公開日:2021.11.26
この記事で
わかること
目次
オフィス移転を検討している方の多くは、移転の全体的な流れややるべきこと、移転までに必要な期間や費用など、具体的な情報を求めているのではないでしょうか。
本記事では、オフィス移転のプロセスやポイント、業者選びのコツについて分かりやすく解説します。また、移転日までのスケジュールをもとに「やることリスト」をチェックリスト形式でまとめました。計画的な準備を進め、新しいオフィスでスムーズに業務をスタートできるよう、ぜひお役立てください。
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新しいオフィスへの移転をスムーズに進めるために、以下のチェックリストを活用しましょう。
【6ヶ月前までにやること】
①移転の目的の明確化
②オフィス要件の定義
③オフィス移転業者探し
④解約通知
⑤新オフィスの物件探し
⑥原状回復工事業者の選定と依頼
【3ヶ月前までにやること】
⑦コンセプト・レイアウト決め
⑧業務システム、クラウドなどの検討
⑨内装の施工管理
⑩オフィス備品の発注
⑪引っ越し業者の選定
【当日までにやること・手続き】
⑫社内用マニュアル作成
⑬社内説明会の実施
⑭取引先への説明・挨拶
⑮移転先の施主検査
⑯引っ越し作業
⑰移転に関連する届け出
オフィス移転は、6ヶ月以上前から綿密な計画を立て、スケジュールに沿って段階的に実施する必要があります。移転当日までに行うべきことは多岐にわたり、まさに大規模なプロジェクトです。準備不足や注意を怠ると、トラブルや業務の停滞を招く恐れがあるため、慎重に進めましょう。
6ヶ月前までに行うべきなのは、オフィス移転の目的を明確にし、オフィスに求める要件を定義することです。また、新オフィスの物件探し、移転業者や原状回復工事業者の選定、現オフィスの解約通知などもこの時期に進めます。それぞれの注意点について解説します。
「リモートワーク推進によるオフィス縮小」や「立地の良い場所への移転でブランドイメージを向上させる」など、オフィス移転の目的は企業ごとに異なります。このように移転の目的を明確にすることが、オフィス移転の成功に欠かせません。
目的が不明確なまま進めてしまうと、結果として生産性の低下や従業員満足度の低下につながる恐れがあります。そのため、移転の効果やオフィス環境の改善点を明確にし、社内で共有しましょう。また、目的が明確であれば、新オフィスの選定やレイアウト計画も具体的に進められます。
移転の目的が明確になったら、次はオフィスに求める要件を具体的に定義します。これは物件探しの際に必要な情報となります。主な要件は以下のとおりです。
特に賃料は、会社の業績や今後の採用計画などを踏まえ、無理のない範囲で設定します。また、設備については換気や空調の他、ビルのグレードによって付帯設備が異なるため、自社の必要条件を整理しておきましょう。
オフィス移転では、物件探しや内装、プランニングなどのサポートを受けられる移転業者を利用するケースが多く見られます。業者を選ぶ際には、営業・設計・施工管理など、各分野の専門的なメンバーがチームで移転作業を行う業者がおすすめです。
また、依頼の範囲を明確にすることも重要です。オフィス移転を総合的にサポートする「オフィス移転コンサルタント」というサービスも存在します。物件探しから引っ越しまで、すべてを一括で依頼したい場合は、工程別ではなくオフィス移転をまるごとサポートしてくれる業者を選びましょう。
現オフィスの解約通知は、移転の1年〜6ヶ月前に管理会社やオーナーに伝えます。この際、新オフィスの入居時期を確認したうえでタイミングを見極めましょう。契約内容によっては、解約通知を移転の6ヶ月以内に行うと解約料が発生する場合もあります。契約書をしっかり確認し、通知時期を慎重に決定しましょう。
なお、普通借家契約の場合は解約通知が必要ですが、定期借家契約の場合は契約期間満了で終了します。オフィスが空白期間にならないよう、手続きには注意が必要です。
物件探しは、あらかじめ定義したオフィス要件をもとに行います。具体的なチェックポイントは以下のとおりです。
特に、ビルによっては営業時間外に施錠され、出入りが制限されるケースもあるため、業務に支障が出ないか確認が必要です。
退去時には、現オフィスを入居時の状態に戻す原状回復工事が必要です。工事には1ヶ月以上かかる場合があるため、遅くとも退去の2ヶ月前には着工できるよう、早めに業者を選定・依頼しましょう。
なお、次の入居企業が居抜き物件として現状のまま利用する場合、原状回復工事が不要となるケースもあります。契約内容や借主、次の借主の意向によって異なるため、事前に確認しておきましょう。
