公開日:2024.09.25
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わかること
目次
営業DXとは、デジタル技術やデータを活用して顧客情報や行動を見直し、自社の営業プロセスを再構築して競争優位性を確立することです。営業DXを進めることで、企業規模を問わず営業活動の効率化や属人化の防止につながります。
この記事では、営業DXの意味や求められる理由、メリット、取り組み方、中小企業が営業DXを導入する流れ、課題についてわかりやすく解説します。
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営業DXとは、デジタル技術やデータを活用して顧客の購買行動を可視化し、顧客のニーズを理解したうえで自社の営業戦略やプロセスを再構築して、競争優位性を確立することです。
営業の各プロセスにデジタル技術を導入することで、営業活動に変革をもたらす取り組みを指します。各プロセスの具体例は、以下のとおりです。
営業DXの取り組みが求められる背景や実施するメリットなど、DXの具体的な内容を紹介する前に、次項で「DX」という言葉そのものの意味や、「デジタル化」との違いをお伝えします。
DXは「ディーエックス」と読み、「デジタルトランスフォーメーション」の略です。「トランスフォーメーション」は日本語で「変革・変化」を表すため、DXは「デジタル変革」と直訳できます。たとえば、飲食店がネットショッピングの仕組みやモバイルオーダーの技術を取り入れ、ビジネスモデルそのものを「変革」していくことなどが挙げられます。
一方、「デジタル化」とは、既存業務をITツールなどに置き換えて進めることです。たとえば、「以前は紙やExcelで行っていた案件管理を、クラウドの案件管理ソフトウェアを使う方法に変更する」などの取り組みが当てはまります。デジタル化は「業務効率化」に重きを置いている点が特徴として挙げられます。
つまり、デジタル化はDXの一部、または前段階の取り組みともいえます。
なお、経済産業省が企業経営者に向けて策定した「デジタルガバナンス・コード2.0 」によると、DXの定義は次のとおりです。
“企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。”
引用:「経済産業省|デジタルガバナンス・コード2.0」
(https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/investment/dgc/dgc2.pdf)
この定義から「営業DX」とは、「デジタル技術を活用しながら顧客情報を可視化し、顧客ニーズを汲んだうえで新たなビジネスの価値を生み出していくこと」だといえます。ビジネスの付加価値を生み出すには、ITツールを用いた営業プロセスの効率化にとどまらず、営業部門の風土・カルチャーの変革も求められるといえるでしょう。
DXを進めるなかではまず、従来はアナログで行っていた業務を「デジタル化」するところから取り組むことが一般的です。たとえば、以下のようにITツールの活用によって業務プロセスのデジタル化を図ります。
そのうえで、顧客データを収集・分析し、ニーズを理解しながら、ビジネスの新たな価値創造に取り組んでいく、という流れです。
次に、営業DXが求められる理由を見ていきましょう。
少子高齢化が進み、多くの企業が人手不足に悩んでいます。また、営業成績へのコミットが求められる営業職の離職率は、一般的に高い傾向だといわれています。
今後、より少ない人手で企業の売上を維持・向上させていくには、営業活動を効率化して生産性を高めていかなくてはなりません。
ITツールを活用して、営業活動に関わる顧客情報や案件情報を一元管理・可視化できれば、組織内で情報共有が促進されて業務効率化につながります。
デジタル化が進んだ現代社会においては、顧客行動もまた変化しています。
たとえば、「社内業務で使用する新たなソフトウェアの導入を検討したい」とき、ベンダーに問い合わせる前に、インターネットで自ら検索して複数の製品・サービスを、あらかじめ比較検討する行動が当たり前になりました。
従来、企業による営業活動は、営業リストを作成して電話をかけ、訪問日のアポイントを取り、対面で製品・サービスを説明して提案・交渉を行うという進め方が一般的でした。
つまり、営業担当者が顧客と対面しながら情報提供を行っていたプロセスが、いまではインターネット検索やSNSに置き換わっているのです。これから新規顧客を開拓・獲得しようとする企業は、Webサイトの制作やSNSなどの運用が必須になっているといえます。
また、新型コロナウイルス感染症拡大による自粛要請により、テレワークが普及しました。この流れから、顧客側の担当者がオフィスに不在というケースも少なくないため、オンライン商談への対応も求められています。
このような顧客行動の変化に対応するために、営業活動におけるITの活用が必要となっているのです。
ここからは、営業DXを実施する3つのメリットを紹介します。
営業DXによって、営業活動の効率化につながります。
従来、リード(見込み客)を獲得するには、テレアポや飛び込み営業が主流でした。しかし、このような取り組みには多くの労力がかかるうえ、高い成約率は見込みにくいです。
