
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| 深夜酒類提供飲食店営業開始届 |
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申請を行う際には、事前に講習や検査が必要となる場合があります。そのため、スケジュールには十分な余裕を持って準備を進めることが大切です。
飲食店のオープンに向けて、できるだけ早く集客のための施策を始めることが成功のポイントです。集客方法には、SNSやGoogle ビジネス プロフィールを活用するオンラインの方法と、チラシ配布や看板設置といったオフラインの方法があります。
これらの手段をうまく組み合わせて使うことで、より多くのターゲット層にアプローチしやすくなります。その結果、宣伝の効果も高まるでしょう。

ここでは、開業に必要な資金の目安と内訳を紹介します。
小さい飲食店の開業であっても、初期費用は500万~1,500万円程度を見込んでおく必要があります。物件取得費や内装工事費、調理設備の導入など、多岐にわたる費用がかかるためです。
もちろん業態や規模、立地条件によって費用は大きく変動するため、自店の状況にあわせて概算を出し、余裕のある資金計画を立てることが重要です。
開業にかかる費用の内訳は以下の通りです。
物件取得費として、店舗となる物件の敷金・礼金・仲介手数料・前家賃などが必要になります。エリアや物件の条件により異なりますが、目安としては家賃の6~10ヶ月分程度が必要です。
内装・外装工事費には、配管・電気・空調工事、厨房設備の設置などが含まれます。
居抜き物件であれば200万円前後で済むこともありますが、一から施工する場合は1000万円程度かかることも想定されます。費用をできるだけ抑えたい場合は、居抜き物件も視野に入れて検討してみてください。
厨房設備費は、コンロ・冷蔵庫・オーブンなどの大型調理機器にかかる費用です。設備にこだわるとその分費用は上がりますが、中古品やリースを活用すればコストを抑えることも可能です。
備品費は、調理器具・食器類・レジなどの購入費用です。特に食器やカトラリー類は数を減らすと、オープン後に困る可能性があるため、余裕を持って用意しておくことが安心です。
広告宣伝費とは、看板の制作やチラシ・ポスターの印刷、Web広告などにかける費用のことです。もし費用をできるだけ抑えたい場合は、先ほど紹介したSNSやGoogle ビジネス プロフィールなど、無料で使えるツールの活用を検討してみてください。
ただし、コストを抑えたいからといって費用をかけずに自力で集客を行うと、思うような結果を得られない場合があります。プロに依頼することで、かけた費用に対してより高い効果が得られる場合があるため、オープン直後に好スタートを切るために依頼を検討してみることをおすすめします。
集客をはじめとする開業時のお悩みは「Nにおまかせ!」
詳しくはこちら食材費には、材料費や調味料代などが含まれます。メニューの数が増えると、それに合わせて用意しなければならない材料の種類も多くなる傾向にあります。そのため、メニューを開発する際は、仕入れのことも考えながら進めることが大切です。また、必要に応じてメニュー数を絞ることも検討しましょう。
人件費とは、スタッフの給与などを指します。小さい飲食店の場合、少人数で営業を始められることが大きなメリットです。そのため、必要となる人件費も比較的少なくて済みます。
しかし、スタッフの人数が増えると、それに伴って人件費が増加するだけでなく、雇用に関する手続きも多くなります。したがって、スタッフを増やす際は慎重に検討することが大切です。
運転資金として、開業後の数ヶ月にかかる固定費や人件費、光熱費などを見込んで、あらかじめ準備しておく必要があります。その理由は、開業してすぐにお店が軌道に乗るとは限らず、予想外のトラブルが起こることも考えられるからです。できれば半年分の運転資金を用意しておくと安心でしょう。
小さい飲食店を開業しようと考えている人の中には、資金面で不安や疑問を感じている方も多いでしょう。小さい飲食店を始める際に、開業資金についてよくある疑問をまとめて紹介します。
自己資金が100万円あれば、開業することは可能です。ただし、先ほど説明したように、小さい飲食店を開業する場合でも、一般的には500万~1,500万円ほどの費用がかかるとされています。そのため、自己資金だけで足りない場合は、ほかの方法で資金を調達する必要があります。