オフィス移転の3ヶ月前頃までには、本格的に新オフィスの準備に入ります。コンセプトやレイアウトの決定、クラウドサービス導入といったネットワーク環境の整備、内装工事の着手、オフィス備品の選定・発注などが主な作業です。
物件探しの過程や物件が決定した段階で、新オフィスのコンセプトやレイアウトを具体的に決めていきましょう。検討すべきポイントは以下のとおりです。
特にインターネットをはじめとしたご利用環境の整備は、業務効率に直結するため重要です。Wi-Fiを導入してフリーアドレス化(固定席を持たず、従業員が自由に席を選んで業務を行う形態)を行うかどうかなど、この段階で検討しておきましょう。
①「移転の目的の明確化」で設定した項目によって、レイアウトや内装イメージも大きく変わります。社員のコミュニケーション促進や集中できる個別ブース、生産性向上を目的としたスペースづくりなど、目的に応じたコンセプト設定が重要です。
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詳しくはこちら近年では、BCP(事業継続計画)やリモートワークへの対応として、クラウドサービスの導入が一般的になっています。オフィス移転を機に、以下のようなクラウドサービス導入を検討しましょう。
コロナ禍を経て、オフィス縮小やリモートワーク導入による柔軟な働き方を取り入れる企業が増えました。新オフィス・サテライトオフィス・自宅・コワーキングスペースを問わず円滑に業務が行えるよう、クラウドサービスを整備しましょう。
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詳しくはこちら物件が確定したら、内装業者と打ち合わせを重ね、デザインやレイアウトを具体化します。コンセプトや希望を伝えると、通常は複数のレイアウト案が提案されるため、社内で検討し、適切なフィードバックを行いましょう。内装がコンセプトに沿っているか、レイアウトは正確か、備品の収納スペースや電源配置は十分かも確認が必要です。
また、電気・通信・空調工事については、物件オーナーが指定業者を設定している場合もありますので、事前に確認しましょう。施工が始まった後は、工事の進捗も定期的にチェックします。
新オフィスで使用する家具やOA機器、什器類は、必要な数量や配置場所(応接室、会議室、エントランスなど)ごとにリストアップしておきましょう。オフィス備品を選ぶ際には、新オフィスのコンセプトやレイアウトに合ったものを意識することが重要です。
調達方法としては、新品・中古の購入、リース、レンタル、サブスクリプションなどが挙げられます。予算に応じて適切な調達方法を選定し、早めに手配を進めましょう。また、現在リース中の備品を継続して使用したい場合には、移転先での使用が可能かどうかをリース会社に事前に確認する必要があります。
引っ越し業者の選定では、基本的な予算や作業内容に加え、以下のようなサービス内容にも注目しましょう。
不要なサービスが含まれていないかも確認し、無駄なコストを省くことも大切です。特に初めてのオフィス移転でノウハウがない場合は、オフィス移転に特化した専門業者への依頼が安心です。
オフィス移転当日までには、社員や取引先への周知が欠かせません。社員には社内マニュアルの作成と配布、説明会の実施を行い、取引先には早めに挨拶と説明を済ませましょう。これらは余裕を持った時期に行うことが大切です。その他にも、新オフィスの工事確認を経て、引っ越し作業へと進みます。
社員全員が移転の流れや対応方法を正確に把握し、移転作業を円滑に進めるために、社内用マニュアルを作成して社員に配布しましょう。特に従業員数が多い大企業では、移転規模が大きくなるため、事前に周知徹底を図ることが重要です。マニュアルには、新オフィスの住所や基本情報、移転の目的、スケジュール、移転当日の業務フロー、トラブル発生時の問い合わせ先などを記載します。
また、移転時の書類紛失を防ぐため、荷物梱包や移転作業に関するマニュアルを別途作成すると安心です。社内用マニュアルが完成したら、速やかに配布し、全社員と共有しましょう。
オフィス移転日が決まり次第、マニュアルの配布だけでなく、社員向けに説明会を実施しましょう。経営陣や総務部から、移転の目的・スケジュール、社員が行う必要な手続きなどを直接説明します。不明点や懸念点にその場で答えることで、社員の不安解消にもつながります。
説明会は余裕を持って実施し、混乱を防ぎましょう。各部署の代表者に参加してもらい、部署内での情報共有を徹底することも重要です。企業規模によっては、複数回に分けて説明会を実施するのも有効です。