しかし、営業DXにより見込み客の情報(先方の担当者や決裁者情報、業種、課題、予算、検討度合いなど)を可視化できれば、ある程度の受注確度を見通したうえで、提案・商談を進められます。
また、営業担当者のルーティン業務も効率化できます。たとえば、営業日報などを紙やExcelで作成している場合、外出先から帰社しなければならなかったり、日報作成のためだけにパソコンを立ち上げなくてはなりません。しかし、ITツールの導入によってスマートフォンアプリなどで日報を作成・送付できると、外出中でも対応が可能になります。
営業DXによって、営業の属人化を防止できます。
営業の属人化とは、営業ノウハウや顧客情報、商談内容がチームに共有されず、個人の経験やスキル、人間関係に依存してしまうことを指します。「営業手法を担当者に任せっぱなしにしている」「担当者が自身の営業成績を上げるためにノウハウを社内共有しない」といった場合などに、属人化が生じる恐れがあります。
営業DXを推進すると業務が可視化・標準化されていき、属人化が起こりにくい組織づくりに役立つでしょう。
DXの推進によって、営業マネジメントを実施しやすくなります。
従来、管理職が営業担当者を評価するには、定量的な成果や商談への同行など、手段が限られていたと同時に、営業担当者別の売上集計や分析、営業担当者との面談や同行による移動の手間もかかりました。
しかし、MAツール※1や、SFA※2などで営業活動の進捗情報を可視化できれば、管理が容易になります。管理職は、営業担当者から個別の報告を待つことなく、タイムリーに受注見込みなども確認できるようになるでしょう。
さらに、ITツールの活用で、見込み客へのアプローチがうまくいった成功事例の共有や、営業担当者へのフォローを行いやすくなり、チーム全体で営業力が向上すると期待できます。
※1 MAツール:Marketing Automation(マーケティングオートメーション)ツールの略。見込み客へのメール送信など、マーケティングに関する一連のプロセスを自動化できるITツールのこと。
※2 SFA:Sales Force Automation(セールスフォースオートメーション)の略。商談情報の管理など、営業活動を支援するITツールのこと。
ここからは営業DXの取り組み方について、プロセスごとに分けて見ていきましょう。
営業プロセスは、以下の4つのプロセスに大別できます。
まずは、リード獲得のDXです。
リード獲得とは、将来、自社の顧客になってくれそうな見込み客を獲得することです。
従来はテレアポ、飛び込み営業などによって獲得していましたが、営業DXの実施後は次のような施策に取り組むことになります。
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施策の例 |
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次に、リード育成のDXです。
リード育成とは、メールマガジンなどのコミュニケーションを通じて、見込み客の購買意欲を高めていくことです。
従来は、個々の営業担当者が見込み客に対しメールで情報提供などをしていましたが、営業DXの実施後は以下のような施策に取り組みます。
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施策の例 |
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※セグメント:見込み客のグループのこと。検討度合いや、行動、志向などに基づいてグループ分けしたものを指す。
営業担当者が個別にメールを送ることなく、システムで自動化しながらも、見込み顧客のニーズに即したコミュニケーションを展開していくことがポイントです。
続いて、商談管理・分析のDXです。
商談管理・分析とは、リード育成の取り組みを積み重ねながら、見込み客の購買意向を分析し、受注確度の高いリードを特定することです。従来は個々の営業担当者がExcelなどを使って管理していましたが、営業DXの実施後は、以下のような施策に取り組むことになります。
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施策の例 |
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続いて、受注後の関係構築のDXです。
受注して終わりではなく、その後の顧客との関係性構築・強化も重要です。
たとえばアップセル(上位製品を買ってもらうこと)や、クロスセル(他の製品も買ってもらうこと)の働きかけをすることで、顧客単価を高められます。また、ソフトウェアなどを月間・年間契約で利用してもらうビジネスモデルであれば、契約の継続が収益を安定化させるうえで重要となります。
受注後の顧客との関係構築も属人的に行うのではなく、顧客情報をデータベース化し、組織全体で共有しながら適切なタイミングでアプローチを行う取り組みが重要です。
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施策の例 |
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※CRM:Customer Relationship Mangement(カスタマーリレーションシップマネジメント)の略。顧客情報を一元管理するためのITツールを指す。
