公開日:2025.07.10
この記事で
わかること
目次
飲食業・美容業・不動産業・建設業の個人事業主さまご一読推奨
11の経営課題別にまとめた完全無料のお役立ち情報提供ページの詳細はこちらから
詳しくはこちら収入を得るためにかかる費用のことを、必要経費といいます。
たとえば、カフェにおけるコーヒー豆や食材、美容室で使うシャンプーなど、事業を運営するうえで欠かせないものへの支払いは、確定申告で必要経費として計上が可能です。また、収入を得るために直接かかる費用だけでなく、事業を運営するために必要な事務所の家賃、光熱費、通信費なども必要経費として計上できることもあります。
ただし、業務の遂行と直接関係のない私的な使途の費用は経費として認められないという点に注意が必要です。
個人事業主の経費に上限は決められておらず、業務遂行に必要な費用はすべて経費計上できます。
ただし、経費の総額が収入の規模に対して大きすぎるなど、適正な水準から著しく外れている場合などには、税務調査の対象となる可能性もあるため注意しましょう。
経費の適正な水準の目安として、たとえば建設業では収入の70%、飲食店業では60%、美容業では50%といった数字が挙げられます。
経費計上をすることで、節税メリットがあるといえます。
たとえば、所得税は個人事業主が事業で得た収入から、必要経費や所得控除(基礎控除や医療費控除、配偶者控除など)を差し引いた「課税所得」に、税率をかけることで求められます。
このとき、経費計上した金額が大きいと課税所得が少なくなるため、納める所得税額も少なくなって節税につながる点がメリットです。
ただし、経費として認められにくいものも計上して課税所得を抑えようとすると、事業の実態を正しく申告していないだけでなく、手元に残る利益も減少してしまいます。また、不適切な経費計上は税務調査の対象となり、ペナルティが課される可能性もあるでしょう。
そこで、個人事業主の経費として認められる支出を正しく理解し、適切に申告することが大切だといえます。
飲食業・美容業・不動産業・建設業のいずれかで働く個人事業主が、確定申告で必要経費として計上できる勘定科目を一覧にして紹介します。
勘定科目とは、取引内容を分類するために使われる項目のことです。ここでは、個人事業主が経費の勘定科目として一般的に使用する項目をまとめています。
横にスクロールします
勘定科目 | 概要 |
---|---|
租税公課 |
|
水道光熱費 |
|
旅費交通費 |
|
通信費 |
|
接待交際費 |
|
広告宣伝費 |
|
損害保険料 |
|
修繕費 |
|
減価償却費 |
|
給料賃金 |
|
福利厚生費 |
|
外注工賃 |
|
利子割引料 |
|
地代家賃 |
|
荷造運賃 |
|
貸倒金 |
|
消耗品費 |
|
雑費 |
|
続いて、飲食業・美容業・不動産業・建設業のいずれかで働く個人事業主が、確定申告で必要経費として計上できない例を紹介します。
個人事業主の事業遂行と関連性のない支出については、経費計上ができません。
たとえば、私的な用途で購入した書籍や衣類、パソコン、家族・友人との交際費やプレゼント、生活費などは経費計上が不可能です。
私的な費用を経費として計上した場合、税務トラブルにつながるリスクがある点をあらかじめ留意しましょう。
住民税は「事業主」としてではなく「個人」として納める税金であるため、経費計上ができません。
なお、勘定科目には「租税公課」という科目があり、個人事業税や消費税など事業遂行に対してかかる税は、経費として計上できます。
ただし、税金の申告遅延によって延滞税が発生した場合、それはペナルティの意味合いを持つ税であるため、必要経費としては認められません。
個人事業主自身への福利厚生費は、経費計上ができません。
福利厚生とは、従業員のために設けられる制度であるため、従業員を雇っていない個人事業主は「福利厚生費」を勘定科目として利用できない点に注意しましょう。
たとえば、従業員の健康診断や人間ドックの費用は経費にできます。しかし、個人事業主の健康診断や人間ドックの費用は経費として計上は認められません。
飲食業・美容業・不動産業・建設業のいずれかで働く個人事業主が、確定申告で必要経費として計上できるものについて、それぞれ一覧で紹介します。
まずは、飲食業で経費計上できる可能性のある勘定科目の一覧表を見てみましょう。
横にスクロールします
勘定科目 | 概要 |
---|---|
仕入 |
|
損害保険料 |
|
研修費 |
|
地代家賃 |
|
荷造運賃 |
|
消耗品費 |
|
食材について、料理提供やレシピ開発など事業に関係する場合には、かかった費用を経費計上できます。
しかし、たとえば事業主が休憩中に自分のランチとして料理を作ったケースでは、家事消費として売上に含める必要があるなど注意が必要です。
続いて、美容業について個人事業主の美容師を例に、経費計上できる項目を見てみましょう。
横にスクロールします
勘定科目 | 概要 |
---|---|
旅費交通費 |
|
広告宣伝費 |
|
研修費 |
|
地代家賃 |
|
消耗品費 |
|
新聞図書費 |
|
なお、仕事中に着用する洋服を経費計上できるかについては、税理士によって判断が異なり、認められないケースも多く見られます。
しかし、店舗のロゴ入りのユニフォームなどは、経費計上できる可能性もあります。