取引先へのオフィス移転に関する挨拶や説明は、移転が決まり次第速やかに行いましょう。取引先の請求書や契約書などに記載されている自社情報の変更手続きが必要となるため、早期の周知が重要です。特に、情報変更に時間を要する取引先もあるため、十分な余裕を持って対応する必要があります。
効率的に取引先への挨拶を進めるには、まず取引先リストを作成しましょう。その後、挨拶状を送付し、メールや電話で改めて説明や挨拶を行うことで確実性を高めます。
新オフィスの内装や設備工事が契約どおりに進んでいるかを確認するため、施主検査を行います。工事が図面どおりに行われているか、オフィス家具やOA機器などの配置が希望どおりかを重点的にチェックしましょう。
施主検査がスムーズに進むよう、各業者と事前に日程や場所について打ち合わせをしておきます。また、依頼内容は図面や契約書に残しておき、万が一のトラブルにも対応できるよう備えましょう。施主検査は新オフィス入居前の最終確認ですので、慎重に実施してください。
引っ越し期間中は、荷物の梱包、不要品の廃棄、データのバックアップなどを事前に済ませておきましょう。特に、引っ越し業者がデータのバックアップサービスを提供していない場合は、自社で無理に行わず、専門業者に依頼することを推奨します。
荷造りには日数がかかり、業務と並行して作業を進める必要があるため、早めの準備が肝心です。新オフィスに運ぶ荷物のチェックリストを作成し、梱包作業の担当者と進捗管理担当者を決めておけば、引っ越し作業がスムーズに進みます。引っ越し当日は担当者の立ち会いも必要ですので、事前に担当者を決めておきましょう。
オフィスの移転は、引っ越し作業を終えた段階で完了ではなく、移転に伴う各種届け出の提出も必要です。本店所在地が変更となる場合は、届け出内容を変更する必要があるのはもちろん、オフィス増設や支店の移転においても届け出が求められます。また、移転先の管轄地が変更になる場合とそうでない場合では、必要な書類が異なることがあります
以下に、移転時に必要となる届け出の一例を挙げます。
オフィス移転にかかる費用は、大きく分けて以下の項目に分類できます。
なお、これらの費用はオフィスの規模や業務内容、移転先の状況などによって異なります。具体的な金額を把握するために、各業者から見積もりを取り、費用を算出しましょう。
オフィス移転では、内装工事やレイアウト設計、引っ越しなど、多岐にわたる作業が発生します。業者によって、実績、サポート体制、費用は異なります。移転後スムーズに業務をスタートさせるためには、業者選びが重要です。以下では、どのような点に注意して選ぶべきかを解説します。
オフィス移転に関わる業者は、以下のように対応範囲が異なります。
業者選びのポイントは、新オフィス移転後にスムーズに業務を開始できるかどうかです。工程ごとに別々の業者に依頼すると、連携不足によりスケジュールの遅延や不備が発生しやすくなる可能性があります。そのため、可能な限り移転を総合的にサポートする業者を選ぶことをおすすめします。
新しいオフィスへの引っ越しが終わった後も、やるべきことは多岐にわたり、トラブルが発生する可能性も考えられます。そのため、オフィス移転後のアフターフォローを含めたサポート体制が充実しているかどうかは、業者選びの重要なポイントです。例えば、各種届け出の代行、ICT環境の構築、移転後の不具合対応など、移転完了後も手厚いサポートを提供している業者かどうかを確認しておきましょう。
また、トラブルが発生した際の対応範囲や、対応スピードも事前にチェックしておくと安心です。サポート内容は業者ごとに異なるため、どこまでサポートしてもらえるのかを契約前にしっかりと確認することが重要です。
オフィス移転にかかる費用を十分に調査せず、1社だけに依頼する場合、費用が適切かどうかを判断することが難しくなります。そのため、複数の業者から相見積もりを取り、費用の相場を把握したうえで依頼先を決めることが大切です。見積もりは、多くの業者が無料で対応してくれるため、気軽に依頼できます。
なお、見積書には一般的に有効期限が記載されています。有効期限を過ぎると、再度見積もりを取る必要があるため、スケジュールに余裕を持って進めましょう。また、見積もりは業者が現地確認や新オフィスの図面、レイアウト案などをもとに算出するケースが多いです。事前に必要な資料を用意しておくことで、手続きがスムーズに進みます。
オフィス移転は単なる引っ越しではなく、企業全体に影響を及ぼす重要なプロジェクトです。移転がもたらすメリットや潜在的なリスクにも目を向ける必要があります。以下では、オフィス移転時に特に留意すべきポイントについて解説します。