ここからは、中小企業が営業DXを導入する流れを紹介します。
まずは、営業DXで実現したい目的を決めましょう。
たとえば「属人的な営業スタイルから脱却する」「客観的なデータをもとに、営業活動のPDCAを回せる組織になる」などです。
営業DXを進めようとするなかで、「どんなITツールを導入するべきだろうか?」「IT活用で、何かできないか?」といった考えにまずはフォーカスする企業が多い傾向です。
しかし冒頭でも述べたとおり、DXとは、単にITツールを導入することではありません。「企業として今後、どのような姿になりたいか?」という将来像を描き、従業員や取引先も巻き込みながら、「あるべき姿」と「現状」の差分を埋めるために、デジタル技術を活用して変革に取り組むことです。
「デジタル化」はあくまで、DXを進めるための「手段」だと捉える視点が重要です。「デジタル化」がゴールになってしまわないよう、「新たな価値を、どのように提供するか?」という視点から、DXの目的を明確にしましょう。
次に、現在の営業プロセスを見直しましょう。
見直しを進める際には、以下のプロセスに分けて、それぞれの課題を抽出することが大切です。
課題を抽出して整理する際には、優先順位をつけることをおすすめします。
STEP.1で策定した営業DXの目的はもちろんのこと、営業部門の体制なども加味しながら、次のような複数の切り口から優先順位づけをしてみましょう。
営業プロセスを見直し、優先して取り組むべき課題を特定できたら、MAツールやSFAなど必要なツールを見極めて導入を検討しましょう。
MAツールやSFAと一言でいっても、提供元ごとに機能や費用が異なります。STEP1で決めた目的や、STEP2で抽出した課題などを踏まえ、適切なツールを選択しましょう。
なお、新規にITツールの導入・活用を進める過程で、既存の業務プロセスの再構築を図る必要があります。アナログ業務のデジタル化や顧客情報のデータ化など、取りかかりやすいところから着手し、デジタル化の範囲を拡大していきましょう。
ITツールを使って蓄積したデータを収集・分析し、目的達成に近づいているかどうかを定期的に確認しましょう。
試行錯誤しながら改善を積み重ねていくことで、営業プロセスが再構築・洗練される可能性が高まります。
また、顧客の行動の傾向を把握し、受注につながりやすい営業パターンを見出すことも重要です。
蓄積されたデータは営業部門にとって「宝の山」だといえます。これまで気づかなかった顧客の課題を発見できれば、新しい価値創造につながり、DX成功に近づいていくでしょう。
前項のSTEP.1(DXの目的を決める)や、STEP2(営業プロセスの見直し)の重要性は先述の通りですが、実際には「そうスムーズには進められない」という現状もあります。
次図は、中小機構の調査結果によるものです。日本企業におけるDXの取り組み状況を企業規模別に見ると、DXの取り組みは従業員数が多い企業ほど進んでいて、中小企業ではあまり進んでいない傾向にあるといえます。
出典:「中小機構|中小企業の DX 推進に関する調査(2023 年)」
(https://www.smrj.go.jp/research_case/questionnaire/fbrion0000002pjw-att/202310_DX_report.pdf)
また、同調査ではDXに取り組むにあたって、以下の課題も浮き彫りになりました。
出典:「中小機構|中小企業の DX 推進に関する調査(2023 年)」
(https://www.smrj.go.jp/research_case/questionnaire/fbrion0000002pjw-att/202310_DX_report.pdf)
大企業であれば、自社の豊富な人材を活用してDX推進チームを営業部門内に立ち上げることも可能です。一方、中小企業では予算や人材、ノウハウが不足し、自力での推進が難しい状況が伺えます。
また、営業DXに取り組む際に、企業は以下のようなさまざまな壁に直面すると考えられます。
そのような場合は、外部からの支援を受けることも一つの方法です。専門家に依頼することで、社内で対応するよりも、より迅速に課題解決につながると期待できます。
また、外部の視点を取り入れることで、DX推進に必要なノウハウ・スキルが社内に蓄積され、長期的に見て人材育成につながるといえます。
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本記事では、営業DXについて詳しく解説しました。
営業DXのポイントは、単にITツールを導入して業務効率化を図ることに焦点を当てるのではなく、「IT活用で業務のあり方を変革し、企業として新たな価値を創造すること」です。
また、「思い切ってIT活用に踏み切ったら、新たな顧客層を獲得でき、ビジネスの新展開につながった」といった将来像を自社に当てはめ、自社で実施可能な施策を検討してみる方法もおすすめです。
しかし、「小さな会社、店舗でリソース不足。何から取り組んでよいのかわからない」と考える方も多いかもしれません。
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