不動産業では、アパート経営しているケースを想定して、経費として形状可能な項目を紹介します。
横にスクロールします
勘定科目 | 概要 |
---|---|
租税公課 |
|
接待交際費 |
|
広告宣伝費 |
|
損害保険料 |
|
減価償却費 |
|
利子割引料 |
|
地代家賃 |
|
消耗品費 |
|
注意すべき点として、アパート経営において、土地購入費用は経費計上ができません。理由は、建物と違って土地は、年数が経過しても価値が減らないと考えられているためです。建物は経過年数によって劣化していくものの、土地は地価に変動がなければ、年数が経っても購入時と価格が変わらないと考えられます。
個人事業主の一人親方として建設業に携わっている場合、一般的に、以下の勘定科目が経費で認められるでしょう。
横にスクロールします
勘定科目 | 概要 |
---|---|
租税公課 |
|
旅費交通費 |
|
接待交際費 |
|
損害保険料 |
|
減価償却費 |
|
地代家賃 |
|
消耗品費 |
|
飲食代については、他業種と同様で、事業遂行に直接関係のある費用のみが経費として認められます。具体的には、取引先や従業員との打ち合わせなどで飲食代を支払った場合、接待交際費となる可能性が高いと考えられます。
飲食業・美容業・不動産業・建設業に携わる個人事業主のなかには、自宅の一部スペースを事務所や店舗として使っている人もいるでしょう。または、プライベートと仕事用で同じ車を使っているケースもあるかもしれません。
そのような場合、プライベートと事業用を分けて経費計上する「家事按分(かじあんぶん)」を行いましょう。
たとえば、賃貸物件に住んでいて一部のスペースを事業で使用している場合、賃貸物件の面積においてどのくらいの割合を事業に使用しているかを計算します。自宅の面積のうち20%の広さを事業で使用しているときは、家賃の20%を「地代家賃」の勘定科目で経費計上が可能です。
家事按分ができるその他の経費は、以下のとおりです。
なお、家事按分に決められたルールはありません。税務署から理由を尋ねられたとき、「全体の何%を事業用に使用している」など、根拠を合理的に説明できるよう用意しておくことが大切です。
一般的に、経費計上のためには、領収書やレシートが必要になります。
しかし、ローカル路線バスの切符購入などの場面では、領収書が発行されません。このような場合、出金伝票に日付と金額、品目を記入しておくことで、領収書の代わりになることがあります。
その他、領収書やレシートの代わりになる書類の例を見てみましょう。
領収書やレシートはもちろん、これらの書類をなくしたり、Webやアプリで利用明細を確認した後に印刷を失念して計上を忘れたりしないように、日頃から小まめに整理して保存しておくことが大切です。
申告した金額が、納税義務のある税額よりも不足していた場合、「過少申告加算税」というペナルティが課される可能性があります。
節税メリットを得るために、私的な費用を経費計上してしまった場合などに、不足分の税金(過少申告加算税)が徴収されるだけでなく、延滞税も発生することとなります。税負担が重くなってしまうため、経費は正しく計上することが大切です。
なお、過少申告加算税は、税務署から指摘される前に、自ら修正申告を行うと課されません。申告内容の不備に気づいた場合には、ただちに修正申告を申し出るようにしましょう。
飲食業・美容業・不動産業・建設業のいずれかで、これから個人事業主として開業を考えている方や、すでに事業を営んでいる方に役立つWebページをご紹介します。
「Nにおまかせ!」の「個人事業主向け完全無料のお役立ち情報提供ページ」では、飲食業・美容業・不動産業・建設業の4業種を想定したうえ、起業準備、事業・資金計画、集客・営業、経理管理、資金調達など、多岐にわたる情報をわかりやすく解説しています。たとえば、次のようなテーマの基礎知識について調べることが可能です。
「経費について正しく理解できているかがわからなくて不安…」「開業に必要な準備項目や手順がわからない 」「利用できる補助金はある?」「マーケティングや営業のノウハウがなく、集客で悩んでいる」など、起業時・事業運営時に起こる悩みを抱えている方向けのコラムや、資料、動画などをご用意し、わかりやすく解説しています。
ぜひ以下より、チェックしてみてください。
「飲食業・美容業・不動産業・建設業の個人事業主向け完全無料のお役立ち情報提供ページ」
詳細はこちらから本記事では、個人事業主が計上できる経費について基礎知識から解説しました。
個人事業では「店舗兼住宅」で事業を営んでいる場合も想定されるため、事業用経費と、私的な出費の区別が難しいと考えている人もいるかもしれません。
重要なポイントは、「事業遂行のために必要な経費である」と合理的に説明できることです。個人事業主が判断基準を明確に持ち、日頃から領収書の仕分けなどをしっかりとしておくことが必要だといえるでしょう。
飲食業・美容業・不動産業・建設業の個人事業主においては、今回説明した「経費計上の仕方」に限らず、「税金はどうやって計算する?」「青色申告とは?」など、経営上のさまざまな疑問や不安があるのではないでしょうか。
こうした疑問解決のサポートとして、ぜひ「Nにおまかせ!」の個人事業主向け情報提供ページをご活用ください。