自己資金がまったくない場合でも、開業自体は可能です。この場合も、資金を調達して開業することになります。基本的には、自己資金ゼロで融資を受けることは難しいですが、自己資金がない状態で利用できる融資制度も一部あります。
たとえば、日本政策金融公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」には自己資金の要件がないため、自己資金ゼロでも融資の申し込みをすることは可能です。しかし融資が借りられる可能性は極めて低いです。開業資金全体の1/3の自己資金を用意し、融資を申し込みましょう。
※最新の情報は日本政策金融公庫の公式サイトをご確認ください。

ここでは、小さい飲食店の開業で失敗しないためのコツを紹介します。
すべての設計は、まずコンセプトを決めることから始まります。もしコンセプトがあいまいなまま進めてしまうと、計画がぶれやすくなり、他店との差別化を図ることが難しくなるでしょう。
そのため、まずコンセプトを具体的に決めてから、次のステップに進むことが大切です。その後、メニューの内容や提供方法、内装のデザインなど、すべての要素をコンセプトに合わせて進めていきましょう。
飲食店といっても、さまざまな形態があります。資金繰りや在庫リスク、長時間労働に悩まないためには、自分に合った小規模で運営しやすいタイプを選ぶことが大切です。
たとえば、次のような形態は小さい飲食店に向いています。
共通している点は、調理スペースとカウンター、椅子だけ、あるいは調理スペースとお渡し口だけなど、省スペースで営業できることです。また、仕入れの種類や仕込みにかかる時間を減らすために、メニューの数を絞ることも大切なポイントです。
これまで説明してきたように、小さい飲食店を開業するには多くの準備が必要です。なかには、専門的な知識が求められるものも含まれます。
たとえば、事業計画の策定や店舗のインターネット接続環境の構築、集客などは、すべて自分で行おうとすると、まず知識を身につけるところから始めなければなりません。そのため、当初の予定よりも開業準備に時間がかかる場合があります。
開業準備を効率よく進めるためには、すべてを自分だけで進めようとせず、必要に応じて専門家にサポートを依頼することが大切です。
「Nにおまかせ!」は、開業に関するお悩みをまるごとサポートするサービスです。たとえば、開業準備に必要な各事業者とのやり取りの代行や、インターネット接続環境の構築、効果的な集客のサポートなど、幅広い支援を行っています。
実際に、開業準備に関わるさまざまな事業者との調整やネットワークの構築、Webサイトの制作を「Nにおまかせ!」にまとめて依頼したことで、おおよそ500万円の初期費用軽減につながった事例があります。
小さい飲食店の開業にあたり、「集客に不安がある」「コストをできるだけ抑えたい」などのお悩みを抱えている方は、まずはお気軽にお問い合わせください。
集客をはじめとする開業時のお悩みは「Nにおまかせ!」
詳しくはこちら小さい飲食店は、比較的少ない資金や人手で始められる点が魅力です。しかし、開業にはさまざまな準備が必要となります。
まず、コンセプトを明確化してから、メニューや店舗のスタイル、ターゲットとなるお客さまの層を決め、それに基づいて事業計画を作成します。さらに立地の調査や物件選び、店舗の内外装のデザイン、設備の導入など、検討しなければならないことは山積みです。
加えて、必要な資格の取得や各種届出の提出、資金の調達や集客のための施策も、並行して進めなければなりません。もし専門的なサポートが必要な場合は、「Nにおまかせ!」にご相談ください。詳しい内容は以下のリンクからご覧いただけます。
監修
税理士法人V-Spiritsグループ代表 税理士・社労士・行政書士・FP
中野 裕哲
起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社労士、行政書士、CFP(R)。 税理士法人V-Spiritsグループ代表。年間約1000件の起業相談を無料で受託し、起業家や経営者をまるごと支援。経済産業省後援 起業経営支援サイト「DREAM GATE」で12年連続相談数日本一。 著書・監修書に『一日も早く起業したい人がやっておくべきこと・知っておくべきこと』(明日香出版社)など20冊、累計25万部超
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