オフィス移転を機に、システム環境を見直すことで業務効率や生産性の向上を図れます。例えば、ミーティングルームやカフェスペースを新設するなど、働きやすい環境を整備する取り組みを行う企業も増えています。
また、近年のリモートワーク普及により、オフィスを縮小移転するケースも増加しています。その際には、クラウドサービスの導入や個人ブース・フリースペースの設置、無線LAN環境の整備など、柔軟で多様な働き方を実現するためのオフィスづくりが重要です。
オフィス移転は多額の費用と労力を伴う一大プロジェクトです。移転前後には一時的に業務が滞る可能性もあるため、慎重な準備が求められます。
特に注意すべきなのが、現オフィスの「解約予告通知」です。一度通知を出してしまうと、民法第540条第2項により撤回ができません。
参照:民法|e-Gov法令検索
(https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089)
そのため、新オフィスの確保と準備が整ってから解約予告を行う必要があります。また、移転後にも名刺・パンフレットの作り直し、各種届け出、インフラの再整備など、想定外の費用が発生することがあります。トラブルを未然に防ぐためにも、綿密な計画を立て、スケジュールと費用の両面から余裕を持った準備を行いましょう。
移転後のオフィス環境をより良いものにするためには、移転が完了して終わりではありません。現場で働く社員の声をアンケートやヒアリングで集め、移転による効果を検証しましょう。
例えば、業務効率の向上や従業員満足度の変化、課題の有無を、定量的なデータと定性的な意見の両方から分析します。初回の検証は移転から半年後を目安に行い、その後は年1回程度のペースで継続的に実施するのが理想的です。必要に応じて改善を行い、より快適で働きやすいオフィス環境を維持しましょう。
オフィス移転を成功させるためには、トータルでサポートしてくれる業者を活用することが効果的です。「Nにおまかせ!」は、開業やオフィス移転に伴うさまざまな課題をワンストップで解決するサービスです。ここでは、その活用事例をご紹介します。
株式会社パブリ様では、創業直後に「Nにおまかせ!」を活用しました。創業時には、ITをはじめとするオフィス環境の構築が必要でしたが、各業者との煩雑なやり取りを担当者が代行してくれました。また、電話やネットワーク環境、ホームページ制作など、移転に伴う複数の課題をまとめて対応してもらいました。その結果、業務をすぐに開始できただけでなく、約500万円もの初期費用の削減にも成功しています。
このように、移転ごとに個別に業者へ依頼するよりも、総合的な視点で対応してくれる専門業者にまかせる方が、効率的であり、コスト削減にもつながることが分かります。
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※ 文中に記載の組織名・所属・肩書き・取材内容などは、全て2024年1月時点(インタビュー時点)のものです。
※ 事例は一例であり、すべてのお客さまに同様の効果があることを保証するものではありません。
オフィス移転は、移転予定の約6ヶ月前から段階的に準備を進めていくことが大切です。移転に伴う業務や社内外の連携をしっかりと把握し、丁寧かつ着実に進めることが、スムーズな移転成功のカギとなります。
また、オフィス移転の成功には、業者選びも大きなポイントの一つです。オフィス移転は単なる引っ越し作業だけでなく、コンセプト設計、レイアウトの見直し、ネットワーク環境の整備、オフィス機器の選定・設置など、多岐にわたる対応が求められます。
こうした多様な業務を個別の業者にそれぞれ依頼するよりも、オフィス移転をトータルで支援してくれる専門業者に依頼することが効果的です。手間や費用を抑えつつ、移転計画中に生じる悩みや課題についても幅広く相談できます。
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監修
税理士法人V-Spiritsグループ代表 税理士・社労士・行政書士・FP
中野 裕哲
起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社労士、行政書士、CFP(R)。 税理士法人V-Spiritsグループ代表。年間約1000件の起業相談を無料で受託し、起業家や経営者をまるごと支援。経済産業省後援 起業経営支援サイト「DREAM GATE」で12年連続相談数日本一。 著書・監修書に『一日も早く起業したい人がやっておくべきこと・知っておくべきこと』(明日香出版社)など20冊、累計25万部超
V-Spiritsグループ Webサイト